先日Art Miamiに初出展してきましたのでご報告をいたします。

ときの忘れものは近年アジアのアートフェアを中心に出展して参りましたが、2年前にアメリカに進出しようということで、2015年にサンタフェ、2017年春にニューヨークのART ON PAPERに出展しました。サンタフェはチョイスミスでしたが、ニューヨークはまずまずの手ごたえがあり、今回はマイアミを選びました。
出発前のブログにも書きましたが、マイアミで一番有名なアートフェアは「Art Barsel Miami Beach」ですが、さすがに審査が厳しいだろうと思い、次に規模の大きい(出展画廊数で判断)Art Miamiを選びました。ダメもとで申し込んだので、出展決定のお知らせが届いたときにはビックリ!

マイアミについての情報は、定年退職後にマイアミに移住するお金持ちが多いとか、冬はマイアミの別荘で過ごす人が多いというような情報のみ。サンタフェのトラウマもあって、期待半分、不安半分でした。

12月2日に私と新澤、秋葉シスイさんと葉栗剛先生の4名でマイアミに向かい、12月5日に野口琢郎さんと光嶋裕介さんと合流しました。
今回我々が宿泊したミッドビーチにあるホテルは東に海、西にIndiana Creekがあり、Indiana Creek沿いは豪邸が建ち並び、大きいクルーザーがずらりと停泊。これ、個人の持ち物ということで一同仰天。お金持ちの度合いが違うようです。

IMG_0919ホテルの部屋から見たIndiana Creek


IMG_0931Indiana Creek沿いの豪邸


街の至る所にアートウィーク中に開催されるフェアの旗がかかっており、数えると10個以上のフェアが開催されるようです。こんなに一斉に開催されたらお客様が分散してしまのでは・・・という不安が。

ときの忘れものが出展するArt Miamiの開催会場はダウンタウンに位置する真っ白い巨大な仮設テント。姉妹フェアのCONTEXも隣接しています。テントと言っても、中に入ってしまえばテントとは思えないほど立派な作りで、天井は高く、空調もガンガン効いていました。

IMG_0950Art Miamiの会場


ときの忘れもののブースは葉栗剛は大作1点(200cm超え)と新作中品(100cm程度)の木彫〈男気〉シリーズ、長崎美希は小品の木彫〈あーちゃん〉シリーズ、野口琢郎は海や空をイメージした新作箔画、秋葉シスイは新作油彩《次の嵐を用意している》、光嶋裕介は自身で和紙を漉いた大作《幻想都市風景》、安藤忠雄は新作ドローイング、磯崎新は〈MOCA〉の版画、ル・コルビュジエは〈ユニテ〉の版画、草間彌生は版画、堀尾貞治は〈あたりまえのこと〉のドローイング、瑛九はフォトデッサン、ジョセフ・コーネル(マン・レイ撮影の写真にコラージュ)の作品を展示しました。
今回は、葉栗剛先生の2mを超える木彫と1mの中品2体をドドーンと正面に設置して、平面作品は壁面にいつもよりゆとりをもって展示しました。他のギャラリーはもっともっと大きい作品をドドーンと展示しているので、これでもまだ思い切りが足りませんが・・・

nogu4(c)野口琢郎撮影

IMG_0910展示風景

IMG_0907展示風景(建築家たちの作品)
左から、ル・コルビュジエ、光嶋裕介、安藤忠雄、磯崎新

nogu3(c)野口琢郎撮影
左3点は瑛九のフォトデッサン、右の壁にはジョセフ・コーネル

nogu2(c)野口琢郎撮影


12月5日のプレビューは16時半~22時まで行なわれ、ときの忘れもののブースは会場の奥の方でしたが、ブースの周りは18時頃にはとても賑やかになりました。
葉栗剛先生の作品を見て“Amazing!!”という感想をたくさんいただき、作品と同じく腕組をして撮影されるお客様も多かったです(これはどこの国に行っても同じですね)。

nogu5(c)野口琢郎撮影

IMG_0988


2mの大作より1mの中品の方が注目されたのは想定外でしたが、3名ほど葉栗先生の中品作品の購入を真剣に考えている方がおり「また戻ってくるよ」と言い残して去って行きました。過去の経験からいうと、初日に見に来て後日買うパターンがほどんどでしたが、割とすぐに戻ってきたマイアミビーチ在住の男性があっさり2体セット購入!!!開始4時間後のことでした。サンタフェの雪辱を果たし、一気に肩の荷がおりました。
その直後、これまた注目度が高かった秋葉シスイの作品も交渉成立!"Beautiful"と言って気に入った様子のカップルが一旦去り、割とすぐに「買う!」と戻ってきました。購入手続き中に他のお客様が秋葉作品に見入っている様子を垣間見たそのカップルはニヤッと微笑み勝利のキス。それがとても印象的でした。

nogu8(c)野口琢郎撮影
プレビューでマイアミに納めることができた葉栗剛中品2体と秋葉シスイ100号


Art Miamiは他のアートフェアより一足先に始まるので、全てのアートフェアを見終わった最終日あたりに買いに来るのだろうかなど余計な心配をしていましたが、高額作品が初日にポン!と売れたときには本当に感激しました。有名な作品がたくさん出品されている中、アメリカでは無名作家の作品をすぐに購入いただくということは、ネームバリューなど特に気にすることなく、本当に気に入ってくださった証。気に入ったらすぐに決めてすぐに支払う、なんて潔いのでしょう。有難いことです。

Art Miamiは今までに出展したアートフェアの中でもかなりハイレベルだと感じました。出品作品のレベルも高く、お客様の層もとても良く、華やかな雰囲気でした。

nogu6(c)野口琢郎撮影

IMG_0994オープニング終了


私はプレビューの翌日に帰国だったので駆け足で他の画廊のブースを見ました。どこも大作ばかり、半立体も多いような印象を受けました。写真作品はほとんど見ませんでした。さすがはアメリカ、アンディ・ウォーホル、サム・フランシス、ロバート・インディアナ、キース・ヘリング、ロイ・リキテンスタイン、ジェフ・クーンズ、トム・ウェッセルマンなどはあちこちに展示されていました。

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今回同行してくださった葉栗剛作品、秋葉シスイ作品(完売!)、野口琢郎作品、光嶋裕介作品が売れたという報告を受け、私の足取りは軽く、帰国後も疲れ知らずでした。長いフライトに長い会期で大変でしたが、同行してくださった葉栗先生、秋葉さん、野口さん、光嶋さんには心より感謝しています。
そして、来年も審査に通れば是非出展したいです!!
おだちれいこ


●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20171220_iii-19瀧口修造
《III-19》
"III-19"
デカルコマニー
※『瀧口修造の造形的実験』(2001年)No.205と対
Image size: 14.0x10.5cm
Sheet size: 25.1x17.5cm


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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

●書籍のご案内
版画掌誌5号表紙600
版画掌誌第5号
オリジナル版画入り美術誌
ときの忘れもの 発行
特集1/ジョナス・メカス
特集2/日和崎尊夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版ーA : 限定15部 価格:120,000円(税別) 
A版ーB : 限定20部 価格:120,000円(税別)
B版 : 限定35部 価格:70,000円(税別)


TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
ときの忘れもので扱っています。

国立新美術館の「安藤忠雄展―挑戦―」は、大盛況のうちに終了しました。
展覧会については「植田実のエッセイ」と「光嶋裕介のエッセイ」を、「番頭おだちのオープニング・レポート」と合わせ読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。


●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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