<『WARHOL-underground america』展@ときの忘れもの。この展覧会を1時間前に思い出した私を褒めたい。点数も少ないし入りづらいけど、すごくよかった。ほんとによかった。アンディ・ウォーホールが見たことない横顔で佇んでた。アンディとおんなじテーブルでコーヒー飲んだような気持ちになってる。
(シブヤメグミさんのtwitterより)>
ただいま開催中の「WARHOL―underground america」は明日が最終日です。
ときの忘れものにとっては激動の2017年の最後を飾る展示でもあります。
壁面には金坂健二の写真作品とウォーホルの版画、及び超レアなポスターを展示し、図書室にはジョナス・メカスの写真作品を2点展示しています。
小規模な展示ですが、一番人気は毎日15時、16時、17時の三回上映しているメカス映画「this side of paradise」です。
先週の23日(土曜、天皇誕生日)は日本全国祝日だった(はず)ですが、それと気づかぬ映画目当ての女性のお客様が5人もいらっしゃいました。たまたま出勤していた(スタッフは全員休み)亭主が慌てて対応したのですが機械音痴のため上映はならず、申し訳ないことをしました。
思うに、土曜日の祝日は(もともと多くの企業は週休二日なので)、祝日と考えられていないのではないか。
それはともかく、図書室の本棚とテーブルの上にはウォーホル、メカス、金坂健二の資料をどっさり置いてあるのですが、気づかぬ人も多い。
中でもウォーホルウオッチャー栗山豊が遺した「栗山ファイル」はぜひ注目していただきたいものです。全体の量が膨大なのでほんの一部しか置いてありませんが、ぜひご覧ください。
栗山豊を知らない若い人のために、亭主が10年前に『STUDIO VOICE』に寄稿した文章を再録します。
~~~~~~~~~
「世界一のウォーホル・ウォッチャー」
綿貫不二夫 『STUDIO VOICE』VOL.377(2007年5月)62頁所収
2001年2月22日史上最強のウォーホル・ウォッチャーだった栗山豊が死んだ。街で倒れ病院に運ばれたが看取る者もなく、枕元にあった手帖から看護婦さんが友人に電話してその死を知らせた。ウォーホルの命日に死ぬなんて栗山らしいが、死ぬ少し前、60年代から蒐集した膨大なウォーホル資料を「綿貫さんが持っていた方が生きるから」と私に託していった。いま思えば長年の不規則な生活と酒、恐らく自らの死を予感していたに違いない。
栗山は1946年和歌山県の田辺に生まれた。父が南方熊楠に師事したというから、後年の何でも蒐集癖は血かも知れない。文化学院を卒業後は、看板描きや、新宿、銀座、上野の街頭で似顔絵描きとして生計をたて、春になると全国の主要なお祭りに出かける、寅さんの如き生涯だった。
ウォーホル三人男と呼ばれた宮井陸郎、根本寿幸、栗山豊の協力で私は1983年に日本発の[KIKU][LOVE]シリーズをウォーホルに依頼して渋谷パルコや宇都宮大谷の地下空間で大規模な展覧会を企画した。そのとき唐草模様の大風呂敷に包んだ膨大な新聞雑誌等の切れッぱしを持ってきたのが栗山だった。美術、映画はもとよりマイナーな雑誌の記事や広告、写真の隅にちらっと載ったウォーホル作品などよくも見つけたと思うほど幅広いメディアを網羅していた。1974年の大丸展チケットの半券、60年代のドローイングをあしらったジャズ喫茶のマッチのラベル、電車の中吊りやチラシ、バブル期のキャッチセールスの怪し気な展覧会入場券など大宅文庫にも国立国会図書館にもないリアルタイムでなければ絶対に入手不可能なものばかりだ。
栗山が死に、宮井は行方不明、根本はギャラリー360°で頑張っているが、私の元気なうちに栗山資料の全貌展を開きたい。現代の宮武外骨が遺した宝の山に分け入り、アングラ映画から始まった日本におけるウォーホルの受容の歴史を研究、再生させる者はいないだろうか。
~~~~~~~~~
青山時代の2006年に「アンディ・ウォーホル展 FROM THE PERSONAL COLLECTION OF Yutaka KURIYAMA」を開催し、故・栗山豊の蒐集した1960年代~1990年代の新聞、雑誌、カタログ、ポスターなど資料300点を展示しました。
「アンディ・ウォーホル展
FROM THE PERSONAL COLLECTION OF Yutaka KURIYAMA」
会期=2006年4月21日[金]~5月13日[土]
もう11年前になりますが、そのときの展示スナップをご紹介します。










栗山は2001年に亡くなったから当然その後の資料はない。
ウォーホル、メカス、金坂の3人は美術雑誌を追ってもその全貌はわからない。
栗山のウォーホル資料も美術雑誌以外のメディアが大半だった。

●橋本コレクションから
困っていたら、亭主の盟友で六月社を主宰する橋本凌一が主に2000年以降の「美術以外の雑誌」を軒並み調べて約100冊を届けてくれました。
冥土の栗山も思わぬ後継ランナーの登場を喜んでいるでしょう。
明日までは図書室に積んでありますので、どなたでもご覧になれます。
6)「TORSOS」
1977年
オフセット印刷
シートサイズ:100.0×68.0cm
発行元:Prigioni Vecchie - Venezia
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆冬季休廊のお知らせ/ときの忘れものは12月29日(金)から新年1月4日(木)まで休廊します。
◆ときの忘れものには小さな庭があります。彫刻家の島根紹さんの作品を2018年1月末まで屋外展示していますので、ご来廊の折にはどうぞご覧ください。
◆ときの忘れものは「WARHOL―underground america」を開催しています。
会期=2017年12月12日[火]―12月28日[木] ※日・月・祝日休廊

1960年代を風靡したアングラという言葉は、「アンダーグラウンドシネマ」という映画の動向を指す言葉として使われ始めました。ハリウッドの商業映画とはまったく異なる映像美を目指したジョナス・メカスやアンディ・ウォーホルの映画をいちはやく日本に紹介したのが映画評論家の金坂健二でした。金坂は自身映像作家でもあり、また多くの写真作品も残しました。没後、忘れられつつある金坂ですが、彼の撮影したウォーホルのポートレートを展示するともに、著書や写真集で金坂の疾走した60~70年代を回顧します。
会期中毎日15時、16時、17時の三回メカス映画「this side of paradise」を上映します
1960年代末から70年代始め、暗殺された大統領の未亡人ジャッキー・ケネディがモントークのウォーホルの別荘を借り、メカスに子供たちの家庭教師に頼む。週末にはウォーホルやピーター・ビアードが加わり、皆で過ごした夏の日々、ある時間、ある断片が作品には切り取られています。60~70年代のアメリカを象徴する映像作品です。(予約不要、料金500円はメカスさんのNYフィルム・アーカイブスに送金します)。
●書籍のご案内

『版画掌誌第5号』
オリジナル版画入り美術誌
ときの忘れもの 発行
特集1/ジョナス・メカス
特集2/日和崎尊夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版ーA : 限定15部 価格:120,000円(税別)
A版ーB : 限定20部 価格:120,000円(税別)
B版 : 限定35部 価格:70,000円(税別)
『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。
『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
ときの忘れもので扱っています。
国立新美術館の「安藤忠雄展―挑戦―」は、大盛況のうちに終了しました。
展覧会については「植田実のエッセイ」と「光嶋裕介のエッセイ」を、「番頭おだちのオープニング・レポート」と合わせ読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

(シブヤメグミさんのtwitterより)>
ただいま開催中の「WARHOL―underground america」は明日が最終日です。
ときの忘れものにとっては激動の2017年の最後を飾る展示でもあります。
壁面には金坂健二の写真作品とウォーホルの版画、及び超レアなポスターを展示し、図書室にはジョナス・メカスの写真作品を2点展示しています。
小規模な展示ですが、一番人気は毎日15時、16時、17時の三回上映しているメカス映画「this side of paradise」です。
先週の23日(土曜、天皇誕生日)は日本全国祝日だった(はず)ですが、それと気づかぬ映画目当ての女性のお客様が5人もいらっしゃいました。たまたま出勤していた(スタッフは全員休み)亭主が慌てて対応したのですが機械音痴のため上映はならず、申し訳ないことをしました。
思うに、土曜日の祝日は(もともと多くの企業は週休二日なので)、祝日と考えられていないのではないか。
それはともかく、図書室の本棚とテーブルの上にはウォーホル、メカス、金坂健二の資料をどっさり置いてあるのですが、気づかぬ人も多い。
中でもウォーホルウオッチャー栗山豊が遺した「栗山ファイル」はぜひ注目していただきたいものです。全体の量が膨大なのでほんの一部しか置いてありませんが、ぜひご覧ください。
栗山豊を知らない若い人のために、亭主が10年前に『STUDIO VOICE』に寄稿した文章を再録します。
~~~~~~~~~
「世界一のウォーホル・ウォッチャー」
綿貫不二夫 『STUDIO VOICE』VOL.377(2007年5月)62頁所収
2001年2月22日史上最強のウォーホル・ウォッチャーだった栗山豊が死んだ。街で倒れ病院に運ばれたが看取る者もなく、枕元にあった手帖から看護婦さんが友人に電話してその死を知らせた。ウォーホルの命日に死ぬなんて栗山らしいが、死ぬ少し前、60年代から蒐集した膨大なウォーホル資料を「綿貫さんが持っていた方が生きるから」と私に託していった。いま思えば長年の不規則な生活と酒、恐らく自らの死を予感していたに違いない。
栗山は1946年和歌山県の田辺に生まれた。父が南方熊楠に師事したというから、後年の何でも蒐集癖は血かも知れない。文化学院を卒業後は、看板描きや、新宿、銀座、上野の街頭で似顔絵描きとして生計をたて、春になると全国の主要なお祭りに出かける、寅さんの如き生涯だった。
ウォーホル三人男と呼ばれた宮井陸郎、根本寿幸、栗山豊の協力で私は1983年に日本発の[KIKU][LOVE]シリーズをウォーホルに依頼して渋谷パルコや宇都宮大谷の地下空間で大規模な展覧会を企画した。そのとき唐草模様の大風呂敷に包んだ膨大な新聞雑誌等の切れッぱしを持ってきたのが栗山だった。美術、映画はもとよりマイナーな雑誌の記事や広告、写真の隅にちらっと載ったウォーホル作品などよくも見つけたと思うほど幅広いメディアを網羅していた。1974年の大丸展チケットの半券、60年代のドローイングをあしらったジャズ喫茶のマッチのラベル、電車の中吊りやチラシ、バブル期のキャッチセールスの怪し気な展覧会入場券など大宅文庫にも国立国会図書館にもないリアルタイムでなければ絶対に入手不可能なものばかりだ。
栗山が死に、宮井は行方不明、根本はギャラリー360°で頑張っているが、私の元気なうちに栗山資料の全貌展を開きたい。現代の宮武外骨が遺した宝の山に分け入り、アングラ映画から始まった日本におけるウォーホルの受容の歴史を研究、再生させる者はいないだろうか。
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青山時代の2006年に「アンディ・ウォーホル展 FROM THE PERSONAL COLLECTION OF Yutaka KURIYAMA」を開催し、故・栗山豊の蒐集した1960年代~1990年代の新聞、雑誌、カタログ、ポスターなど資料300点を展示しました。
「アンディ・ウォーホル展
FROM THE PERSONAL COLLECTION OF Yutaka KURIYAMA」
会期=2006年4月21日[金]~5月13日[土]
もう11年前になりますが、そのときの展示スナップをご紹介します。










栗山は2001年に亡くなったから当然その後の資料はない。
ウォーホル、メカス、金坂の3人は美術雑誌を追ってもその全貌はわからない。
栗山のウォーホル資料も美術雑誌以外のメディアが大半だった。

●橋本コレクションから
困っていたら、亭主の盟友で六月社を主宰する橋本凌一が主に2000年以降の「美術以外の雑誌」を軒並み調べて約100冊を届けてくれました。
冥土の栗山も思わぬ後継ランナーの登場を喜んでいるでしょう。
明日までは図書室に積んでありますので、どなたでもご覧になれます。

1977年
オフセット印刷
シートサイズ:100.0×68.0cm
発行元:Prigioni Vecchie - Venezia
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆冬季休廊のお知らせ/ときの忘れものは12月29日(金)から新年1月4日(木)まで休廊します。
◆ときの忘れものには小さな庭があります。彫刻家の島根紹さんの作品を2018年1月末まで屋外展示していますので、ご来廊の折にはどうぞご覧ください。
◆ときの忘れものは「WARHOL―underground america」を開催しています。
会期=2017年12月12日[火]―12月28日[木] ※日・月・祝日休廊

1960年代を風靡したアングラという言葉は、「アンダーグラウンドシネマ」という映画の動向を指す言葉として使われ始めました。ハリウッドの商業映画とはまったく異なる映像美を目指したジョナス・メカスやアンディ・ウォーホルの映画をいちはやく日本に紹介したのが映画評論家の金坂健二でした。金坂は自身映像作家でもあり、また多くの写真作品も残しました。没後、忘れられつつある金坂ですが、彼の撮影したウォーホルのポートレートを展示するともに、著書や写真集で金坂の疾走した60~70年代を回顧します。
会期中毎日15時、16時、17時の三回メカス映画「this side of paradise」を上映します
1960年代末から70年代始め、暗殺された大統領の未亡人ジャッキー・ケネディがモントークのウォーホルの別荘を借り、メカスに子供たちの家庭教師に頼む。週末にはウォーホルやピーター・ビアードが加わり、皆で過ごした夏の日々、ある時間、ある断片が作品には切り取られています。60~70年代のアメリカを象徴する映像作品です。(予約不要、料金500円はメカスさんのNYフィルム・アーカイブスに送金します)。
●書籍のご案内

『版画掌誌第5号』
オリジナル版画入り美術誌
ときの忘れもの 発行
特集1/ジョナス・メカス
特集2/日和崎尊夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版ーA : 限定15部 価格:120,000円(税別)
A版ーB : 限定20部 価格:120,000円(税別)
B版 : 限定35部 価格:70,000円(税別)

2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。

2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
ときの忘れもので扱っています。
国立新美術館の「安藤忠雄展―挑戦―」は、大盛況のうちに終了しました。
展覧会については「植田実のエッセイ」と「光嶋裕介のエッセイ」を、「番頭おだちのオープニング・レポート」と合わせ読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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