
だいぶ暖かくなり新緑茂る4月下旬、建築家の阿部勤先生の自邸を訪問しました。ときの忘れものの現ギャラリーの建物を設計してくださった先生です。
阿部邸(中心のある家)は名建築として有名で、昨年、東京国立近代美術館で開催された「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」(2017年7月19日―10月29日)にも出品されていたのでご存知の方も多いと思います。
1975年から現在までに100を超える取材がコンスタントにあったというこの建物はその建設から今まで変わることなく人々を魅了してきたのでしょう。ではなぜこれまでに人をひきつけるのか、他のいわゆるデザイナーズ住宅というものとの違いなどがあるのか、またあるとしたらそれはどこなのか。好奇心と探求心を手土産にお宅にお邪魔してきました。

これが阿部邸平面図。この建物は1-2階はコンクリート造で2階の途中から木造になっている「混構造」だそうです。








リビングの家具も木材が多い。




下の写真、壁面を飾っているのは植田実先生の写真作品「プラハ Praha, Czech Republic」


ここで阿部先生がハモンセラーノを振舞ってくれました。もちろんペニンシュラキッチンを利用しています。

阿部先生に紹介していただいた本に没頭する面々。


庭は人工的な手入れを感じさせない素朴なつくり。

まだまだ紹介しつくせない素晴らしい設備や、えっと驚くようなオブジェのコレクションなどが多数あります。有名デザイナーが設計した住宅となればどんな洒落たものなのかと都会の高層マンションを思い浮かべていましたが阿部邸にて感じたことは小洒落たトレンド重視の空間ではなくむしろシンプルでナチュラルな飾り気のない空間がどれほど心地よいのか、ということです。日光や木々、土といった自然をありのまま取り入れた住居は誰もにふるさとのような温かみを感じさせるでしょう。だからかとても居心地が良いです。「中心のある家」とされるこの住宅は「心もある家」なのではないかと思いました。そしてそれは設計者である阿部先生がこの建物に命を吹き込み続けているからこそ、と思いました。40年近く取材を受け続ける阿部邸の魅力に少し触れたような気がします。でもきっと今回だけでは私が知りえなかった顔がこの住居にはまだまだ隠されているのでしょう。
5月12日にはこの住居が使われた映画「蝶の眠り」が公開されます。キャストに名を連ねることが出来そうないい役者になると期待しつつその計り知れない魅力をもつ住居を映画館で堪能するつもりです。

最後に撮った集合写真。たまたまか皆ラフな格好でこの阿部邸にマッチしています。左から新澤さん、尾立さん、植田実先生、綿貫さん、そして阿部勤先生。
(文と写真は新人スタッフのいたみちはる)
*画廊亭主敬白
社員教育なんて貧乏画廊の零細企業では取り組む余裕はありません。なので、とにかくいいものを見せるにしくはない。絵だったら歴史に残る名品を、建築だったらプロが認める名建築を実地に訪ねる。各分野で抜きん出た才能を持つ人に会うことも若い人には大事ですね。大番頭のオダチは入社当日に磯崎新先生との打ち合わせに同席させられ、4ヶ月後には植田実先生のナビゲーターで建築都市弘前(前川國男)を訪ねるツアーを任されました。
今回は昨秋入社したばかりの伊丹の新人教育を兼ねて阿部先生の「中心のある家」を訪ねました。
植田実先生による名建築探訪、次回の予定は横河健先生のスタジオです。ご興味のある方、どうぞお問い合わせください。
●以下は今までに阿部先生の自邸が取り上げられた雑誌等のリストです(阿部勤先生ご提供)。



1975年から現在までに100を超える取材がコンスタントにあったというこの建物はその建設から今まで変わることなく人々を魅了してきたのでしょう。
●今日のお勧め作品は、菅井汲です。

"GROUP 2"
1980年
シルクスクリーン
48.0×33.0cm
Ed.150
サインあり
※レゾネNo.304(阿部出版)
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは5月3日(木・祝日)~5月7日(月)まで休廊です。
ブログは年中無休なので、どうぞお楽しみください。
●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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