松本竣介展@ときの忘れもの 落ち着いた空間で、一点一点ゆっくりと鑑賞。近付いて細かい線まで堪能しました。文字の入った作品、好きです。 画廊入口のお花も素敵でした。次回は趣き変わってポスター展。こちらも楽しみ。
20180603/かずちゃん さんのtwitterより>

内覧会からの帰り、駒込の「ときの忘れもの」へ寄り、『松本竣介没後70年ー人と街の風景ー』を観た。岩手出身の松本竣介は好きな画家であるが、亡くなって70年にもなるんだな。彼は中学のときに聴力を失っている。若くして亡くなったのだけど、実は私の祖母ぐらいの年齢だったことに今気づいたわ‥‥。
「ときの忘れもの」から「BOOKS 青いカバ」へ行き、取り置きを頼んでいた『夭折の画家 松本竣介 小さな手帖』を引き取ってきた。布貼りの秩入り、文庫くらいの6分冊。嬉しい。ほかにもいろいろ入手。

20180601/千葉望さんのtwitterより>

6月2日「没後70年 松本竣介展」が大盛況のうちに終了いたしました。
大枚はたいてお買い上げくださったお客様、ありがとうございました。画商の仕事は次の時代に竣介作品をお渡しすることであり、今回特に若い世代の方にご購入いただいたことは何よりも嬉しいことでした。

次回企画は来週から「70-80年代を彩ったポスター繚乱」ですが、その前に、明日から五日間、短い会期ですが6月のコレクション展を開催しますので、どうぞお出かけください。
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会期:2018年6月5日(火)~6月9日(土)
会場:ときの忘れもの
出品作家:安藤忠雄、瑛九、オノサト・トシノブ、駒井哲郎、瀧口修造、長谷川潔、ル・コルビュジエ、シャガール、平井進、他


明日6月5日はときの忘れものの23回目の開廊記念日です。

23年前、編集事務所として借りていた青山の一軒家で、小さな版画展から始まったときの忘れものですが、多くのお客様のおかげで、ここまで来ることができました。
前回来てくださったお客様が次も来てくださるか、何を展示したらいいのか、そんな試行錯誤の企画展も積もり積もって次回6月12日から始まる「70-80年代を彩ったポスター繚乱」で300回を迎えます。
少し、往時を振り返ってみましょう。

●第1回企画展「銅版画セレクション1」
会期:1995年6月5日[月]~6月18日[日]
会場は南青山3丁目の一軒家
出品:長谷川潔難波田龍起瑛九駒井哲郎
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資生堂ギャラリー七十五年史』編纂室として格安家賃で借りていた一軒家にちょこっと手を入れ、俄仕立ての画廊にしました。靴を脱いでスリッパに履き替えるのは今と同じです。
ラインナップについては「社長と瑛九」をお読みください。
初日の客(二人のFさん)については「舟越道子さんを送る」に書きました。
社長と亭主、二人だけの船出でした。
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●第100回企画展「草間彌生展」
会期:2002年12月10日[火]~12月25日[水]
会場は表参道のマンションの一室。
一軒家の大家さんから「ワタヌキさんからいただく(安い)家賃では税金は払えるが生きてはいけないので、建て直します」と言われ、その間、大家さんの負担で表参道の高級マンションに一時疎開していました。
出品:草間彌生
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スタッフ数人の小所帯で、パソコンはマックでした。草間作品は売るほどありましたが、このときはほとんど売れませんでした。いま残っていたらン億円か(笑)。
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●第200回企画展「野田英夫遺作展―漂泊と望郷の画家」
会期:2011年4月19日[火]―4月30日[土]
出品:野田英夫
野田英夫展案内状会場は南青山3丁目に建て直した木造の青山Cubeという四角な建物の一階です。


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この展覧会の直前の3月11日に東日本大震災が襲いました。巨大地震、津波、福島第一原発のメルトダウン、死者・行方不明者が1万8千人を超えるという未曾有の被害が生じ、その傷はいまなお癒えることはありません。
その頃のブログをあらためて読み返すと、当初は何が起こったのか理解できす、多くの顧客、取引画廊のある東北地域の方々の安否をあんずる日々でした(2011年3月14日ブログ3月16日ブログ)。
ちょうどこの時期第199回企画展「細江英公写真展 写真絵巻とフレスコ画の時を越えた出会い~イタリア・ルッカ」(2011年3月18日~4月2日)を控えておりました。
こんなとき展覧会を開きオープニングで祝ったりしていいのか、逡巡しました。
細江先生から予定通り開催するというメールをいただき、こんなときだからこそ日常を維持しようと開いたオープングでした(原茂さんのレポートをお読みください)。
それから一ヵ月後の第200回企画展が「野田英夫遺作展―漂泊と望郷の画家」でした。
義捐金を送ることも当然しましたが、それより日常を維持する中で被災地の顧客に頼んで(代金を送金して)酒と肴をどっさり買って送ってもらい「東北の酒と肴とお菓子をいただく会」を開催しました。
そのきっかけは、展覧会のためにご執筆いただいた大谷省吾先生の「野田英夫展によせて(1)」に中で表明された「違和感」でした。

<「アートとして何かをしなければならない」という強迫観念のようなもの、皆で同じ方向を向いて進まなければいけないような暗黙の強制力のようなもの、に対してである。これがもし、ふだんアートが世の中の役にたっていないことへのコンプレックスや、後ろめたさの心理の裏返しとして作用すると、焦って我を忘れることにつながりかねないだろう。アートとは本来、このような暗黙の強制力によって人々があるひとつの方向へと流されていってしまいそうなときに「こんな別の考え方、ものの見方もあるんだよ」ということを、個の立場から発信すべき存在ではなかったか。それこそがアートの役割ではなかったか。
大谷省吾「野田英夫展によせて(1)」より>

暗黙の強制力によって人々があるひとつの方向へと流されていってしまいそうなときに「こんな別の考え方、ものの見方もあるんだよ」ということを、個の立場から発信>することこそがアートの原点なのだと再確認する言葉でした。

私たちの商売は美術品の売買です。
商品を仕入れ(あるいは作り)、顧客に売る。それは他の職業となんら変わりありません。
しかし、画商という商売は平和な時代、安全な社会だからこそ成り立ちます。
そのことは忘れてはならない、と震災の折に強く思ったことでした。

あれから7年、ときの忘れものは
第300回企画展「70-80年代を彩ったポスター繚乱を開催します。
会場:ときの忘れもの
会期:2018年6月12日[火]―6月30日[土] ※日・月・祝日休廊
出品:磯崎新、猪熊弦一郎、草間彌生、栗山豊、佐伯俊男、菅井汲、杉浦康平、田名網敬一、花輪和一、林静一、細江英公、宮脇愛子、元永定正、横尾忠則、李禹煥、A.ウォーホル、クリスト、M.グレイヴス、ル・コルビュジエ、白南準、J.ミロ、ボイス、マン・レイ、K.へリング 他、
名人刷り師・岡部徳三、石田了一らがシルクスクリーンで刷り、時代の先端を彩ったポスターと版画小品を特別価格にてお届けします。
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第1回企画展は南青山の一軒家、第100回企画展は表参道のマンションの一室、第200回企画展は木造ビルに建て直された青山Cubeの一階、そして第300回は文京区本駒込5丁目のコンクリート三階建てのLAS CASASでと、全部違う空間だったとは・・・思えばいろいろあったんですね。
どうぞ皆様、今後ともよろしくご贔屓にしてください。
次の400回目を目指してスタッフ一同、精進いたします。

関根伸夫展
会場:銀座・ギャラリーせいほう
会期:2018年6月18日[月]―6月29日[金] ※日曜休廊
初日18日(月)17時より、ロスアンゼルスから帰国する関根伸夫先生を囲みオープニングを開催します。
関根伸夫展_Gせいほう_案内状


●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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