本当に困っている方のところに

竹田鎮三郎

2017年9月7日メキシコのオアハカ州でマグニチュード8.2の地震がおきました。
オアハカでの死者は78名。チアパスでは18名。タバスコ州4名。
57,621軒の家が崩壊、5,485軒の家が半壊。現在も小さな地震が続いています。

被害が大きかったフチタン、イステペック、タパナテペック、サンフランシスコデルマールでは一年経った現在でもまだ20%ほどの家しか再建されていません。
その理由は生活基盤を失ったことで収入がなくなったことと、建築材料の高騰と建築屋さんの給料の高騰があります。

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1月にテワンテペックで被災して家の半分が倒壊した竹田の友人宅を尋ねると、建設途中のまま、屋根もなく放置された状態で、建築屋さんが突然来なくなったとのこと。たくさんの人が建築屋さんを探しているので、少しでも多く払える人のところへ行ってしまうのだそうです。

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朝になるとロングスカートの民族衣装を着た女性たちがプロメリアの花を花輪にして売っていたフチタンの市場も跡形もなく崩れてしまい、一年経った今も全く再建されずにいます。

町の中にはまだ、崩れた家の瓦礫の山と、いつになるか分からないけど再建するためのセメントブロックの山が並んでおかれていて、どんなお家があったのか今は全く分からない更地もたくさんあります。

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この度、ときの忘れものさまよりご支援金1,005,675円を受け取りました。
一年経った今、こんなにたくさんのご支援いただけたことを大変ありがたく思います。
継続して援助できることが何よりの励みになります。

今回お送り頂いたご支援は竹田鎮三郎が以下のような形で被災地に現金ではなく物資という形でお渡しして行きます。

フチタンの文化の家の版画工房への支援
 建物は現在政府の援助金によって建て直し中ですが、細々とした材料にはまだ支援が届いてこないということで、プレス機に必要なフェルト、インク類、彫刻刀、ニードルなどの道具類を支援します。

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校舎が倒壊したままで、屋外で授業を受けている子供達への支援
ハラパデマルケス村など行政の支援が行き届かない村で、かつ竹田の現在の学生の出身の村へ行き、定期的にワークショップを開催することと、文房具や必要な物資を支援すること。

生活再建と日々の生活に必要な衣服の援助
 美しい刺繍が得意の方達でも、布が手に入らず収入を得るチャンスを逃してる方がたくさんいます。さらに今回被災した地域では年配の女性たちは民族衣装しか着ないため、外国から届いた洋服の支援は 受け入れられなかったそうです。
そこで布をご支援金で購入して、ボランティアで縫ってくださる方にお願いして民族衣装を仕立てます。また、布をお渡しして、刺繍をして頂いて生活再建の役に立てて頂きます。

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オアハカ州立自治ベニートフアレス大学芸術学部校舎への援助
 竹田が40年勤務する芸術学部の校舎が地震によって6つの大教室が使用不可能になりました。
レンガでできた部分がコンクリート部分から崩れ落ち、一年経っても全く改修される予定がありません。このため学生は実技の授業と学科の授業を同じ校舎で受けることができなくなり、学科をバスで30分ほど離れた別校舎で受けています。
修繕計画がまとまり次第、どんな援助が可能か検討します。

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震災によって開催できなくなっていた文化イベントの復活の援助
 著名な詩人の生誕の地イスワタン村で毎年開催されていたサポテコ語とスペイン語で詩を朗読する文化交流イベント開催の援助。

皆様のご支援を本当に困っている方のところにできるだけ確実にお届けしたいと思っております。
ありがとうございました。
たけだ・しんざぶろう

*画廊亭主敬白
メキシコの大地震から一年が経ちました。
昨年9月7日メキシコのチアパス州でマグニチュード8.2の巨大地震が発生し、続けて19日には首都・メキシコシティー近郊をマグニチュード7.1の地震が襲いました。建物の倒壊により多くの人が犠牲になりました。
それからちょど一年後の9月6日、今度は北海道胆振東部地震が襲い、全道がブラックアウトとなり、厚真町はじめとする土砂崩れによって多くの方が命を落とされました。
あらためて、メキシコ、そして北海道で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

昨年末2017年11月28日[火]―12月2日[土]にときの忘れものでは<メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会>を開催しました。

私たちの仕事は平和で安全な社会でこそ成り立ちます。
不幸にも戦乱や自然災害に巻き込まれた人々に、私たちが出来ることはそう多くはありませんが、少しでもお役にたてたらと、私どものコレクションを提供し、全100作品を一律@8,000円で頒布いたしました。
趣旨にご賛同いただき北川民次作品(複数)を久保貞次郎先生のご遺族から、末松正樹作品を作家のご遺族から、武井武雄作品などをU様からそれぞれ無償でご提供いただきました。
驚くほどの反響で、124点が売れ、総額1,005,675円が皆様から寄せられました

送金先については、
1)なるべく直接現金をお送りし、直ぐにお役に立てて欲しい。
2)できるだけ支援が届きにくい民間の団体、個人を対象にしたい。
3)画廊のコレクションを提供して集まったお金なので、被害を受けた文化財的なものも対象にしたい。と考えたのですが、
実はそれからが大変でした。
一年近く経ってもなかなか送金先が決まりませんでした。
なぜなのかは、ここでは書きませんが(申し訳ありません)、とにかく社長も亭主も皆様の暖かい心のこもった1,005,675円を何とか被災地に届けねばとずっと模索していました。
竹田鎮三郎先生20180726
左から、筒井美佐世さん、竹田鎮三郎先生、綿貫令子、画廊亭主
2018年7月26日
駒込・ときの忘れもの

今年の夏、メキシコから竹田鎮三郎先生と筒井美佐世さんが久しぶりに日本に来られました。
私たちが竹田先生に初めて出会ったのはもう40年以上前ですが、現代版画センター時代には何点もの版画作品をエディションし、全国各地で展覧会もいたしました。
竹田先生の暮らすオアハカ州も大きな被害を受けているので、さっそくご相談し、上掲の竹田先生のお手紙にあるような仕儀とあいなりました。
なかなか支援が届かなかった場所、人々に、少しでもお力になれれば嬉しいです。
ご支援くださった皆様に、謹んでご報告する次第です。

●本日のお勧め作品は、マン・レイです。
RIMG0336_
マン・レイ Man Ray 
宝飾品のための最初の広告写真
1935年(1986年リプリント)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:25.5x34.2cm
シートサイズ:29.2x39.0cm

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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