昨日から佐藤研吾さんの初個展が始まりました。
個展「囲いこみとお節介」、今日から無事に始まりました!:
午後1時からの中島晴矢さんとのトークは、平日昼間にも関わらず大盛況でした。いらっしゃっていただいた方々、どうもありがとうございました-!::
トークでは、自分がこの展示の中で作ったモノの説明やその背景、そして自分たちの依って立つ場所の話ができ、自分としてもとても実りが多かった。
自分自身がやっていることを話すときに、今まで中学高校の頃の話は特にせずにすっ飛ばしてきていたわけですが、東京の半ばど真ん中で過ごしていた当時の経験はやはり自分のどこかに横たわっているわけでして。その東京ど真ん中の経験が順番として先に在り、そこから最近の福島とインドまでの距離というものを相対的に測っているのだな、とトークの中で改めて思う。
また、どうしても建築設計での振る舞い方、あるいは都市への向き合い方において、自分がまだその支軸となるモノを持ち得ていないことも話していて痛感する。そしてそんな迷い、振動の様がこの展示で作ったモノ、作り方自体に現れているのかもしれない。
トークの中で「この展示は、近況報告」とつぶやいたように、とにかく続けるしかないのだなと、そしてもちろん、作業を続けるための仕組みを作っていかないといけないのだなと。死ぬまで続けられるかが勝負どころなのだと。
明日からもシャキッとやります。
夜の岸井大輔さんとのトーク「群れることについて」も当日参加もOKですのでぜひお越しください-
(20181213/佐藤研吾さんのfacebookより)>
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ときの忘れものの創業時からのメイン作家・瑛九について、これから数ヶ月集中的に紹介してまいります。
瑛九(1911~1960)は48歳の短い生涯でしたが油彩、水彩、フォトデッサン(印画紙による作品)、版画(リトグラフ、銅版画、木版画)などさまざまな技法を使って多くの作品を残し、没後毎年のように各地の美術館で回顧展や関連する展覧会が開かれてきました。
私たちも1974年に美術の世界に入って以来、ずっと追いかけてきた作家です。
1981年に渋谷松濤にギャラリー方寸を開いたときの開廊記念展も瑛九でした。
1981年6001981年3月1日_ギャラリー方寸_瑛九その夢の方へ_2.jpg1981年6001981年3月1日_ギャラリー方寸_瑛九その夢の方へ_1.jpg


1981年6001981年3月1日_ギャラリー方寸_瑛九その夢の方へ_5.jpg左がリトグラフ「森の影」
右はフォトデッサン「おんどり」(現在は横浜美術館所蔵)

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瑛九「青の中の丸」
1958年 油彩(50号)
現在は東京国立近代美術館所蔵


1997年には本間正義先生の監修で『瑛九作品集』を編集しました。
日経瑛九作品集
本間正義監修『瑛九作品集』
1997年 日本経済新聞社 204頁 執筆/五十殿利治・横山勝彦 編集/三上豊・綿貫不二夫 油彩・フォトデッサン・版画など代表作237点を網羅した決定版作品集。


瑛九の画集や展覧会カタログは数多く刊行されてきましたが、質量ともに最も充実したものであると自負しています(作品図版237点/油彩130点、コラ-ジュ、フォト・デッサン45点、銅版画39点、リトグラフ23点、他に参考図版68点)。

と、自慢ばかりしても仕方ないのですが、瑛九追いかけて44年、多くの作品を扱ってきましたが、宿題もまた多く残されています。
1)これほど、国内の美術館に作品が収蔵されていて、幾度も展覧会が開かれているにもかかわらず、海外での紹介がまだ十分にはなされていない。

2)偉大な作家には必須のカタログレゾネの刊行。
油彩はもちろんですが、フォトデッサン、版画のレゾネをいつかは実現してもらいたい。

亭主はご承知のとおり、版画育ちですが、ときの忘れものとして瑛九の版画作品を十二分に扱ってきたかというと、実はそれほどでもありません。
以前(2000年)、掲示板を使って瑛九の版画について長々とコメントしたことがあります。それを再録・編集した「瑛九について」をホームページに掲載していますが、ずいぶん前のもので誤りや不十分な記述も少なくなく、いずれ書き改めなくてはと思っています。
それはともかく、ときの忘れものが瑛九の版画に冷淡(!)だったのは、市場にあふれる銅版画の後刷りの問題がありました。
いまでもヤフオクなどネットを見れば、数多くの瑛九の銅版画(後刷り)が泣きたくなるような廉価で出品されています。多勢に無勢、いくら亭主が瑛九のすばらしさを叫んだところで、圧倒的な市場の力には抗しようがありません(この後刷りに関しては「瑛九について」で詳述しています)。
「これはもう亭主の生きているうちには回復しまい」と諦め、版画作品(特に銅版画)に関しては積極的な紹介は控えてきました。油彩やフォトデッサンはオンリーワンの一点しか存在しないものですから、後刷りのような洪水に飲み込まれる心配はありません。
ときの忘れものの倉庫には銅版、リトグラフが山ほど積んでありますが、つい最近、諦めていた版画紹介への意欲を刺激する「事件」がありました。
銅版画はともかく、リトグラフ(後刷りはありません)に関しては、気を取り直してできるかぎりの紹介に努めたいと考え直した次第です。

NC657瑛九虫の生活レゾネ105瑛九「虫の生活」
1957年 リトグラフ
イメージサイズ:38.0x27.0cm
シートサイズ:54.2x38.1cm
限定20部(19/20)   鉛筆サインあり
*レゾネNo.105(瑛九の会、1974年)


NC659瑛九あそびレゾネ83瑛九「点のあそび」
1957年 リトグラフ
イメージサイズ:42.5x30.0cm
シートサイズ:56.0x37.2cm
限定はEPのみか。鉛筆サインあり
*レゾネNo.83(瑛九の会、1974年)


NC660瑛九いたずらレゾネ57瑛九「いたずら」
1956年  リトグラフ
イメージサイズ:45.0x30.0cm
シートサイズ:54.5x38.5cm
限定13部(8/13)  鉛筆サインあり
*レゾネNo.57(瑛九の会、1974年)


NC661瑛九工事場レゾネ133瑛九「工事場」
1957年  リトグラフ
イメージサイズ:38.0x25.0cm
シートサイズ:54.8x38.5cm
限定10部(9/10) 裏にタイトルと杉田都(瑛九夫人)の署名あり
*レゾネNo.133(瑛九の会、1974年)


NC663瑛九青いソナタレゾネ55瑛九「青いソナタ」
1956年  リトグラフ
イメージサイズ:40.0x25.0cm
シートサイズ:54.5x38.7cm
限定15部(2/15)  裏にタイトルと杉田都(瑛九夫人)の署名あり
*レゾネNo.55(瑛九の会、1974年)


NC664瑛九シルクレゾネ154瑛九「シルク」
1957年  リトグラフ
イメージサイズ:39.0x51.0cm
シートサイズ:48.5x66.7cm
限定8部  鉛筆サインあり
*レゾネNo.154(瑛九の会、1974年)


これらリトグラフ作品から汲めど尽きせぬ瑛九の魅力を感じ取っていただければ幸いです。
画廊においてありますので、どうぞご興味ある方はご連絡ください。
*1974年に「瑛九の会」が編集刊行した『瑛九石版画総目録』には1951~1958年にかけて制作された石版画(リトグラフ)が158点収録されています。
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ときの忘れものは「第306回企画◆佐藤研吾展―囲いこみとお節介 」を開催しています。
会期:2018年12月13日[木]―12月22日[土] 11:00-19:00 ※会期中無休
306
インド、東京、福島という複数の拠点を往還しながら創作活動に取り組んでいる建築家・佐藤研吾の初個展を開催します。
本展では、自身でデザインし制作した家具としてのハコや、ピンホールカメラ(ハコ)とそれを使って撮影したハコの写真、またハコのドローイングなど、独自の世界観をご覧いただきます。
会期中、作家は毎日在廊予定です。
以下の日程で以下のゲストをお迎えし、ギャラリートークを開催します。
※要予約、参加費1,000円、複数回参加の方は二回目からは500円
12/13(木)13時~ ゲスト:中島晴矢さん(現代美術家)
12/14(金)18時~ ゲスト:岸井大輔さん(劇作家)
12/15(土)18時~ 佐藤研吾レクチャー
12/21(金)18時~ ゲスト:小国貴司さん(Books青いカバ店主)
12/22(土)18時~ 佐藤研吾レクチャー
ご予約はメールにてお申し込みください。 info@tokinowasuremono.com

●佐藤研吾展の出品作品を順次ご紹介します。
sato-20佐藤研吾 Kengo SATO
《中心について考える1》  
2018年
印画紙
23.5×23.5cm
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●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は通常は休廊ですが、「佐藤研吾展―囲いこみとお節介」(12月13日[木]―12月22日[土])開催中は無休で開廊しています。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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