ただいま開催中の「佐藤研吾展―囲いこみとお節介 」はおかげさまで年末の慌しい時期にもかかわらず連日たくさんの方がご来廊になり、作家の佐藤さんと熱い議論を交わしています。
会期は本日を入れて残り三日間、建築家の佐藤研吾さんの初の個展です、どうぞお見逃しなく。

17時に事務所を出て表参道駅から千代田線、南北線を乗り継ぎ駒込駅で下車。本郷通りを南へ約10分歩いてギャラリー〈ときの忘れもの〉へ18時15分前に着く。阿部勤設計のRC住宅を転用したギャラリーで、住宅スケールの空間に佐藤研吾のドローイング、木製の小箱によるピンホールカメラのオブジェ、それで撮ったモノクロ写真が展示されている。18時から佐藤研吾のスライドレクチャー開始。10畳余の部屋に約20人の聴衆。福島での現在の仕事、木製ピンホールカメラを複数配置した空間的なインスタレーション、日本で製作した家具を持ち込みインドで建設した住宅などについて約1時間のレクチャー。その後、会場との質疑応答。早稲田大の渡邊大志さんから佐藤さんの建築思想に関する質問から始まり、阿部勤さんや美術関係の人からも質問が出る。僕も議論に加わったが、通常の建築家とは異なり職人的アーティストしての活動を展開している点に感心すると同時に、佐藤さんのデザインボキャブラリーのほとんどがモダニズム初期に起源があるように見えるのが気になる。佐藤さんはその点をあまり自覚していないように思えるがどうなのだろうか。デザイン思想としてはウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動を引き継いでいるようだし、デザイン・ボキャブラリーとしてはデ・スティルやヘリット・リートフェルトやデッサウのバウハウスを想起させる。佐藤さんが自分のデザインについて〈構成〉という言葉を繰り返し使っている点にも引っかかる。日本ではかつて〈Russian Constructivism〉を〈ロシア構成主義〉と訳して以来、〈構成〉と〈構築〉つまりcompositionとconstructionの使い分けが混乱しているからである。言語は一種の慣習だから、この種の混乱は今後も続いていくのだろうが、せめて〈構成〉と〈構築〉を一対の概念として意識的に使い分けるべきだと思う。19時半過ぎに終了。その後、廊下に出てワインをいただきながら歓談。ギャラリーオーナーの綿貫さんと先日上野で見たデュシャンの〈大ガラス〉について情報交換する。
http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53154300.html
20時過ぎにギャラリーを出て、歩いて約5分の中華料理屋で会食。綿貫夫妻に加えて、阿部勤、佐藤研吾、同啓輔、金子遥洵が参加。ギャラリー経営の難しさや佐藤、金子のNPO活動の話を聴く。紹興酒の酔いが回り、いつもながら駄弁を弄したことを反省する。21時半に店を出て、南北線の駒込駅に向かう途中で綿貫夫妻にお礼の挨拶をし、阿部さんとは市ヶ谷駅で別れ、表参道で下車して23時前に帰宅。ウィスキーを呑みながら今日の佐藤さんのレクチャーを反芻。岡啓輔を含め、石山修武が提唱する職人的な建築家の可能性について考えを巡らせる。これがボトムアップな建築家像の究極的なあり方かもしれないなどと考えながら1時前に就寝。

(20181215/難波和彦先生のブログより)>

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左から阿部勤先生、難波和彦先生、画廊亭主


佐藤研吾の個展「囲い込みとおせっかい」於:駒込のギャラリー「ときの忘れ物」ギャラートークに参加
難波さんも来ている、ビックリ。佐藤さんが難波さんの教え子とのこと、色々な活動をされている方がたにお目にかかり世界がひろがる。

(20181216/阿部勤先生のfacebookより)>

📍ときの忘れもの
佐藤研吾展―囲いこみとお節介
作家の話聞けてとても勉強になりました。妖怪みたいにこっちを見てくる、気取らない感じもする。民芸の話もいいなと思った。I visited the gallery to hear the artist lecture. Art works look me kind of Yokai and heve the down-to-earth mood.

(20181216/goldenmilkvisitさんのtwitterより)>

東洋文庫の2つ隣の青いカバさんを覗いて、物色したい欲を振り切ってときの忘れものの佐藤研吾展へ。ご本人にお話がうかがえて良かった!
(20181216/おけいさんのtwitterより)>

演劇が苦手なんだけど、この一週間ほどトークを聞きに行ったり、そのあと呑んで話したり、演ずることの意味を考えてた。
建築の(表現)やら(装飾)を考える上で、そのあたりが重要だと考えてる。

演ずることの嘘っぽさがイヤだったんだけど、
演劇というものは、(嘘)を使って(真実)を伝えるのだなと思い、
ものすごい困難な表現形式なんだなぁと、。

兎に角、モノを作るやり方を掴みたいわけなんだけど、
演ずる事の近くに(遊ぶ)があり、これも可能性大で考え進めたいと思った。佐藤研吾やヒスロムはそのあたりに手を出している。

(20181217/蟻鱒鳶ルダー・岡啓輔さんのtwitterより)>
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《囲い込むためのハコ1》
2018年 クリ、ナラ、アルミ、柿渋、 H80cm Signed

福島民報1218付記事
「福島民報」12月18日付記事

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<14日夜の、劇作家・岸井大輔さんとのトークイベント、お越しいただいた方々どうもありがとうございました。
一時間という短い時間の中で、岸井さんの高速展開の話にしがみつく感じで話続けましたが、
ヒトモノの複数性、異なるヒトモノが複数あること。九鬼周造『いきの構造』と岡倉天心『茶の本』について(茶の本では均斉性を破ることについて)。ダナ・ハラウェイのフェティシズム論とモノの気配(という危うい観念)、と人権破棄に陥りかねないというクリティカルな指摘。日本建築の柔らかさと隙間としての「遊び」。区界の前例主義とその起源となる明治初期の地租改正事業と、死馬捨場の立地。
など、
書き漏れていることもありそうですが、当方の展示、作ったものについてかなり根っこをエグられたお話でした。

今週末の、
12/20 Books青いカバ小国さんとのトーク「家郷について、東北と東京あたり
12/21 佐藤研吾レクチャー2「次の移動先を考える

もぜひご参加ください--。
佐藤研吾)>
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●今日のお勧め作品は、小田襄です。
oda_01小田襄 Jo ODA
《銀世界-夢》
1974年
メタルリーフプリント
Image size: 28.8×21.6cm
Sheet size: 39.3×34.0cm
Ed.200 Signed 
*現代版画センターエディション
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ときの忘れものは「第306回企画◆佐藤研吾展―囲いこみとお節介 」を開催しています。
会期:2018年12月13日[木]―12月22日[土] 11:00-19:00 ※会期中無休
306
インド、東京、福島という複数の拠点を往還しながら創作活動に取り組んでいる建築家・佐藤研吾の初個展を開催します。
本展では、自身でデザインし制作した家具としてのハコや、ピンホールカメラ(ハコ)とそれを使って撮影したハコの写真、またハコのドローイングなど、独自の世界観をご覧いただきます。
会期中、作家は毎日在廊予定です。
以下の日程で以下のゲストをお迎えし、ギャラリートークを開催します。
※要予約、参加費1,000円、複数回参加の方は二回目からは500円
12/13(木)ゲスト:中島晴矢さん(現代美術家)とのトークは終了しました。
12/14(金)ゲスト:岸井大輔さん(劇作家)とのトークは終了しました。
12/15(土)佐藤研吾レクチャーは終了しました。
12/21(金)18時~ ゲスト:小国貴司さん(Books青いカバ店主)
12/22(土)18時~ 佐藤研吾レクチャー
ご予約はメールにてお申し込みください。 info@tokinowasuremono.com

●佐藤研吾展の出品作品を順次ご紹介します(全作品の画像と展示風景は12月16日のブログをご覧ください)。
sato-19佐藤研吾 Kengo SATO
《歩き出すための運動》
2018年
紙、鉛筆、色鉛筆
32.0×54.5cm
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●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は通常は休廊ですが、「佐藤研吾展―囲いこみとお節介」(12月13日[木]―12月22日[土])開催中は無休で開廊しています。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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