10月12日(土)の台風19号により、書庫の多くの資料に水濡れが発生してしまいました。
被害の全容は現時点で明らかではありませんが、1~2万冊に達するのではないかと推計しております。
雨量が第三書庫屋上の排水能力を超えたため、屋上の扉から浸水し第二書庫1~4階、及び第三書庫地下~4階の全フロアに流れ込み、床を通して階下の資料へ雨漏りしました。
図書館では10月13日(日)より、床の排水作業及び水損箇所の調査、資料の抜き出しと乾燥作業を行っております。

一橋大学附属図書館のHPより)>
人命が失われ、各地のインフラも寸断状態、美術館や図書館のような文化施設にも被害が及んでいます。川崎市市民ミュージアムの地下収蔵庫の水没の惨状は驚きです。電話も不通です。開館時にウォーホルの版画をまとめて購入していただいたのですが、果たして無事でしょうか。
自然災害の脅威をまざまざと感じる日々です。

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ただいま開催中の「松本竣介と『雜記帳』」展、ありがたいことに昨日も遠く広島や京都からも来場がありました。カタログも好評です。

弱冠24歳の松本竣介が編集・刊行した雑誌『雜記帳』(1936~1937年)には毎号、多くの執筆者とともに5人から8人ほどの作家たちが挿画を寄せています。
耳の聞こえなかった竣介は当時の第一線の作家たちに依頼状を書いて送ります。多忙やその他の理由で断る作家もいましたが、依頼された多くが快く作品(挿画)を寄せてくれたようです。
本日紹介する海老原喜之助の作品は第6号に掲載されています。
雑記帳06p01海老原喜之助雜記帳06号p01所収 海老原喜之助

本展では、海老原喜之助が戦後に制作した版画作品を展示しています。
出品No.11 海老原喜之助《本を焼く人》
011_Ebihara1956
リトグラフ
Image size: 56.0×40.6cm
Sheet size: 64.0×45.2cm
Ed.50
サインあり
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

海老原喜之助(1904-1970) Ebihara Kinosuke
鹿児島県生まれ。17歳で上京、アテネ・フランセでフランス語を学びながら川端画学校に学ぶ。1923年に19歳で渡仏、藤田嗣治に師事し、生涯にわたり師と仰いだ。1927年サロン・ド・レスカリエ第10回展にカンピリ、ジャコメッティと3人展を開催、アンリ・ピエール・ロッシュと契約を結ぶ。「エビハラ・ブルー」と呼ばれた鮮やかな青の色彩を多用し、雪景の連作や馬をモチーフにした作品を数多く制作する。二科展、サロン・ドートンヌに出品、パリ画壇で注目されはじめ、エコール・ド・パリの次期の担い手として嘱目される。1934年帰国、翌年独立美術協会会員となる。1945年熊本県水俣市に疎開、そこで終戦を迎えた後、暫くは絵筆を折った。1950年第1回南日本文化賞を受賞、翌年熊本市で海老原美術研究所を創立。読売アンデパンダン展に『殉教者』他を出品して画業を再開した。1966年から断続的に渡仏。1968年に藤田の死去に際して葬儀を取り仕切り、その後はヨーロッパのロマネスク美術を訪ね歩きながら創作活動を続けた。帰国を目前とした1970年癌のためパリで客死。

明日20日(日)から22日(火、祝日)までの三日間は休廊です。

◆ときの忘れものは「松本竣介と『雜記帳』」展を開催しています。
会期:2019年10月8日(火)~10月26日(土) *日・月・祝日休廊
両面
「松本竣介と『雜記帳』」展図録のご案内
松本竣介と雑記帳2019年 
ときの忘れもの刊
B5判 44ページ
テキスト:小松崎拓男
収録作家:松本竣介恩地孝四郎福沢一郎海老原喜之助難波田龍起鶴岡政男桂ゆき
価格:1,100円(税込)
梱包送料:250円

*メールにてお申し込みください。

・松本竣介の画集、カタログを特別頒布しています。
小松崎拓男さんの連載エッセイ「松本竣介研究ノート」は毎月3日の更新です。
・大川美術館の小此木美代子さんのエッセイ/「松本竣介 アトリエの時間」について
・東京国立近代美術館の大谷省吾さんのエッセイ「松本竣介の素描について」
・練馬区立美術館の喜夛孝臣さんのエッセイ/花束の如く美しく―「松本竣介と野田英夫―大川美術館収蔵品を中心に―」展を見て―
植田実さんの連載エッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」(全14回)
深野一朗さんのエッセイ「ヤノベさんと松本竣介」

11月2日(土)東京・目白で第2回 久保貞次郎の会が開催されます。ゲストは写真家の細江英公先生と、名古屋大学大学院教授の栗田秀法先生です。どうぞご参加ください。

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。