今週のWATANUKI'S CHOICE 第14回:安藤忠雄

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安藤忠雄「近つ飛鳥博物館」

日本は、近代を受け入れる過程で、もっとも重要な自我に目覚めた〈個人〉をないがしろにしながら、効率や合理性の名の下に〈夢想〉や〈狂気〉を排除していった。そして、画一化の中、日本人は他者と自己を区切り自立することに極めて臆病であり〈凡庸〉や〈慣習〉を信奉する国民となった。
私は〈個〉からの発想を大切にしたい。豊かな〈個人〉が、豊かな〈家族〉、〈地域〉〈国家〉、〈世界〉をつくっていくという当然とも思えることを私は信じている。そして、近代の枠に収まらない〈個人〉がもつ〈直感〉や〈夢想〉、〈狂気〉こそが建築に生をもたらし、そこに住む人間に活力を与えていくのだと思っている。

(安藤忠雄『家』より)

2019年04月26日|スタッフS「Tadao Ando. The Challenge」
2018年10月27日|安藤忠雄の初期版画
2018年10月26日|スタッフS「Tadao Ando, Le defi」
2017年12月04日|植田実「安藤忠雄展―挑戦―」
2017年11月06日|光嶋裕介「安藤忠雄展を見て 手の痕跡が示す〈挑戦〉の彼方」