小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第44回

今月は番外編です。
古本屋がずっと好きでしたが、目録の世界に足を踏み入れたのは、ここ10年くらいと割と最近です。そんな中でも、毎号届くのをとっても楽しみにしているのが「港や書店」さんの目録です。港やさんは建築史や都市資料の専門店ですので、建築関係のお客様も多いであろうこのときの忘れものさんのブログの読者の方も、ご存知かもしれません。
この港やさんの目録を見ていると、本当に勉強になります。
目録の項目の並びや、一つずつ資料の解説(と言っても、一行とか数行の物がほとんどの短いもの)を読んでいると、「じ、じつぶつを見てみたい!」と思わせるのです。目録は魔物だな、と本当に思います。そして憧れます。
ただし、目録も見ているだけでは、作り手に一銭も入りません。いや、むしろその製作費や送料を考えると、何か買わないといけない。でも同業者に買われるのは、むしろ迷惑な・・・?などと思いながら、多少罪悪感を抱えながら、目録を楽しんでいました。(矛盾?)
思い切って港やさんに「買っても良いですか?」とたずねると、「いや、むしろ買ってよ!」という当然のお言葉が。
そして今回手に入れたのが、こちらです。

202103小国貴司‗写真1

「箱根強羅温泉分譲地」のチラシです。
え?なぜ買ったのかって?
よく見てみてください。
チラシを発行している分譲社は「箱根土地株式会社」。そう、あの西武グループの堤康次郎が作った会社なのです!
西武の歴史や、百貨店・流通関係をもっと勉強しよう(古本屋として)と思っている私が気にならないはずがない。手に入れて、隅々まで堪能しております。
と、ここまで書いていて、こんなものを仕入れていたことを思い出しました。
市場で「英文資料」として出ていたものに混ざっていた一つです。

202103小国貴司‗写真2

202103小国貴司‗写真3

裏書で「櫻ノ町線」とあり、おそらく名古屋のどこかであろうと思われる戦前の風景です。
これもルーペを使って隅々堪能しましたが、どうでしょう?すごくいい町並みが写っていると思いませんか?
ほかにも数枚写真があり、どうやって売れば良いのか思案しておりますが、もし気になる方は、お店にいらしたときに声をかけてみてください。値段を付けておきたいと思います。
本だけでなく、流通関係の資料や写真、ポスターなども買取しておりますので、ぜひご相談ください!
港やさんは日本の古本屋からも買うことが出来ます。
詳しくはこちらへ。
日本の古本屋 / 港や書店について(kosho.or.jp)
おくに たかし

小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。

■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。

*画廊亭主敬白 お詫び
東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏に発令されている緊急事態宣言が延長の見込みです。
画廊では引き続き「来廊される方へは事前の予約制」をお願いし、「スタッフは在宅勤務」を主に交代で作業を進めています。コロナウイルス禍でもありがたいことにたくさんのご注文をいただいていますが、年度末と重なり、額縁屋さんからの納品が大幅に遅れています。まことに申し訳ないのですが、作品のお届けに通常よりお時間をいただいています。どうぞご理解ください。

●本日のお勧め作品はマン・レイです。
ManRay_49マン・レイ《アンドレ・ブルトン
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:30.2×24.4cm
シートサイズ:35.6×26.4cm
裏面にスタンプあり
※ピエール・ガスマンによるモダンプリント(1990年)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


●東京・天王洲アイルの寺田倉庫 WHAT で「謳う建築」展が5月30日(日)まで開催され、佐藤研吾が出品しています。

●ときの忘れものが青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転して3年が経ちました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。