吉原英里展-不在の部屋-2021を開催します。
緊急事態宣言が延長され、ほとんどの美術館は休館、画廊も臨時休廊が多いようです。
私たちもどうしようかと苦慮したのですが、可能な限りの予防対策をとった上で、来廊者が重複しないよう調整し、予約制での開催にいたしました。
皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

吉原さんの今回の個展は大作を中心に13点(詳細はコチラ)を展示しました。

展示風景
01正面の壁には"Sound of Silence 4" 2020年 ミクストメディア 162×260cm (162×130cm×2枚組)

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05《青いカーテン》 2015年 エッチング、ラミネート 45×45cm(額付61×61cm) Ed.10

07"Sound of Silence 3" 2020年 ミクストメディア 162×130cm×2枚組

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11《午睡 1》 2016年 ミクストメディア 90×180cm(90×90cm×2枚組)

13《ケリーのノート・アボカド》 2010年 ミクストメディア 72.7×60.6cm(20号F)

14"Garden 2012-2" 2012年 インスタレーション 90×90cm(3枚)/60×60cm/額装版画41.3×34.5cm

20《午睡・薫風》 2016年 ミクストメディア 41×31.8cm

21《マークロスコの椅子》 2009年 エッチング、ラミネート イメージサイズ:40.0×50.0cm シートサイズ:51.4×60.8cm Ed.30

22《ピカソのオブジェ》 2009年 エッチング、ラミネート イメージサイズ:30.0×36.5cm シートサイズ:40.0×47.0cm Ed.30

23《夏の影・ノート》 2006年 エッチング、ラミネート イメージサイズ:30.0×36.5cm シートサイズ:41.7×46.7cm Ed.30

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25左)《水の音》 2014年 エッチング、ラミネート Ed.30 96×63cm(額付105×75.5cm)
右)《鳥の声》 2014年 エッチング、ラミネート Ed.30 96×63cm(額付105×75.5cm)

26《Gの散歩》 2013年 エッチング、ラミネート イメージサイズ:36.5×30.0cm シートサイズ:48.0×40.0cm Ed.30

デビュー当時からのことは、吉原さんの回想をお読みいただきたいのですが、
1960年代は版画の時代であり、池田満寿夫靉嘔菅井汲らはベニスビエンナーレをはじめとする世界の舞台で活躍していました。
1970年代は停滞の時代と言われたのですが、木版大作の磯見輝夫の登場は記憶に残る事件でした。
そして1980年代、颯爽と登場したのが吉原英里でした。重苦しい雰囲気が多かった従来の銅版画作品の壁を軽々と乗り越え、ラミネートという独自の技法を編み出したセンス、さわやかな色彩感覚はまさに新星の誕生でした。

私の初個展は1984年大阪の番画廊でした。その個展で前年に開発した私のオリジナルである「ラミネート技法」を使った銅版画「イタリアの風」シリーズを発表しました。(中略)
大阪での私の初個展はお陰で大盛況となり、新聞に展評が載ると、普通のサラリーマンやOLがお昼休みに並んで見に来て買って行くという状況でした。たった6日の会期で100点以上の売り上げがあり、またその事が新聞の記事になりました。そんな状況でしたので、私は刷りに追われ、初個展だというのに殆ど在廊出来ませんでした。画廊主の松原さんから「版画センターの綿貫さんが20点全種類お買い上げくださいました。」と報告を受けましたが、今ひとつ事の重大さが認識できていなかったと思います。
綿貫さんは後にそれらの作品を様々な場所に出品して下さり、ギャラリー方寸で「Hosun New Prints 1」や伊勢丹での「MODERN PRINTS'85 同時代版画四十年展」に参加することができました。その後も、綿貫さんとは戸賀村の国際演劇祭でご一緒させていただいたり、アートフェアーなどでお会いしてお話しする機会はありましたが、「ギャラリーときの忘れもの」で、個展をさせていただくことになるとは想像もしていませんでした。本当に不思議な巡り合わせを感じます。綿貫さんから頂いたお手紙の中に、「紅茶のティーバッグを包み込んだ銅版画を初めて見たときの新鮮な驚きを今でも思い出します。間違いなく、80年代の新星の登場に私たちは興奮しました。」とあり、大変嬉しく感じました。そのことをきっかけとして、36年経った今の私がフレッシュだったという若い頃の印象に負けないようにと自らを鼓舞する毎日です。

2020年11月25日ブログ:吉原英里のエッセイ「不在の部屋」第3回より)>

久しぶりの東京での展示ですが、コロナウイルス禍で作家の在廊ができない状況になり残念です。
一人でも多くの方にご覧いただきたいと願っています。

「吉原英里展―不在の部屋-2021」(予約制/WEB展)
会期=2021年5月12日(水)~5月27日(木)*日・月・祝日は休廊
※観覧をご希望の方は事前にメールまたは電話にてご予約ください。
329_a1984年の初個展で華々しいデビューを飾った吉原英里は、帽子やティーカップ、ワインの瓶など身近なものをモチーフに、独自の「ラミネート技法」で銅版画制作を始めました。その後、インスタレーションへと展開し、版画とペインティングを融合したミクストメディアなどの発表を行なっています。本展では、新作のミクストメディアからラミネート技法をつかった銅版画など、約13点をご覧いただきます。出品作品は5月8日ブログに掲載しました。
●YouTubeにて『吉原英里展-不在の部屋-2021 作家インタビュー』公開中です


●ときの忘れものが青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転して3年が経ちました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。