駒井哲郎を追いかけて第74回

久しぶりの駒井哲郎展、会期も今日を入れて残り3日となりました。
おかげさまで あがた森魚さん(赤色エレジーが大ヒットしたのは1972年、駒井先生もお聴きになっているはず)のようなオールドファンだけではなく、卒論で長谷川潔を書いているという女子大生、横浜美術館での「駒井哲郎―煌めく紙上の宇宙」を見て駒井ファンになったという男性など亭主が待ち望んでいた若い方たちもたくさん来廊されています。
生きているときはスターだったのに、亡くなってしばらくたつと忘れ去られるという事例をいやというほど見てきた亭主は「亡くなればどんな作家も99.999%忘れられます。生身の作家を知らない若い世代のコレクターが出現したときにようやく作家は甦ります」と言い続けてきました。

ときの忘れものは有名な物故作家ばかりだね、とよく言われます。
瀧口修造(1903年生まれ)
難波田龍起(1905年生まれ)
瑛九(1911年生まれ)
オノサト・トシノブ(1912年生まれ)
松本竣介(1912年生まれ)
内間俊子(1918年生まれ)
菅井汲(1919年生まれ)
駒井哲郎(1920年生まれ)
内間安瑆(1921年生まれ)
元永定正(1922年生まれ)
ジョナス・メカス(1922年生まれ)、
たしかに明治、大正生まれの方が多いのですが、亭主がお目にかかっていないのは、瑛九と松本竣介だけです。他の作家たちは亭主にとっては物故ではなく、時代をともにし、幸運にも仕事をご一緒できた方々ばかりです。

最初に駒井作品を買ったのはサラリーマン時代の1970年頃でしたが、最晩年の1975年、現代版画センター企画による「駒井哲郎新作発表全国展」を開催させていただきました。
画商になってからは、幸い素晴らしいお客様に恵まれ、たくさんの作品を扱うことができました。
・「駒井哲郎 -福原コレクションをめぐって-
 *駒井哲郎展 福原コレクション図録(2000年4月 世田谷美術館)所収
・「再び福原コレクションについて 発見された駒井哲郎
 *福原コレクション 駒井哲郎作品展 未だ果てぬ夢のかたち- 図録(2003年11月 資生堂)所収
珍しい駒井作品が入ってくるたびに、文献を漁り、調べ、ときには新たに発掘できたことなどをブログに書き綴ってきました。

駒井哲郎を追いかけて・総目次

第1回/2006年01月27日|連載開始にあたって

第2回/2006年02月01日|岡安常武詩集<GOLGOTHA >

第3回/2006年02月04日|「束の間の幻影」はいったい何枚刷られたか(1)

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第4回/2006年02月10日|「束の間の幻影」はいったい何枚刷られたか(2)

第5回/2006年02月15日|「束の間の幻影」はいったい何枚刷られたか(3)

第6回/2006年02月18日|「束の間の幻影」はいったい何枚刷られたか(4)

第7回/2006年02月23日|「束の間の幻影」はいったい何枚刷られたか(5)

第8回/2006年03月10日|駒井哲郎と日本橋

第9回/2006年06月15日|新発掘の初期作品

駒井哲郎「風景」初期新発掘

第10回/2006年06月29日|呑まれてしまった原版

第11回/2006年08月15日|珍品「からんどりえ表紙別刷り」

第12回/2006年08月19日|人それを呼んで反歌という

第13回/2006年08月23日|モノタイプ作品はいったいどのくらい制作されたか

第14回/2006年09月16日|最初のカラー作品

駒井哲郎・分割された顔

第15回/2006年10月10日|サイン入りは何枚あるか

第16回/2006年10月26日|誰か「コスモス」を知らないか

第17回/2006年10月31日|大コレクターが語る駒井哲郎

第18回/2006年11月15日|「沈黙の雄弁」所収の後刷り

第19回/2006年11月23日|福原義春氏の講演

第20回/2006年12月11日|名作にみる謎の限定部数(前編)

駒井哲郎樹木ルドンによる素描

第21回/2006年12月18日|名作にみる謎の限定部数(後編)

第22回/2006年12月31日|駒井哲郎のパリ時代

第23回/2007年06月02日|駒井作品の限定部数

駒井哲郎・記号の静物
駒井哲郎エチュード

第25回/2007年12月26日|
久保貞次郎先生のシール

第26回/2008年02月12日|新発掘!初期作品2点

駒井哲郎船着場~駒井哲郎港

第27回/2008年05月17日|初期木版画遂にあらわれる

駒井哲郎木版1駒井哲郎木版2

第28回/2008年05月24日|駒井哲郎の初期木版画

第29回/2008年08月30日|駒井哲郎の作品タイトル

第30回/2008年09月16日|馬場駿吉コレクション

第31回/2008年09月22日|馬場駿吉宛書簡

第32回/2008年10月08日|限定番号1番と2番

第33回/2008年10月15日|中野美術館で

第34回/2008年10月21日|ワタリウム美術館のコレクション

第35回/2008年12月08日|銀杏忌の会

第36回/2009年06月02日|名作「笑う幼児」の不思議な限定番号

駒井哲郎「笑う幼児」

第37回/2009年06月30日|福井で駒井哲郎版画展

第38回/2009年11月18日|実物を見なければその凄さはわからない~異色の駒井哲郎コレクション~

第39回/2009年11月20日|今日からS氏コレクション駒井哲郎展

第40回/2009年12月07日|瀧沢恭司コレクションの異端―S氏駒井哲郎コレクションについて思うこと

第41回/2010年01月08日|駒井哲郎を追いかけて~懺悔とお詫び~

第42回/2010年02月28日|ときの忘れものアーカイブスvol.4~駒井哲郎展~

第43回/2010年05月08日|大分市美術館で駒井哲郎展

第44回/2010年11月08日|資生堂ギャラリーで駒井哲郎展
駒井展11


第45回/2010年11月24日|駒井哲郎作品展/福原コレクション

第46回/2010年12月19日|銀杏の会、駒井哲郎作品展

第47回/2011年04月16日|駒井哲郎全国巡回展始まる

駒井哲郎「黄色い家」駒井哲郎「クラブのA」

第48回/2011年06月12日|駒井哲郎の2冊のカタログ

第49回/2011年06月27日|駒井哲郎と彼が敬愛したアーティスト達・A氏コレクションより

第50回/2012年11月08日|石洞美術館「駒井哲郎銅版画展」

第51回/2012年12月21日|作家の思いがこもる駒井哲郎コレクション/石洞美術館

第52回/2013年02月26日|駒井哲郎の木版画

第53回/2013年03月03日|駒井哲郎と南画廊

南画廊案内状1956年南画廊案内状1958年

第54回/2013年03月12日|「現代への扉 実験工房展 戦後芸術を切り拓く」神奈川県立近代美術館

第55回/2013年08月30日|駒井哲郎の廃版(レイエ)作品

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第56回/2014年05月18日|駒井哲郎の新発掘の木版画、再び現る

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第57回/2016年02月14日|忘れられた版元 駒井哲郎と日和崎尊夫

第58回/2016年06月23日|南画廊と駒井哲郎

第59回/2016年10月12日|駒井哲郎の超希少作品「山口長男とM氏コレクション展」より
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第60回/2016年10月18日|再び奇跡が起こった~駒井哲郎「悪僧」
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第61回/2016年11月20日|没後40年 駒井哲郎「丸の内風景」はいつ作られたか

第62回/2017年09月16日|駒井哲郎の詩画集、挿画本
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第63回/2017年09月22日|必見! 埼玉近美の「駒井哲郎 夢の散策者」展は10月9日まで

第64回/2017年11月21日|実験工房の人たち

第65回/2018年01月22日|駒井哲郎最晩年の価格

第66回/2018年09月14日|駒井哲郎を追いかけて

第67回/2019年06月17日|時間の玩具

第68回/2020年04月06日|誕生祝い

第69回/2020年07月06日|西田武雄と室内社画堂
西田武雄エッチング58号/0877_大垣 よりの駒井君と西田講師


第70回/2022年02月16日|駒井哲郎と瀧口修造
図版3.「第17回オマージュ瀧口修造 駒井哲郎展」カタログより


第71回/2022年02月19日|駒井哲郎と恩地孝四郎

第72回/2022年02月21日|駒井哲郎と長谷川潔

第73回/2022年02月22日|駒井哲郎の色彩世界、カタログ頒布のご案内
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●本日のお勧めは駒井哲郎です。
komai_32-7駒井哲郎 Tetsuro KOMAI
《影》〈日本の四季〉より冬
1975年
エッチング
イメージサイズ:25.5×23.5cm
シートサイズ:44.0×34.0cm
E.P.
サインあり
発行:北辰画廊
※レゾネNo.322(美術出版社)
※この作品は単品販売です。
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

「生誕100年 駒井哲郎展 Part 2 駒井哲郎と瀧口修造」
会期=2022年2月8日(火)~26日(土) 11:00-19:00 ※日・月・祝日は休廊
2月9日ブログに出品全作品の画像、データ、価格を掲載しました。
駒井哲郎と瀧口修造展DM
駒井表紙画像1280
「生誕100年 駒井哲郎展」カタログ

1,540円(税込み)+送料250円
A5変形、56ページ、
出品/駒井哲郎、瀧口修造、恩地孝四郎、長谷川潔、オディロン・ルドン、パウル・クレー
執筆/栗田秀法土渕信彦
編集・デザイン/柴田卓
発行/ときの忘れもの

2020年に銅版画の詩人と謳われた駒井哲郎(1920-1976)の生誕100年の記念展「Part1 若き日の作家とパトロン」を開催しました。
今回の「Part2 駒井哲郎と瀧口修造」では詩人・安東次男との詩画集『人それを呼んで反歌という』全点を展示するほか、その才能にいち早く注目した詩人・評論家の瀧口修造など駒井が影響を受けた作家たちの作品も合わせてご覧いただきます。