リレーエッセイ「伊藤公象の世界」
第12回 堀江ゆうこ「BLUE PEARLの襞」との旅 ③
以前にも書いたが、私が伊藤先生の作品に出合ったのは2009年の東京都現代美術館での展覧会だった。
以来、先生の作品に惹かれ・・というより「襞」の世界に突入した人生を送っている。
もちろん、2009年の時点では後に先生の作品集に写真を提供する事になるとは夢にも思っていなかった・・が、こんな風にを回想しはじめるとそれ以前の2015年、東京都現代美術館がリニューアル工事のため長期休館に入る直前の展示が思い出される。
開館20周年記念 MOTコレクション特別企画第3弾
『コレクション・ビカミング』
2015年1月24日~6月28日
先生とご家族の皆さんは美術館近くのホテルに泊まりこみ、3日以上掛かっての大掛かりな設営となり、私にとっては初の設営お手伝いができた印象深い数日間だった。
設営のため休館になっている美術館に入るのはもちろん、学芸員の方々や大勢の設営スタッフに接するのも初めてで、少し緊張しながら展示会場の天窓から射す、時間と共に変わる陽の角度を見逃がすまいと撮影し続けていたのを覚えている。
倉庫から続々と運び出され、展示会場の壁際に延々と仮置きされていく作品のパーツは約3000も有った。
先生は皆におおよその設営イメージを説明(ハッキリ分かるのは設置面積だけ)をしながら
ドンドン設置を進めていく。初めはどう動けば良いのか分からずにいた設営メンバーも全体を見ながら作業に取り掛かり、そうするうちに先生の頭の中の仕上がりイメージが徐々に皆に伝わり始めた。


1月らしく雪が降ったり晴れたりと天窓からの光がコロコロ変わる会場で黙々と設営に集中していた時、ふと先生の作品の一部を持つ自分の手を見て妙な感覚に・・「これは? え? 確か自分はこの美術館で先生の作品に痺れて各地の展示を追いかけて観ていたんだった・・けど今、目の前に設営途中の光景があって、何故か手には先生の作品があって・・一体何が起きてこうなった?」と大げさに書くとタイムスリップでもしたかのようだった。すぐ我に帰り慌てて作品を持つ自分の手を記念撮影した。
設営の合間に先生は作品が何故こんな風に光るのか、とか使っている素材の説明もしてくださった。陶芸に知識が無い私でも分かるお話しに更に気持ちが引き締まり、この貴重な作品を写真で見返せるように! と設営途中でないと撮影できない中央部やパーツごとの撮影も増やしていった。
長い会期途中で展示替えもあり、また同様の作業にも参加させていただけた。
2013年、私が伊藤アトリエに伺い、作品購入後にを撮影をさせて欲しいとお願いした時に快く承諾くださった先生、いつも温かく迎えて下さるご家族にひたすら感謝です。
2022年8月 堀江ゆうこ


写真1413-1 写真4997-1
■堀江ゆうこ
2013年 造形作家・伊藤公象の作品を野外に設置しインスタレーション作品としての撮影を開始。
2015年~毎年、各地で個展開催。
2020年 4月初の写真集「Still Life」発売、銀座ギャラリー枝香庵にて発売記念の個展開催。
・伊藤公象、小泉晋弥、堀江ゆうこの三人によるリレーエッセイ「伊藤公象の世界」は、2022年9月までの一年間、毎月8日に掲載します。
●『ITO KOSHO 伊藤公象作品集』
『ITO KOSHO 伊藤公象作品集』
刊行:2022年6月
著者:伊藤公象
監修:小泉晋弥
監修助手:田中美菜希(ARTS ISOZAKI)
企画:ARTS ISOZAKI(代表・磯崎寛也)
執筆:小泉晋弥、伊藤公象、磯崎寛也
デザイン:林 頌介
写真:内田芳孝、堀江ゆうこ、他
体裁:サイズ30.6cm×24.6cm×1.6cm、164頁
日本語・英語併記
発行・編集:ときの忘れもの
価格: 3,300円(税込)+梱包送料250円
●陶オブジェ付の特別頒布(限定50個): 25,300円(税込)+桐箱代3,000円+梱包送料1,600円
*桐箱不要の方はダンボールの箱にお入れします(無料)。

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊
第12回 堀江ゆうこ「BLUE PEARLの襞」との旅 ③
以前にも書いたが、私が伊藤先生の作品に出合ったのは2009年の東京都現代美術館での展覧会だった。
以来、先生の作品に惹かれ・・というより「襞」の世界に突入した人生を送っている。
もちろん、2009年の時点では後に先生の作品集に写真を提供する事になるとは夢にも思っていなかった・・が、こんな風にを回想しはじめるとそれ以前の2015年、東京都現代美術館がリニューアル工事のため長期休館に入る直前の展示が思い出される。
開館20周年記念 MOTコレクション特別企画第3弾
『コレクション・ビカミング』
2015年1月24日~6月28日
先生とご家族の皆さんは美術館近くのホテルに泊まりこみ、3日以上掛かっての大掛かりな設営となり、私にとっては初の設営お手伝いができた印象深い数日間だった。
設営のため休館になっている美術館に入るのはもちろん、学芸員の方々や大勢の設営スタッフに接するのも初めてで、少し緊張しながら展示会場の天窓から射す、時間と共に変わる陽の角度を見逃がすまいと撮影し続けていたのを覚えている。
倉庫から続々と運び出され、展示会場の壁際に延々と仮置きされていく作品のパーツは約3000も有った。
先生は皆におおよその設営イメージを説明(ハッキリ分かるのは設置面積だけ)をしながら
ドンドン設置を進めていく。初めはどう動けば良いのか分からずにいた設営メンバーも全体を見ながら作業に取り掛かり、そうするうちに先生の頭の中の仕上がりイメージが徐々に皆に伝わり始めた。


1月らしく雪が降ったり晴れたりと天窓からの光がコロコロ変わる会場で黙々と設営に集中していた時、ふと先生の作品の一部を持つ自分の手を見て妙な感覚に・・「これは? え? 確か自分はこの美術館で先生の作品に痺れて各地の展示を追いかけて観ていたんだった・・けど今、目の前に設営途中の光景があって、何故か手には先生の作品があって・・一体何が起きてこうなった?」と大げさに書くとタイムスリップでもしたかのようだった。すぐ我に帰り慌てて作品を持つ自分の手を記念撮影した。
設営の合間に先生は作品が何故こんな風に光るのか、とか使っている素材の説明もしてくださった。陶芸に知識が無い私でも分かるお話しに更に気持ちが引き締まり、この貴重な作品を写真で見返せるように! と設営途中でないと撮影できない中央部やパーツごとの撮影も増やしていった。
長い会期途中で展示替えもあり、また同様の作業にも参加させていただけた。
2013年、私が伊藤アトリエに伺い、作品購入後にを撮影をさせて欲しいとお願いした時に快く承諾くださった先生、いつも温かく迎えて下さるご家族にひたすら感謝です。
2022年8月 堀江ゆうこ


写真1413-1 写真4997-1
■堀江ゆうこ
2013年 造形作家・伊藤公象の作品を野外に設置しインスタレーション作品としての撮影を開始。
2015年~毎年、各地で個展開催。
2020年 4月初の写真集「Still Life」発売、銀座ギャラリー枝香庵にて発売記念の個展開催。
・伊藤公象、小泉晋弥、堀江ゆうこの三人によるリレーエッセイ「伊藤公象の世界」は、2022年9月までの一年間、毎月8日に掲載します。
●『ITO KOSHO 伊藤公象作品集』

刊行:2022年6月
著者:伊藤公象
監修:小泉晋弥
監修助手:田中美菜希(ARTS ISOZAKI)
企画:ARTS ISOZAKI(代表・磯崎寛也)
執筆:小泉晋弥、伊藤公象、磯崎寛也
デザイン:林 頌介
写真:内田芳孝、堀江ゆうこ、他
体裁:サイズ30.6cm×24.6cm×1.6cm、164頁
日本語・英語併記
発行・編集:ときの忘れもの
価格: 3,300円(税込)+梱包送料250円
●陶オブジェ付の特別頒布(限定50個): 25,300円(税込)+桐箱代3,000円+梱包送料1,600円
*桐箱不要の方はダンボールの箱にお入れします(無料)。

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊
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