フルクサス新聞はジョージ・マチューナスによって1~11号まで発行されました。
ただいま開催中の「塩見允枝子+フルクサス」展ではスペースの都合で1~9号までを展示していますが、10号、11号もあり、全号揃っています。
9月9日のブログで1号~6号までをご紹介しましたが、本日は7号~11号(最終号)までをご紹介します。

出品No.56
フルクサス新聞( Fluxus Newspaper, #7)Fluxus 3 newspaper eVenTs for the pRicE of $1, No.7
Fluxus#7-1
Fluxus#7-2
1966.2 紙に両面印刷 57.8×86.8cm

通信販売やイヴェントの広告ではなく、新聞自体がイヴェントの舞台になっている第7号。タイトルもそのまま「Fluxus 3 newspaper eVenTs for the pRicE of $1(フルクサス新聞イヴェント3つで1ドル)」で、ベン・ヴォーティエ、オノ・ヨーコ、ジム・リドルのイヴェントが各1面に掲載されています。残りの1面には1965年のフルックスオーケストラと、久保田成子の作品として最も名高い、1965年のフルックスフェスで発表された「ヴァギナ・ペインティング」の画像が掲載されています。


出品No.57
フルクサス新聞( Fluxus Newspaper, #8)Vaseline sTREet fluxus , No.8
Fluxus#8-1
Fluxus#8-2
1966.6 紙に両面印刷 58.0×87.0cm

ハイレッドセンターの清掃イヴェントとホテルイヴェントの告知号。ホテルイヴェントの方は、タオル持参の注意書きがあります。第4面の通販広告はついに写真付きになっていますが、塩見允枝子の"spatial poem no.1~3"は文字のみの説明でした。


出品No.58
フルクサス新聞( Fluxus Newspaper, #9)JOHN YOKO & FLUX, No.9
Fluxus#9-1
Fluxus#9-2
1970 紙に両面印刷 58.0×97.0cm

ジョン・レノンとオノ・ヨーコを中心とした1970年前半(2月~5月)のイヴェントと、1969年12月31日のフルックスフェストの写真が大量に掲載された号。掲載順序が番号順になっていないため、キャプションに沿って画像を確認しようとすると頻繁にページを前後させられます。


出品No.59
フルクサス新聞( Fluxus Newspaper, #10)FLUXUS maciuNAs V TRE FLUXUS, No.10
フルクサス新聞10_1280
フルクサス新聞10裏
1976.5 紙に両面印刷 58.5×90.0cm

第2号以来の「FLUXUS V TRE FLUXUS」のタイトルに「maciuNAs」を崩した文字の塊が挿入された第10号。
タイトル下には「laudatio scripta pro george」、ラテン語で「ジョージ(マチューナス)を讃辞する台本」と書かれており、第1面と第4面の内容は靉嘔がマチューナスに送った三行詩や、塩見允枝子のマチューナスがフルクサスメンバーをボタンで操作するイヴェントのプレゼンテーションなど、マチューナスに関連するものになっています。中面中央は「マチューナスの物理化学分析」と題して、MACIUNASのアルファベットに含まれる元素記号の解説が掲載されています。


出品No.60
フルクサス新聞( Fluxus Newspaper, #11)a V TRE EXTRA, No.11
フルクサス新聞11_1280
1979 紙に両面印刷 38.5×58.0cm

1978年5月9日にマチューナスが46歳で亡くなった後、1979年3月に刊行された第11号。ナンバリングはされていますが、タイトルにもEXTRAとあるように、それまでのフルクサス新聞とはサイズが異なり、またそれまでは4面のみだったページが16面に増えています。
主題はマチューナスの追悼特集なのですが、記事の内容は虚実入り交じりというか、ほとんど架空記事で、第1面ではフルクサスの司祭として92歳で心臓麻痺に倒れたマチューナスは、記事の3行目で強盗・強姦事件の被害者となり、6行目では女性と書かれるカオス振りです。ちなみに見出しは「Heart」が「Hart」になっていますが、直訳すると「彼は雄鹿の襲撃により、夏の宮殿で死亡した」となります。普通に考えれば誤字ですが、続く文章の混迷具合を見るとワザとHartとした可能性も否定できません。
塩見允枝子による日本語の訃報も掲載されていますが、その中ではマチューナスは解剖学の権威にして元群馬大学長になっており、死亡後は本人の希望により同大学の人体標本になったと書かれています。
第16面の最後に書かれているドイツ語「ich gebe nicht auf!」は「私はあきらめない!」という意味です。


出品No.48
fluxorchestra at carnegie recital hall sept. 25 8pm
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1965 紙に片面印刷 43.2×30.0 cm
*塩見允枝子サイン入りポストカード付き

ラ・モンテ・ヤング指揮によるフルックスオーケストラの告知ポスター。塩見允枝子の演目は「disappearing music for face」と「music for late afternoon together with」の二つが記されています。

24個の円形の顔の内、左上の舌の中に上記のタイトルが書かれています。その右隣の顔には「指揮者:ラ・モンテ・ヤング」、その右隣には「楽団員衣装:ロバート・ワッツ」、又、その他の顔の舌には上演する曲目の作家名とタイトルが記してあります。さらに、紙面の周囲には「スタン・ヴァンダービーク:ヴァイオリン」「ジョナス・メカス:アコーデオン」「アイオー:トランペット」など、オーケストラ・メンバーの名前と楽器名がずらりと並んでいますが、この出版物は果たして現実のコンサートのものか、或いは、マチューナスのファンタジーなのかは定かではありません。
(『塩見允枝子+フルクサス』「主要作品解説」(執筆:塩見允枝子)より)



出品No.49
FLUXFEST1-1  FLUXFEST1-2
1967 紙に両面印刷 56.0×43.2 cm
*塩見允枝子サイン入りポストカード付き

1967年当時に発表されていたフルクサスパフォーマンスの半数を簡易的に説明したリスト。ページ各所には意匠化された作家名が大きく掲載されています。塩見允枝子は《イヴェント小品集》にも使われたデザインが裏面左上に掲載されています。

16人の作家のモノグラムと作品のスコアーが印刷されています。その他、ExpandedArts Diagram というチャートも含まれ、これには過去から1966年までの芸術運動の様々な傾向や主義などが作家名と共に図表化されています。
(『塩見允枝子+フルクサス』「主要作品解説」(執筆:塩見允枝子)より)


*画廊亭主敬白
「塩見允枝子+フルクサス」展の会期も今週一杯、ぜひお運びいただきたいと思っています。

在宅の昼休みに観てきた。薬瓶やワインボトルに音楽を詰めた(!)作品、ケージなどの作品も。ギャラリーとしてはかなりのボリューム。図録も日英解説入りの充実したもの(欲しい)。異様に詳しい「フルクサス新聞」は昼休みでは時間が足りない(^_^)
(20220907/lentil_beansさんのtwitterより)>

ギャラリーときの忘れものでの塩見允枝子展を見る。塩見さんのまとまった展示は東京ではあまりなかったのでは。素晴らしい展示だった。これは、必見です。17日まで。カタログがまた素晴らしい。限定なのでお早めに。
(20220903/中村惠一さんのfacebookより)>

●「塩見允枝子+フルクサス」展
会期=2022年9月2日(金)~9月17日(土)※日・月・祝日休廊
塩見展DM表『塩見允枝子+フルクサス』展開催を記念し、カタログ(限定365部、価格:3,300円)と、アタッシェケース入りの特装版(限定35部、27,500円)を刊行しました。詳しい内容は8月28日ブログをご参照ください。


中村哲医師とペシャワール会を支援する9月頒布会
20220827182501_000019月11日ブログで「中村哲医師とペシャワール会を支援する9月頒布会」を開催しています。
今月はブルーも鮮やかなサイトウ良の作品を特集しています。申込み締め切りは9月20日19時です。皆様のご支援をお願いします。