スタッフSの海外ネットサーフィン No.105
「Fluxus Sex Ties - 60 Jahre Fluxus」
Wiesbaden, Germany


 読者の皆様こんにちは。ようやく夜分はエアコンなしに眠れる程度には涼しくなってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか? この記事が公開される頃には週末に迫ったアートフェアアジア福岡に向けててんやわんやになっているであろう、スタッフSこと新澤です。

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 今回ご紹介するのはついドイツ・ヘッセン州の州都・ヴィースバーデンで市を挙げて開催中のフルクサスイベント「Fluxus Sex Ties - 60 Jahre Fluxus」です。1962年にヴィースバーデン美術館で公演された"Fluxus International Festival of Newest Music"から60年を記念して、25のイベントが市内11ヶ所で今年の6月から来年1月までの約半年の間に企画されています。

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 60年前の"Fluxus International Festival of Newest Music"がグランドピアノと共にそれまでの音楽パフォーマンスの伝統と常識を粉砕したことに肖り、「フルクサス都市」を標榜するヴィースバーデンは、ここ数年は作家の取り扱いが男性に偏っていたことを是正すべく、今回のイベントでは女性作家を主なテーマに掲げ、アリソン・ノウルズを筆頭に、マリー・バウアーマイスター、オノ・ヨーコ、斉藤陽子、そして今月17日までときの忘れもので「塩見允枝子+フルクサス」展を開催していた塩見允枝子も大きく取り上げられています。

20220926_fluxus3Hartmut Rekort Fluxus-Internationale Festspiele Neuester Musik, 1962 © Staatsgalerie Stuttgart, Archiv Sohm
 塩見允枝子がメインのイベントは、7月21日から9月25日までヴィースバーデン美術館で開催された、現代のネット・アートとも重なりが見られる《スペイシャル・ポエム》を主眼に置いた展覧会「Intervention/Fluxus 2022 Mieko Shiomi」と、展覧会最終日に開催されたアーティスト集団「AdHoc」によるフルクサス作品の上演会「Die Mieko Shiomi-Finissage!」の二つがありました。

 なお、今回フルクサスの女性作家をメインに取り扱っているのは、過去の是正に留まらず、今後を見据えてのことでもあるとヴィ―スバーデン市文化局は発表しており、「若い女性作家がフルクサスに関わるアイデアに触れる際に、最もモチベーションを掻き立てるものは何か? そして彼女たちが注目/疑問とするテーマは?」ということを問いかける2023年の「Wiesbaden Art Summer」へ向けて、今回のイベントに参加して親しむことで、来年へのウォームアップとする目論見があるとのことです。

 以下はYouTubeで見つけた、1962年の"Fluxus International Festival of Newest Music"と、2012年に開催された"FLUXUS 50"のヴェルニサージュを撮影したビデオです。



(しんざわ ゆう)

美術館公式ページ(英文)
「Intervention/Fluxus 2022 Mieko Shiomi」展覧会ページ(英語)
ヴィ―スバーデン市公式ページ(ドイツ語)
※日本語のページもありますが、今イベントのページはドイツ語しかありません。
「Fluxus Sex Ties - 60 Jahre Fluxus」イベント案内ページ(ドイツ語)