2022年後半をふりかえって

昨日(前半)に続き、2022年後半の企画展やアートフェア出展に振り返ってみました。
よんどころない事情で、7月~9月までしか原稿が完成せず、2022年10月~12月の回顧は新年になってしまいます。お詫びします。

「ART OSAKA 2022 倉俣史朗展」
2022年7月8日―7月10日
会場:大阪市中央公会堂(国指定重要文化財) 
_MG_0833ブース中央には、"Cabinet de Curiosite"(カビネ・ド・キュリオジテ)

IMG_1228《68.ミス ブランチ(1988)》

_MG_0656Perfume Bottle No.3

_MG_0794《薔薇の封印》
フェアの様子は月刊フリーWebマガジン Colla:J 「アートうごめく大阪」特集をご覧ください(*画面をクリックしてください)。
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「銀塩写真の魅力VIII展」
2022年7月19日―7月30日 
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ロベール・ドアノー "Un regard oblique" 斜めの視線 と "La baiser de l'Hotel de Ville, Paris" パリ市庁舎前のキス と "L'ENFER" キャバレー地獄

<好きでこのところほぼ月1回は通ってる『ときの忘れもの』というギャラリーに先日は。『銀塩写真の魅力』というのを観てくる。マン・レイ、ロベール・ドアノーといった往年の名写真家のゼラチン・シルヴァー・プリントの展示で、古き時代のモノクロ写真は味があっていい、などと改めて実感しました。やっぱりプリントには人柄と時代性がよく表れますね。デジタルの時代でも、この感覚は捨てがたい。
『ときの忘れもの』、いつもいいアート作品が楽しめるお勧めのギャラリーなので、よろしければ。場所は本駒込と、都心からちょっと離れてるため行くのが不便な方がいるかもしれないけど、わざわざ足を運ぶ価値があるところです。
http://www.tokinowasuremono.com/
下は有名な、ドアノーの『パリ市庁舎前のキス』。これも展示されてました。この写真、ヤラセって説もあるけどどうなんだろう。ドキュメント的な視点もある人だからそんなことはないと思うけれど…。
…このところ暑くてどうにも仕事をする気分になれず、こんな展示を観て和むばかりの日々を送ってます(苦笑)。 (20220728/小島智さんのfacebookより)>

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ロベール・ドアノー "Les cantinieres be la foi" と ジャン=ウジェーヌ・アジェ "Port dans la rue Eau de Robec, Rouen"

<在宅勤務の昼休みに走って観てきた。1908年撮影という古さを感じさせないアジェの作品、「地獄」という名の装飾的なキャバレー入口(=ボマルツィオの奇想庭園的)を撮ったドアノーの写真、個展を見逃していた前衛的な奈良原一高まで観られた。インクジェットでないプリントの美しさを再発見。明日まで。
(20220729/lentil_beansさんのtwitterより)>

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奈良原一高 写真集〈消滅した時間〉より《二つのごみ罐-ニュー・メキシコ、1972》


「夏休み こども図書室/宇野亞喜良"あのこ"&ジャン・ベルト・ヴァンニ"love"の絵本と版画」
2022年8月6日―8月11日  
02左からジャン・ベルト・ヴァンニ "Roots"、宇野亞喜良第弐の魔女》、渡辺貴子 "untitled(12)"

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20220803根岸文子様来廊 (1)左はスペインで活躍する根岸文子さんご一家

AAA_0568_1280来廊されたご一家が手にしているのはジャン・ベルト・ヴァンニさんの絵本『Love-ラブ-』、訳者の三辺律子さんのエッセイ「Who ever loved that loved not at first sight?(まことの恋をする人はみな一目で恋におちる)」を8月5日ブログに再録掲載しました。


「塩見允枝子+フルクサス」
2022年9月2日―9月17日  
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図録は解説など入っていてありがたい。塩見允枝子の「フルクサスの回想」文章。「究極の音楽」展示では楽譜もあったがまとまっていて、図録では楽譜一つずつちゃんと見せてる……じゃないな、今Webサイト見たらちゃんと一つずつ展示になってたじゃん(ちゃんと観てないのか?)。まあでも、家でその楽譜のありようをじっくり確認できるのはいいではないか。あと「インターメディアアートフェスティバル」のポスター。情報量が非常に多いのだが、それも図録ではちゃんと字も読めるような写真になっている。とにかくフルクサス関連の情報がほしかったので、こいつぁありがたい。フルクサス新聞も載っている。ギリギリアルファベットが判読できる……いやちょっとキツいが、どのみち英語分からん。
情報量はなかなかのものだ。これでフルクサスがどんなものだったかが分かってくれば、私のパフォーマンスにも新しい方向が生まれるかもしれないというものだ(現在行き詰まっておる)。
紀ノ川つかささんの「春波浪雑記」より抜粋)>

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<在宅の昼休みに観てきた。薬瓶やワインボトルに音楽を詰めた(!)作品、ケージなどの作品も。ギャラリーとしてはかなりのボリューム。図録も日英解説入りの充実したもの(欲しい)。異様に詳しい「フルクサス新聞」は昼休みでは時間が足りない(^_^)
(20220907/lentil_beansさんのtwitterより)>

<ギャラリーときの忘れものでの塩見允枝子展を見る。塩見さんのまとまった展示は東京ではあまりなかったのでは。素晴らしい展示だった。これは、必見です。17日まで。カタログがまた素晴らしい。限定なのでお早めに。
(20220903/中村惠一さんのfacebookより)>

<先日、ときの忘れもので「塩見允枝子+フルクサス」を見ました。昨年都現美の常設展でフルクサス特集を見てから気になっていたので、見られてよかった。
(20220916/FKさんのtwitterより)>

<ときの忘れもの「塩見允枝子+フルクサス」
今回改めてリビングレジェンドの塩見さんと、彼女が属したフルクサスの作品を見て思ったのは、子どもの頃から自分が最も影響を受けてきたのはダダだったってこと。
フルクサスもバウハウスもモンティ・パイソンもラジカル・ガジベリビンバも、パンクやNWやCANやブニュエルやゴダールも、安倍工房や赤塚不二夫や山上たつひこやPOP ARTも、ゲバゲバ90分やひょうきん族や勿論ネオダダも…みんな元を正せばDADAに行き着く。
(20220915/岡田昌浩さんのtwitterより)>

<塩見允枝子+フルクサスみてきた
これは音楽の小瓶シリーズと、冗談の視覚詩
(20220914/ひと実さんのtwitterより)>

<宝の山!塩見允枝子+フルクサス@駒込ときの忘れもの。
(20220914/satoru sunaharaさんのtwitterより)>

<塩見允枝子+フルクサス展、今週土曜までですよ~…
(20220915/eri kawanishiさんのtwitterより)>

<知らなかった!ときの忘れものなのに不覚…
(20220915/アルテス鈴木茂さんのtwitterより)>

<先日は好きでよく行く『ときの忘れもの』で、『塩見充枝子+フルクサス』展なんてのを観る。塩見さんをはじめとして、ジョナス・メカス、ナム・ジュン・パイクといった前衛アーティストのユニークな作品を楽しんできました。フルクサスはずっと興味を持ってて、機会があれば作品展など観るようにしてたけど、なかなか実態がつかめないというのが正直なところ。でも、それだけにいつも新鮮で、ときめくものがあります。この日もかなりそそられるアート作品が観られて満足。『ときの忘れもの』、画期的なギャラリーです。
ちなみに私がフルクサスを知ったのは、オノ・ヨーコさん経由でのこと。タージ・マハル旅行団にいた小杉武久さんとか武満徹さんもかかわってたんですね。あと、ジョン・ケージなんかも。やっぱり奥深い。
(20220914/小島智さんのfacebookより)>

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<フルクサスのメンバーとして活動していた塩見允枝子と、フルクサスの他のメンバーとの作品が展示されていた。
日本からフルクサスから参加した人物といえば、オノ・ヨーコの知名度が圧倒的だ。
塩見允枝子の作品をまとめて目にするのはこれが初めてだったが、オノ・ヨーコに引けを取らないユニークな作品が多く、見応えがあった。
世界全体をステージとして見立てて、各地のメッセージを送ってパフォーマンスをイベントを行ってもらい、その結果を共有するというアイデアは、いかにもフルクサスらしい。
また、壁にずらりと並べられていた、星座を観察するための窓、という作品もユニークだった。60年代の別なテーマの作品を、2019年にテーマを変えてリメイクした作品。いまだに創造の意欲は衰えていないようだ。
フルクサスの他のメンバーでは、ナムジュン・パイク、ジョナス・メカス、ジョン・ケージらの作品が展示されていた。
フルクサスを始めたマチューナスの、デザイナーとしての才能が遺憾無く発揮された、フルクサス新聞が展示されていて、そのユニークな構成にしばらく見入ってしまった。
Shigenobu Fujiokaさんの展覧会ノート2022: より)

<塩見允枝子+フルクサス展@ときの忘れもの。ポスターとかだけ観ると禍々しさすら感じられもしますが、作品は静謐な美しさを湛えているようなものもあったりして、「過激な表現」という振れ幅の可能性が内包されていた表現としてエネルギーがあったのだなあ、とか思いました
(20220917/ぬむーいさんのtwitterより)>

<出勤途中、ときの忘れものでの「塩見允枝子+フルクサス」展最終日に駆け込みました。そのデザインとアイデアに、ただただ惚れ惚れするばかり。なかでも壁一面に掲示された9枚のフルクサス新聞には蕩かされました。タイポグラフィーに興味がある方は、ぜひ! 駒込駅より徒歩10分です。
(20220917/古書ほうろうさんのtwitterより)>

<きょう終わってしまうけど、「ときの忘れもの」の塩見允枝子さんの作品、とてもよかった。ジョゼフ・コーネルに通ずるようなロマンがあって。《音楽の小瓶》シリーズに魅了されました。建物も小さい原美術館みたいですてき。
(20220917/絹子さんのtwitterより)>

<最終日でボックス購入
「塩見允枝子 + フルクサス」
ときの忘れもの
(20220917/sashimiさんのtwitterより)>

<1960年代の前衛芸術運動フルクサスに参加していた塩見允枝子からみた「フルクサス展」をのぞいてみた。文京区本駒込の「ときの忘れもの」画廊。わくわくするね。オノヨーコ、ランズベルギス、一柳慧、秋山邦晴、ナムジュンパイクも。
(20220919/金平茂紀さんのfacebookより)>

<塩見允枝子さん(フルクサス)のWater Music。先日、ときの忘れものさんにて運良く購入することができました。眺めているだけで、目の前に知りえなかった物語が浮かび上がる。
(20220922/堂森知博さんのtwitterより)>

AAA_0690現代音楽の関係者の来廊がとても多い展覧会でした。
柿沼敏江先生(京都市立芸術大学名誉教授)は『〈無調〉の誕生 ドミナントなき時代の音楽のゆくえ』で第30回吉田秀和賞を受賞されています。

AAA_0689ヤリタミサコさん(詩人、著書『詩を呼吸する 現代詩・フルクサス・アヴァンギャルド』他多数)と高須修さん(右)。お二人はパフォーマーとして塩見允枝子『パフォーマンス作品集 フルクサスをめぐる50余年』表紙のパフォーマンスにも出演しています。

AAA_0697植田実先生

マチューナスは新聞もたくさん発行しました。内容はこうしたマルチプルの広告や企画中のコンサート、或いは既に行われたコンサートの記録などが主ですが、そのデザインの独特の魅力が、フルクサスを今日まで生き残らせた要因の一つにもなっているのではないかという気がします。一見クラシカルでありながら、いつまでも斬新だからです。新聞も普通のサイズだけでなく、非常に細長いものもあります。
こうした印刷物を発行するには、彼がアップタウンのデザイン事務所で働いて得た収入の90%を費やしていたのですよ。作家に対して出版費用を要求したことは一度もありません。食費を倹約し、何の贅沢をするでもなく、彼が信奉していた境界のないアート、ジャンルの壁もなく、専門家と素人の区別もなく、皆が日常の中で楽しめるアートを普及させたいという夢のために、生涯を捧げたのです。
塩見允枝子本展カタログ『塩見允枝子+フルクサス』4頁より>

AAA_0816塩見先生の名著『フルクサスとは何か 日常とアートを結びつけた人々』の版元・フィルムアート社編集長の薮崎今日子さん

AAA_0815左から土渕信彦さん、藤井亜紀先生(東京都現代美術館)、舩山康太さん(「松澤宥探訪―松澤宥 生誕100年祭」レポートの筆者)

AAA_0858左から音楽プロデューサーの日永田広・浩子ご夫妻、三宅デザイン事務所アートアーカイブ井上貴瑛さん(日永田さんは8月5日に死去された三宅一生先生の音楽も手掛けており、井上さんとはこの日初対面)、映画監督の後藤美波さん(塩見先生の出演する『女性の孤独な闘いを知る10分 SHADOW PIECE』を製作)、亭主

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「アートフェアアジア福岡2022」
2022年9月30日―10月3日
会場:ホテルオークラ福岡 
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*画廊亭主敬白
文字通り激動の2022年がまもなく暮れて行きます。
まさか自分の生きている時代にウクライナに無法の武力が攻め込み、トランプ前大統領はじめ日本でも選良のはずの政治家たちが平気で民主主義の根幹を揺るがす事態が起ころうとは。
コロナ前には海外のアートフェアでの売上が大きく比重を占めていた私たちの商売にも暗雲が垂れ込めています。
個人的には、77歳を超え、体力、気力、そして記憶力が大幅に減退しました。
11月から体調を崩してしまい、スタッフたちには大きな負担をかけてしまいました。
寝込むこともしばしばで、せっかくいらしてくれたお客様に挨拶もできない不義理続きでした。
失礼の段、どうぞお許しください。
ブログもとうとう年末回顧も間に合わない始末、情けない次第です。
思いもかけない訃報まで届き、意気消沈しています。
中途半端な幕切れになってしまいましたが、一年のご愛顧を深謝し、来年もよろしくお願いいたします。
皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

●12月28日(水)~2023年1月4日(水)まで冬季休廊いたします。
新年の営業は2023年1月5日(木)からです。