本日7月1日は瀧口修造先生の命日です(1903年(明治36年)12月7日 - 1979年(昭和54年)7月1日))。
7日から開催する「瀧口修造と作家たちー清家コレクション展(入札)」では、四国・宇和島に在住の清家克久氏のコレクションから23作家の26点を選び、展示するとともに、リスクの少ない中間落札方式で全点を頒布します。
清家さんのコレクションについては、ときの忘れもののブログで「瀧口修造を求めて」(全12回)、「瀧口修造と作家たち ― 私のコレクションより ―」(全14回)を連載されてきましたのでお読みください。

本日ご紹介するのは浜口陽三、藤田嗣治、小山田二郎、古茂田守介の作品です。

No.8 浜口陽三「パトリックのさくらんぼ」
08_浜口陽三パトリックのさくらんぼ
1980
カラーメゾチント
7.5×7.5cm/26.0×25.0cm
"pour bunichiro terajima"為書きあり
サインあり
※イメージ良好。裏のイメージ部分に経年のオイルヤケあり。
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<1980年代後半に美術雑誌の特集などで日本の現代版画が取り上げられていたが、作品が最も高価で外国でも人気が高かったのが浜口陽三だった。図版でしか見たことはなかったが、宝石のような魅力を発していた。>
<1958年の欧州旅行で瀧口(修造)はパリの浜口のアパートを訪ねて夕食を共にし、浜口の愛車でゴッホの墓などパリ近郊を回ったことを『旅の手帖』や写真などに記録していた。(『瀧口修造1958―旅する眼差し』慶應義塾大学アート・センター2005年12月刊)滅多に会うことのなかった二人だが、美術評論家と画家の関係以上の友情を感じさせるエピソードである。>
清家克久「瀧口修造と作家たち~私のコレクションより」第8回浜口陽三と藤田嗣治より)

No.9 藤田嗣治『海龍』より
09_藤田嗣治詩画集『海龍』(テキスト:ジャン・コクトー)より 女蝶(パリ発行)
1955
和紙にエングレービング
30.0×22.0cm/33.0×25.0cm
Ed. 150
※シートに少々のホクシングあり。裏にテープ跡あり。

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<この作品は、フランスの詩人で劇作家のジャン・コクトーが1936年に刊行した世界一周旅行記の中から日本に関連した部分を抜粋したテキストに藤田の新作銅版画25点をセットにした豪華限定本《海龍》(1955年12月パリ刊)の中の1点である。175部限定で内150部のNo.1~No.15までは特別版となっており、本作はNo.7の和紙刷りである。>
<実物を見れば、藤田の対象を捉える素早く的確な線描の凄さと、それを忠実に再現した職人技に圧倒されるだろう。>
清家克久「瀧口修造と作家たち~私のコレクションより」第8回浜口陽三と藤田嗣治より)

No.13 小山田二郎「子供の情景」
13_小山田二郎《子供の情景》
1960年代
紙に水彩
38.0×28.5cm
サインとタイトルあり
No.13 小山田二郎 (1)No.13 小山田二郎 (3)No.13 小山田二郎 (4)No.13 小山田二郎 (2)
No.13 小山田二郎 (6)No.13 小山田二郎 (5)
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<小山田二郎の回顧展は、これまで1994年、2005年、2014年の三度開催されており、日本の戦後美術に重要な位置を占める作家であることの証と言えるだろう。>
<小山田は水彩画による子供をテーマにした多くの作品を制作しており、「子供は小山田にとって親しみのあるモチーフだったが、1956年に長女が生まれて以降は更に子供を描く絵が増えている。水彩で描かれる子供たちは半円や三角、四角といった幾何学形を組み合わせて描かれ、どこか不安定な印象を与えながら色彩の溢れる幻想の世界を漂っている。」(「生誕100年小山田二郎」展カタログ2014年11月府中市美術館刊より)と小林真結学芸員が解説しているが、この作品もそれに該当する。>
清家克久「瀧口修造と作家たち~私のコレクションより」第10回小山田二郎と古茂田守介より)

No.14 古茂田守介「裸婦 I」
14_古茂田守介《裸婦 I》
1954年頃
紙にデッサン
34.0×13.0cm/34.7×23.7cm
サインあり
※紙ヤケあり。厚めの紙に描かれている。
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<古茂田守介のコンテによるデッサンで非常に完成度の高い作品である。全く無駄な線がなく、モデルの裸体と表情を見事に捉えている。
<素描は下絵や習作の為のものと見られがちだが、古茂田にとってはそれ以上の表現手段であったに違いない。>
清家克久「瀧口修造と作家たち~私のコレクションより」第10回小山田二郎と古茂田守介より)

「瀧口修造と作家たちー清家コレクション展(入札)」
会期=2023年7月7日[金]~7月15日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝休
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出品作品の詳細と入札方法については6月27日のブログをご覧ください。


●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
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