<4月25日、グスタフ・クリムト(1862-1918)の最晩年の肖像画《リーザー嬢の肖像》(1917)がオーストリアのオークションハウス、イム・キンスキーで3200万ドル(約50億円)で落札された。これにより、同国のオークション史上最高額を更新したが、その後、この肖像画の所有権を主張する人物が現れた。
(20240430/ArtnewsJapanより)>
ナチスの略奪による絵画の返還の物語は映画にもなっているので、ご存じの方も多いでしょう。
戦争時における文化財の略奪のみならず、不法行為によって正当な所有者から奪われた作品の返還要求はこれからも続くと思われます。
ご紹介が遅くなりましたが、町田市立国際版画美術館で「版画の青春 小野忠重と版画運動―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―」展が開催中です。
小野先生の名著『近代日本の版画』(三彩社、1971年)は創作版画研究者のみならず版画ファンにとってはバイブルのような本ですが、今回の展示には神奈川県立近代美術館館長を退任したばかりの水沢勉先生が実に含蓄のあるレビューを執筆されているので、ぜひお読みください。
<初めてわたしが小野忠重氏の高円寺のご自宅を当時、鎌倉の鶴岡八幡宮の境内にあった神奈川県立近代美術館で働いていた酒井忠康さんと原田光さんの3人で訪問して、ご所蔵の作品の一部を拝見したのは、1987年初めのこと。
そのとき最後にわたしから質問をした。
「新版画集団の第一回展。たいへん評判を呼んだと聞いていますが、どのようなひとたちがいらしたのでしょうか」
「ああ、みんな目も口もあったよ」
二の句が継げなかった。きっといろいろ複雑な事情があるにちがいないと判断して、質問を続けることを諦めた。
(水沢勉先生の同展レビューより引用)>
水沢勉先生でさえビビった小野先生は実に狷介な方でおそろしい方でした。
亭主が小野先生のお宅に伺ったのは水沢先生より早く、1974年でした。
最初はまあ穏やかに・・・途中亭主の一言がお気に召さなかったようで、あとはケンモホロロ。二度と敷居を跨げませんでした(涙)。
今回の町田の展覧会、おそらく企画されたのは小野先生に会ったこともない若い学芸員さんでしょう。
世代が代わるというのは大事ですね(笑)。


※クリックして拡大
本展では1930-40年代に活動した「新版画集団」と「造型版画協会」による版画運動を、リーダーであった小野忠重の旧蔵品を中心に紹介します。約300点の作品を通じて、激動の時代に版画に熱中した青年たちがいかにこの時代を超えようとしたか、明治の終わりに登場し30年にも満たなかった創作版画はいかなる「青春期」を迎えたのかを探る機会になるでしょう。(町田市立国際版画美術館ウェブサイトより)
●「版画の青春 小野忠重と版画運動―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―」
2024年3月16日(土)~2024年5月19日(日)
会場:町田市立国際版画美術館
出品リストはこちら。
相手をビビらせた小野先生とは反対に誰にでも愛されたのが畦地梅太郎先生でした。
先日の4月12日は畦地梅太郎先生の命日でした。
96歳のご長命でしたが、ちょうど没後25年となります。
画廊亭主の現代版画センター時代にはエディションもつくり、創作版画の仲間たちの話しも随分うかがうことができました。そのときの録音テープも残っているはずなので、何とか記録を残したいのですが。
「山の版画家」として知られる畦地先生の作品に、最近は海外からも問い合わせが増えています。ときの忘れもののコレクションの一部をご紹介しましょう。
---
■畦地 梅太郎(あぜち うめたろう、1902年12月28日 - 1999年4月12日)
昭和初期の創作版画の時代から山岳風景を題材とした木版画作品を多数発表し、「山の版画家」として知られる。画文集の出版や装丁、挿画などの分野でも活躍した。愛媛県北宇和郡二名村(現・宇和島市三間町)出身。
---
《山男》

1953年
木版
Image size: 39.3x28.6cm
Sheet size: 43.3x33.2cm
A.P.
サインあり
《ささやき》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.3×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《火の山》

1973年 多色木版
イメージサイズ:23.1×17.2cm
版画集『山男誕生』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《よろこびの山》

1973年 多色木版
イメージサイズ:23.5×17.8cm
版画集『山男誕生』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《遠い山》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.8×21.0cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《山のぬくもり》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×21.2cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《親子よろこぶ》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《峠を越えた男》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《ふりかえる》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《山を行く》

1973年 多色木版
イメージサイズ:23.4×17.6cm
版画集『山男誕生』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
(20240430/ArtnewsJapanより)>
ナチスの略奪による絵画の返還の物語は映画にもなっているので、ご存じの方も多いでしょう。
戦争時における文化財の略奪のみならず、不法行為によって正当な所有者から奪われた作品の返還要求はこれからも続くと思われます。
ご紹介が遅くなりましたが、町田市立国際版画美術館で「版画の青春 小野忠重と版画運動―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―」展が開催中です。
小野先生の名著『近代日本の版画』(三彩社、1971年)は創作版画研究者のみならず版画ファンにとってはバイブルのような本ですが、今回の展示には神奈川県立近代美術館館長を退任したばかりの水沢勉先生が実に含蓄のあるレビューを執筆されているので、ぜひお読みください。
<初めてわたしが小野忠重氏の高円寺のご自宅を当時、鎌倉の鶴岡八幡宮の境内にあった神奈川県立近代美術館で働いていた酒井忠康さんと原田光さんの3人で訪問して、ご所蔵の作品の一部を拝見したのは、1987年初めのこと。
そのとき最後にわたしから質問をした。
「新版画集団の第一回展。たいへん評判を呼んだと聞いていますが、どのようなひとたちがいらしたのでしょうか」
「ああ、みんな目も口もあったよ」
二の句が継げなかった。きっといろいろ複雑な事情があるにちがいないと判断して、質問を続けることを諦めた。
(水沢勉先生の同展レビューより引用)>
水沢勉先生でさえビビった小野先生は実に狷介な方でおそろしい方でした。
亭主が小野先生のお宅に伺ったのは水沢先生より早く、1974年でした。
最初はまあ穏やかに・・・途中亭主の一言がお気に召さなかったようで、あとはケンモホロロ。二度と敷居を跨げませんでした(涙)。
今回の町田の展覧会、おそらく企画されたのは小野先生に会ったこともない若い学芸員さんでしょう。
世代が代わるというのは大事ですね(笑)。


※クリックして拡大
本展では1930-40年代に活動した「新版画集団」と「造型版画協会」による版画運動を、リーダーであった小野忠重の旧蔵品を中心に紹介します。約300点の作品を通じて、激動の時代に版画に熱中した青年たちがいかにこの時代を超えようとしたか、明治の終わりに登場し30年にも満たなかった創作版画はいかなる「青春期」を迎えたのかを探る機会になるでしょう。(町田市立国際版画美術館ウェブサイトより)
●「版画の青春 小野忠重と版画運動―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―」
2024年3月16日(土)~2024年5月19日(日)
会場:町田市立国際版画美術館
出品リストはこちら。
相手をビビらせた小野先生とは反対に誰にでも愛されたのが畦地梅太郎先生でした。
先日の4月12日は畦地梅太郎先生の命日でした。
96歳のご長命でしたが、ちょうど没後25年となります。
画廊亭主の現代版画センター時代にはエディションもつくり、創作版画の仲間たちの話しも随分うかがうことができました。そのときの録音テープも残っているはずなので、何とか記録を残したいのですが。
「山の版画家」として知られる畦地先生の作品に、最近は海外からも問い合わせが増えています。ときの忘れもののコレクションの一部をご紹介しましょう。
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■畦地 梅太郎(あぜち うめたろう、1902年12月28日 - 1999年4月12日)
昭和初期の創作版画の時代から山岳風景を題材とした木版画作品を多数発表し、「山の版画家」として知られる。画文集の出版や装丁、挿画などの分野でも活躍した。愛媛県北宇和郡二名村(現・宇和島市三間町)出身。
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《山男》

1953年
木版
Image size: 39.3x28.6cm
Sheet size: 43.3x33.2cm
A.P.
サインあり
《ささやき》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.3×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《火の山》

1973年 多色木版
イメージサイズ:23.1×17.2cm
版画集『山男誕生』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《よろこびの山》

1973年 多色木版
イメージサイズ:23.5×17.8cm
版画集『山男誕生』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《遠い山》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.8×21.0cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《山のぬくもり》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×21.2cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《親子よろこぶ》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《峠を越えた男》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《ふりかえる》

1978年 多色木版
イメージサイズ:19.6×20.4cm
版画集『山のぬくもり(わたしの山男たち)』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
《山を行く》

1973年 多色木版
イメージサイズ:23.4×17.6cm
版画集『山男誕生』(創文社刊)収録
Ed.100
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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