杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」第98回
鍾乳洞とプレチュニク
春休みにスロベニアに行ってきました。
スイス、チューリッヒからは飛行機で1時間半ほど。日本とスイスの移動に比べればほんの一瞬。とまでは言えないものの、飛行機に乗ると気付けば着いていた。という感覚でした。

首都であるリュブリャナ(Ljubljana)はコンパクトな街で、徒歩圏内で回れてしまう大きさです。街には川が流れ、中心の広場にはスロベニア出身の建築家プレチュニクが計画した3本橋があり、少し離れたところには国立大学図書館があります。彼の建築は、記憶にある限りプラハにある聖心教会しか訪れたことがなく、随分特別な建築だな。という印象が残っていました。

街の感じはすぐに掴めたので、次の日はバスで移動して、ポストイナ(Postojna)という街にあるところの鍾乳洞を見に行きました。トロッコに乗って洞窟の奥まで行くのですが、背の高い人なら頭が天井に当たるんじゃないか。と思うくらいのトンネルをいくつも抜けていきます。そこから1時間半くらいでしょうか。延々と続く道を歩きながら鍾乳洞を見ていくのですが、その風景のスケールが大きすぎて。。観光地なので、大勢の団体客とともに歩いていくのですが、それでも空間に圧巻されます。今まで見ていた鍾乳洞や、テーマパークは一体なんだったのか。と思えるくらい。鍾乳洞の形やテクスチュア、成り立ちもいろいろな種類があるのだと知りました。


その後、街に戻ってプレチュニク設計の国立図書館へ。外観を見ると、石材のゴワゴワした感じが、先の鍾乳洞の荒々しさを連想させなくもありません。笑
図書館は閉館していたようなのですが、ビジター用の時間帯が設定されていて、間に合って入ることができました。入るとまず、大きな階段があり、上がっていくとそこには階段を中心としたホールの空間があります。そして、先には図書室がありました。


なんというか。。クラシックな空間であるのには間違いないのだけれど、モダンな空気が流れていると言ったらいいのか。建物の細部を見ると今の時代からすると、装飾が多いのですが、全体として感じ取れる空気感のようなものはとても爽やかです。階段ホールは石材の色合いからどちらかというと静的で、直通の階段が威厳すら感じさせたのですが、図書室は木材に囲まれ、先ほどとはかなり対照的な雰囲気。
この一連の空間体験は、なかなかすごいものだと思わされました。
(すぎやま こういちろう)
■杉山幸一郎 SUGIYAMA Koichiro
日本大学、東京藝術大学大学院にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学に留学。2014年から2021年までアトリエピーターズントー。現在、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で設計を教える傍ら、建築設計事務所atelier tsuを共同主宰。2022年1月ときの忘れものにて初個展「杉山幸一郎展スイスのかたち、日本のかたち」を開催、カタログを刊行。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。
・ 杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
●本日のお勧めは杉山幸一郎です。
"Library 01"
2020年
スプルース材、ブナ材、アルミ
29.0×22.0×12.0cm
Ed.1
サインあり
制作は家具職人Serge Borgmannと協働
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
鍾乳洞とプレチュニク
春休みにスロベニアに行ってきました。
スイス、チューリッヒからは飛行機で1時間半ほど。日本とスイスの移動に比べればほんの一瞬。とまでは言えないものの、飛行機に乗ると気付けば着いていた。という感覚でした。

首都であるリュブリャナ(Ljubljana)はコンパクトな街で、徒歩圏内で回れてしまう大きさです。街には川が流れ、中心の広場にはスロベニア出身の建築家プレチュニクが計画した3本橋があり、少し離れたところには国立大学図書館があります。彼の建築は、記憶にある限りプラハにある聖心教会しか訪れたことがなく、随分特別な建築だな。という印象が残っていました。

街の感じはすぐに掴めたので、次の日はバスで移動して、ポストイナ(Postojna)という街にあるところの鍾乳洞を見に行きました。トロッコに乗って洞窟の奥まで行くのですが、背の高い人なら頭が天井に当たるんじゃないか。と思うくらいのトンネルをいくつも抜けていきます。そこから1時間半くらいでしょうか。延々と続く道を歩きながら鍾乳洞を見ていくのですが、その風景のスケールが大きすぎて。。観光地なので、大勢の団体客とともに歩いていくのですが、それでも空間に圧巻されます。今まで見ていた鍾乳洞や、テーマパークは一体なんだったのか。と思えるくらい。鍾乳洞の形やテクスチュア、成り立ちもいろいろな種類があるのだと知りました。


その後、街に戻ってプレチュニク設計の国立図書館へ。外観を見ると、石材のゴワゴワした感じが、先の鍾乳洞の荒々しさを連想させなくもありません。笑
図書館は閉館していたようなのですが、ビジター用の時間帯が設定されていて、間に合って入ることができました。入るとまず、大きな階段があり、上がっていくとそこには階段を中心としたホールの空間があります。そして、先には図書室がありました。


なんというか。。クラシックな空間であるのには間違いないのだけれど、モダンな空気が流れていると言ったらいいのか。建物の細部を見ると今の時代からすると、装飾が多いのですが、全体として感じ取れる空気感のようなものはとても爽やかです。階段ホールは石材の色合いからどちらかというと静的で、直通の階段が威厳すら感じさせたのですが、図書室は木材に囲まれ、先ほどとはかなり対照的な雰囲気。
この一連の空間体験は、なかなかすごいものだと思わされました。
(すぎやま こういちろう)
■杉山幸一郎 SUGIYAMA Koichiro
日本大学、東京藝術大学大学院にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学に留学。2014年から2021年までアトリエピーターズントー。現在、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で設計を教える傍ら、建築設計事務所atelier tsuを共同主宰。2022年1月ときの忘れものにて初個展「杉山幸一郎展スイスのかたち、日本のかたち」を開催、カタログを刊行。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。
・ 杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
●本日のお勧めは杉山幸一郎です。

2020年
スプルース材、ブナ材、アルミ
29.0×22.0×12.0cm
Ed.1
サインあり
制作は家具職人Serge Borgmannと協働
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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