桑原規子先生が『戦後版画にみる日米交流1945-1965』を刊行されました。
9月26日(木)~9月28日(土)の三日間ですが特集展示「創作版画から戦後版画へ」を開催し、本書を頒布します(税込み4,400円)。
9月28日(土)15時より、桑原規子先生のレクチャーとサイン会を開催します。
●出品作品(一部)紹介

恩地孝四郎 Koshiro ONCHI
《海の幻》
1945年
木版
イメージサイズ:24.0×23.3cm
シートサイズ:25.0×24.0cm

長谷川潔 Kiyoshi HASEGAWA
《樹と村の小寺院》
1959年
エッチング
イメージサイズ:33.5×24.0cm
シートサイズ:51.5×38.0cm
Ed.100
サインあり

前川千帆 MAEKAWA Senpan
《日本風景版画 軽井沢之部 避暑期の旧軽井沢》
1929年(昭和4年)
木版
16.5×23.5cm
版上サインあり

駒井哲郎 Tetsuro KOMAI
《花》
1965年
銅版(アクアチント)+手彩色
12.5×9.3cm
Ed.100
サインあり

内間安瑆 Ansei UCHIMA
《なぎさのリズム(波のリズム)》
1957年
木版
イメージサイズ: 37.6x170.5cm
シートサイズ: 44.0x174.0cm
Ed.50
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆『戦後版画にみる日米交流1945-1965』出版記念「創作版画から戦後版画へ」
会期:2024年9月26日(木)~9月28日(土)
出品予定:恩地孝四郎、関野準一郎、吉田千鶴子、川西英、畦地梅太郎、長谷川潔、山林文子、前川千帆、駒井哲郎、内間安瑆、内間俊子、他
9月28日(土)15時より、桑原規子先生によるレクチャーとサイン会を開催します(予約不要)。

*画廊亭主敬白
恩地孝四郎をはじめ日本の版画研究の第一人者・桑原規子先生が待望の二冊目の著書『戦後版画にみる日米交流1945-1965』を刊行されました。著者からのメッセージをご寄稿いただくとともに、9月28日(土)15時より、桑原規子先生のレクチャーとサイン会を開催し、本書を頒布します。予約不要、どなたでも参加できます。
著者からのメッセージ(再録)
2024年8月16日
『恩地孝四郎研究:版画のモダニズム』刊行から12年の時が過ぎ、ようやくこの夏、念願の本『戦後版画にみる日米交流1945-1965』をせりか書房から上梓することができた。
まずはこの本のための調査にご協力くださった国内外の美術館や研究機関の方々、作家のご遺族に心よりお礼を申し上げたい。
本書は、戦後国際的に高い評価を得た日本の版画を対象として、日米の美術交流について論じたものである。対象とした時代は、終戦から東京オリンピックが開催された時期、すなわち占領期から冷戦初期までのおよそ20年間である。むろんそこには1955年に亡くなった恩地も含まれるのであるが、今回の本でおもに焦点を当てているのは、なぜ戦前注目を浴びなかった創作版画が戦後高い評価を得ることができたのか、またそうした状況が出現した要因はどこにあったのかという点である。
すでに知られているように、1950年代から60年代にかけて日本の版画は国際展で多くの賞を受賞し、1957年には東京国際版画ビエンナーレが創設された。しかし、日本の戦後版画史は1950年代から始まるのであろうか。この疑問を解決するために、日米両国の研究機関や美術館のアーカイブズ、遺族宅に残された資料を探索し、これまで等閑視されてきた占領期の在日アメリカ人が果たした役割や米国政府の政治的意図の検証を踏まえつつ、版画における日米関係を探ることにした。
この作業は想像以上に時間がかかり、約20年の時を費やすこととなった。なぜなら元となる資料がほとんど日本国内にはなく、海外(おもにアメリカの美術館やアーカイブ)に所蔵されていたからである。最初の調査は大英博物館で、ティム・クラーク氏と味岡千晶氏と恩地作品の調査を協同で行った2003年のことだった。以来、約20年間にわたって戦後日本の版画作品と資料を探査する旅行が続いた。
こうした調査の結果、『戦後版画にみる日米交流1945-1965』では戦後日本美術の国際化の問題、特に日本とアメリカの関係について、従来知られていない事実を浮かび上がらせることができたと思っている。検証の対象は版画を中心としたが、本書は戦後の日本美術全体の問題に敷衍して論じたもので、戦後日本美術史の記述において新たな視点の導入を促すことができれば、こんな嬉しいことはない。
なお、今後の戦後版画史研究に役立つことを願い、国内外で収集した資料をできるだけ多く挿入することを心がけたので、次世代の研究者の方々に参照していただけたら幸いである。
最後に本の構成について簡単に紹介しておきたい。
本書は序章のほか全6章と終章から成る。本論6章では、日本版画協会が創立された1930年代から戦後60年代までをおおよそ時代順に論じている。
1章ではまず昭和戦前・戦中期の版画界の状況を概観し、創作版画が美術界においていかなる位置に置かれていたのかを確認した。そのうえで、2章から3章にかけては戦後その状況がどのように変化したのか、占領期に存在した美術展示空間(アーニー・パイル劇場、陸軍教育センター)と美術団体(サロン・ド・プランタン)の検討を通して明らかにした。考察の内容は、版画にとどまらず美術全体にわたっている。
4章では、2章、3章に登場した在日アメリカ人のなかから特に重要な役割を果たした人物4名(ウィリアム・ハートネット、オリヴァー・スタットラー、エリーゼ・グリリ、ジェームス・ミッチナー)を取り上げ、個別に論じた。それに加えて、在日アメリカ人のネットワークをつないだ人物として、英文美術月報紙『アート・アラウンド・タウン』の発行人中尾信、日系アメリカ人版画家内間安瑆とその妻俊子を取り上げた。内間俊子が吉田千鶴子らと創立した女流版画会(1956年設立)についても、この章で紹介している。
5章では、占領解除後の1950年代から60年にかけて渡米した美術家(吉田遠志・穂高・千鶴子・ふじを、斎藤清、脇田和、益田義信、関野凖一郎、棟方志功、森泰、長谷川三郎)に焦点を当て、渡米の経緯と滞米中の活動について論じ、日米版画交流の実態を検証した。
6章では5章とは逆に、1960年にアメリカから来日した版画家(テオドール・ガステン、アーサー・フローリー)について、その経緯と日本の美術界との関係、1960年代以降の版画界、美術界にもたらした影響について探求した。
(くわはら のりこ)
■桑原規子(くわはらのりこ)
1960年大分県生まれ。
お茶の水女子大学文教育学部卒業・修士課程修了、 筑波大学博士課程芸術学研究科修了。
博士(芸術学)。 元聖徳大学文学部教授。
著書:『恩地孝四郎研究 版画のモダニズム』 (2012年せりか書房 倫雅美術奨励賞受賞) 、『戦後版画にみる日米交流 1945-1965』(2024年 せりか書房)
共著:『モダニズム/ナショナリズム』 (2003年) 『クラシック モダン』(2004年いずれも、せりか書房)、 『大正期美術展覧会の研究』 (2005年 東京文化財研究所)、 『「帝国」と美術』(2010年国書刊行会)他。
●『戦後版画にみる日米交流1945-1965』
著者:桑原規子
発行:せりか書房 2024年
21.7 x 15.7 x 3.2 cm 339P
価格:4,400円(税込み)

表紙

目次1

目次2

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
9月26日(木)~9月28日(土)の三日間ですが特集展示「創作版画から戦後版画へ」を開催し、本書を頒布します(税込み4,400円)。
9月28日(土)15時より、桑原規子先生のレクチャーとサイン会を開催します。
●出品作品(一部)紹介

恩地孝四郎 Koshiro ONCHI
《海の幻》
1945年
木版
イメージサイズ:24.0×23.3cm
シートサイズ:25.0×24.0cm

長谷川潔 Kiyoshi HASEGAWA
《樹と村の小寺院》
1959年
エッチング
イメージサイズ:33.5×24.0cm
シートサイズ:51.5×38.0cm
Ed.100
サインあり

前川千帆 MAEKAWA Senpan
《日本風景版画 軽井沢之部 避暑期の旧軽井沢》
1929年(昭和4年)
木版
16.5×23.5cm
版上サインあり

駒井哲郎 Tetsuro KOMAI
《花》
1965年
銅版(アクアチント)+手彩色
12.5×9.3cm
Ed.100
サインあり

内間安瑆 Ansei UCHIMA
《なぎさのリズム(波のリズム)》
1957年
木版
イメージサイズ: 37.6x170.5cm
シートサイズ: 44.0x174.0cm
Ed.50
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆『戦後版画にみる日米交流1945-1965』出版記念「創作版画から戦後版画へ」
会期:2024年9月26日(木)~9月28日(土)
出品予定:恩地孝四郎、関野準一郎、吉田千鶴子、川西英、畦地梅太郎、長谷川潔、山林文子、前川千帆、駒井哲郎、内間安瑆、内間俊子、他
9月28日(土)15時より、桑原規子先生によるレクチャーとサイン会を開催します(予約不要)。

*画廊亭主敬白
恩地孝四郎をはじめ日本の版画研究の第一人者・桑原規子先生が待望の二冊目の著書『戦後版画にみる日米交流1945-1965』を刊行されました。著者からのメッセージをご寄稿いただくとともに、9月28日(土)15時より、桑原規子先生のレクチャーとサイン会を開催し、本書を頒布します。予約不要、どなたでも参加できます。
著者からのメッセージ(再録)
2024年8月16日
『恩地孝四郎研究:版画のモダニズム』刊行から12年の時が過ぎ、ようやくこの夏、念願の本『戦後版画にみる日米交流1945-1965』をせりか書房から上梓することができた。
まずはこの本のための調査にご協力くださった国内外の美術館や研究機関の方々、作家のご遺族に心よりお礼を申し上げたい。
本書は、戦後国際的に高い評価を得た日本の版画を対象として、日米の美術交流について論じたものである。対象とした時代は、終戦から東京オリンピックが開催された時期、すなわち占領期から冷戦初期までのおよそ20年間である。むろんそこには1955年に亡くなった恩地も含まれるのであるが、今回の本でおもに焦点を当てているのは、なぜ戦前注目を浴びなかった創作版画が戦後高い評価を得ることができたのか、またそうした状況が出現した要因はどこにあったのかという点である。
すでに知られているように、1950年代から60年代にかけて日本の版画は国際展で多くの賞を受賞し、1957年には東京国際版画ビエンナーレが創設された。しかし、日本の戦後版画史は1950年代から始まるのであろうか。この疑問を解決するために、日米両国の研究機関や美術館のアーカイブズ、遺族宅に残された資料を探索し、これまで等閑視されてきた占領期の在日アメリカ人が果たした役割や米国政府の政治的意図の検証を踏まえつつ、版画における日米関係を探ることにした。
この作業は想像以上に時間がかかり、約20年の時を費やすこととなった。なぜなら元となる資料がほとんど日本国内にはなく、海外(おもにアメリカの美術館やアーカイブ)に所蔵されていたからである。最初の調査は大英博物館で、ティム・クラーク氏と味岡千晶氏と恩地作品の調査を協同で行った2003年のことだった。以来、約20年間にわたって戦後日本の版画作品と資料を探査する旅行が続いた。
こうした調査の結果、『戦後版画にみる日米交流1945-1965』では戦後日本美術の国際化の問題、特に日本とアメリカの関係について、従来知られていない事実を浮かび上がらせることができたと思っている。検証の対象は版画を中心としたが、本書は戦後の日本美術全体の問題に敷衍して論じたもので、戦後日本美術史の記述において新たな視点の導入を促すことができれば、こんな嬉しいことはない。
なお、今後の戦後版画史研究に役立つことを願い、国内外で収集した資料をできるだけ多く挿入することを心がけたので、次世代の研究者の方々に参照していただけたら幸いである。
最後に本の構成について簡単に紹介しておきたい。
本書は序章のほか全6章と終章から成る。本論6章では、日本版画協会が創立された1930年代から戦後60年代までをおおよそ時代順に論じている。
1章ではまず昭和戦前・戦中期の版画界の状況を概観し、創作版画が美術界においていかなる位置に置かれていたのかを確認した。そのうえで、2章から3章にかけては戦後その状況がどのように変化したのか、占領期に存在した美術展示空間(アーニー・パイル劇場、陸軍教育センター)と美術団体(サロン・ド・プランタン)の検討を通して明らかにした。考察の内容は、版画にとどまらず美術全体にわたっている。
4章では、2章、3章に登場した在日アメリカ人のなかから特に重要な役割を果たした人物4名(ウィリアム・ハートネット、オリヴァー・スタットラー、エリーゼ・グリリ、ジェームス・ミッチナー)を取り上げ、個別に論じた。それに加えて、在日アメリカ人のネットワークをつないだ人物として、英文美術月報紙『アート・アラウンド・タウン』の発行人中尾信、日系アメリカ人版画家内間安瑆とその妻俊子を取り上げた。内間俊子が吉田千鶴子らと創立した女流版画会(1956年設立)についても、この章で紹介している。
5章では、占領解除後の1950年代から60年にかけて渡米した美術家(吉田遠志・穂高・千鶴子・ふじを、斎藤清、脇田和、益田義信、関野凖一郎、棟方志功、森泰、長谷川三郎)に焦点を当て、渡米の経緯と滞米中の活動について論じ、日米版画交流の実態を検証した。
6章では5章とは逆に、1960年にアメリカから来日した版画家(テオドール・ガステン、アーサー・フローリー)について、その経緯と日本の美術界との関係、1960年代以降の版画界、美術界にもたらした影響について探求した。
(くわはら のりこ)
■桑原規子(くわはらのりこ)
1960年大分県生まれ。
お茶の水女子大学文教育学部卒業・修士課程修了、 筑波大学博士課程芸術学研究科修了。
博士(芸術学)。 元聖徳大学文学部教授。
著書:『恩地孝四郎研究 版画のモダニズム』 (2012年せりか書房 倫雅美術奨励賞受賞) 、『戦後版画にみる日米交流 1945-1965』(2024年 せりか書房)
共著:『モダニズム/ナショナリズム』 (2003年) 『クラシック モダン』(2004年いずれも、せりか書房)、 『大正期美術展覧会の研究』 (2005年 東京文化財研究所)、 『「帝国」と美術』(2010年国書刊行会)他。
●『戦後版画にみる日米交流1945-1965』
著者:桑原規子
発行:せりか書房 2024年
21.7 x 15.7 x 3.2 cm 339P
価格:4,400円(税込み)

表紙

目次1

目次2

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
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E-mail:info@tokinowasuremono.com
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JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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