「生誕130年記念 北川民次展ーメキシコから日本へ」
会期:2024年9月21日~11月17日
会場:世田谷美術館

ご報告が遅くなってしまいましたが、世田谷美術館で北川民次の大回顧展が開催中です。
宮城、新潟、栃木、愛媛など全国各地に所在している北川民次作品を集め、資料類も含め約180点が展示されています(2024年11月17日まで)。

20241025100336_00001

20241025100336_00002

-------------------------
北川民次(1894-1989)は20歳で渡米し、働きながら絵を学んだのち、革命後の壁画運動に沸く1920年代のメキシコで新進画家、そして教育者として出発しました。1936年の帰国後は東京・池袋を経て愛知・瀬戸に居を定め、晩年まで精力的に作品や著作を発表します。「メキシコから日本へ」という特異な歩みのなかで北川が見出し、追求したものとは何だったのでしょうか。
本展では、メキシコ時代から一貫してみられる、市井の人々への温かなまなざしと鋭い社会批判をはらむ代表作に加え、未来の社会をつくる子どもに向けた絵本や美術教育の仕事、また1955年のメキシコ再訪を経て取り組んだ念願の壁画などにも注目します。
油彩約60点、水彩、素描、版画など約50点に、1920-30年代メキシコの多様な芸術動向に関する資料、当時交流した芸術家たちの作品を加えた約180点により、北川民次の表現を多角的に見つめる、約30年ぶりの回顧展です。(世田谷美術館HP 開催概要より)
-------------------------

会場・会期:
【愛知】名古屋市美術館 2024年6月29日~9月8日(終了しました)
【東京】世田谷美術館 2024年9月21日~11月17日
【福島】郡山市立美術館 2025年1月25日~3月23日

1921年キューバ滞在中に描いた作品(民次がメキシコで給仕をしていた家の関係者宅で見つかった)やメキシコの民衆の様子を温かい眼差しで描いた作品、現実の暗部を鋭く見つめ世相を描き、また自身の思想も重ねてリアリスティックに描く作品や、シュルレアリスムに影響を受けた作風など、民次の独特な絵画表現や色彩を見ることができます。

また、北川民次は、美術評論家で民次の最大のコレクターでもあった久保貞次郎らとともに、児童の個性を伸ばす新しい美術教育を目標にかかげて「創造美育協会」を1952年に設立し、美術教育者としても活動しました。1941年には良い絵本の制作を目的に「コドモ文化会」も設立しています。

民次は、松本竣介とも交流があったそうで、「よく道端で遭遇して立ち話をしていた」と松本莞さん(竣介次男)から先日のギャラリートークの折に伺いました。

民次の30年ぶりの回顧展ですので、是非多くの方にご覧いただきたいと思います。
ときの忘れものでも「柳澤紀子×北川民次展」を開催中ですので、合わせてご覧ください。

IMG_2677

IMG_2680大砲や銃を持っている人々、倒れている人など物々しい様子が描かれています。

IMG_2684
1944年、当時「出征」というのは祝祭的に描かれるべきものであったそうですが、それに反発するように、描かれている人物はみな虚ろな表情です。

IMG_2683
1945年の作品《焼跡》。全てを失い、母子だけが生き残る、途方に暮れる様子が伝わってきます。

IMG_26811960年の日米安全保障条約の調印をめぐる激しい反対運動に刺激を受けて、事前のプランもなくかき乱された心を解放しようとキャンバスに向かって描いた作品だそうです。

IMG_2686
抱き合って踊る男女に、ロバ(?)の骸骨と銃。混迷した社会が描かれています。

IMG_2687


IMG_2691一見、シュルレアリスムの作家の作品かと思いましたが、民次の作品。民次はシュルレアリスムにも影響を受け、表現を模索したそうです。

IMG_2693

IMG_2702民次の版画の実質的な版元となった久保貞次郎の肖像画。


IMG_2704民次の作品にはバッタがしばしば登場し、バッタに自身の生きざまを重ねているようです。

おだち れいこ

●本日のお勧め作品は北川民次です。
tamiji_19 (1)《タスコの裸婦》
1941年頃 (1952年2月摺り)
イメージサイズ:30.3×39.9cm
シートサイズ :31.4×40.9cm
サインあり (1956年5月21日署名)
裏面に久保貞次郎の注釈あり
※レゾネNo.33
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

柳澤紀子×北川民次展
会期=2024年10月30日(水)~11月9日(土) 11時~19時 ※日・月・祝日休み
11月1日(金)17時~18時半 ギャラリートーク (要予約)
  柳澤紀子 × 桑原規子(美術史家・聖徳大学兼任教員)
  ※参加費1,000円  メール、電話でお申込みください。
出品全24点の画像と詳細は10月22日ブログに掲載しました。
柳澤紀子×北川民次展案内状 表
柳澤紀子先生の在廊予定日 は初日10月30日(水)、11月1日(金)、9日(土)です 。

映像制作:WebマガジンColla:J 塩野哲也
※クリックすると再生します。
※右下の「全画面」ボタンをクリックすると動画が大きくなります。

●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。