杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」第109回
ETHでのレクチャー

スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)で木造についてのレクチャーをしました。

僕がETHで所属している教授はAndrea Deplazesという建築構法を専門にしています。もしかしたら辞書のように厚いハンドブックを目にしたことがある建築学生の方もいるかもしれません。日本語版はありませんが、世界各国で翻訳されています。一年生の時に購入してずっと使い続ける、スイスの事務所には必ずある必須のハンドブックです。
一年生ながら、学期末の提出課題に縮尺1:50の矩形図があるので、木造、鉄骨造とコンクリート造、組積造を一通り学び、自分たちのプロジェクトにあった構法を選び、どうやって素材を組み合わせて空間を作っていくのかを考えていくことになります。
今回。僕が担当したのは、木造についてのレクチャーです。
学生時代、ETHに留学していた際に授業を聞いたのが10年以上前、当時はスイスにやってきてこの同じ場所でレクチャーをする日がやってくるなんて思いもしませんでした。
教授の代行として行う90分のレクチャーは、スライド資料をゼロから作るのではなく、以前から資料としてあったものをベースとしました。補足したり取り替えたりして、100枚程度のスライドを作り、練習。400人の学生の前で、ドイツ語でレクチャーするにはややプレッシャーがありました。
かなり時間をかけて準備した甲斐もあって、まずまずの出来であったと思います。90分話し続けていくと50分過ぎくらいで頭のクールダウンが必要になってきたというか、話していることと頭で考えていることが少しズレを感じることもあったけれど笑、思ってみればあっという間。
レクチャー後に学生が集まってきて、色々と質問をしてきて、良いフィードバックもあったので、それだけ学生にも良いインプットを与えることができてよかった。と嬉しく思います。

そんな大学での出来事と並行して始まった現場では、道路工事と地中熱ヒートポンプのための掘削が始まりました。これから地下部分のコンクリートを打ち、その後地上3階の木造部分が建ち上がります。完成は2027年夏になりますが、いよいよ独立後初めての建築が出来上がってくるのを見ると、楽しみです。
現場についても少しずつ報告していくつもりです。
(すぎやま こういちろう)
■杉山幸一郎 SUGIYAMA Koichiro
日本大学、東京藝術大学大学院にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学に留学。2014年から2021年までアトリエピーターズントー。現在、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で設計を教える傍ら、建築設計事務所atelier tsuを共同主宰。2022年1月ときの忘れものにて初個展「杉山幸一郎展スイスのかたち、日本のかたち」を開催、カタログを刊行。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。
・ 杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
●本日のお勧め作品は杉山幸一郎です。
《Land & Water 15》
2023
紙に水彩
42.0x29.7cm
Signed
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
*画廊亭主敬白
みなさんご存じの通り、ときの忘れものの建築は阿部勤先生(1936年7月7日 - 2023年1月10日)の設計です。
阿部先生が亡くなられた年の夏、偲ぶ会に合わせてときの忘れものでは「阿部勤建築で一枚の版画(リトグラフ)を見る」を開催しました。
このたび本格的な阿部先生の回顧展が江東区新砂の竹中工務店東京本店1階のギャラリーで始まりましたので、ぜひお出かけください。
「建築家・阿部勤のいえ展 暮らしを愉しむデザイン」
会期:2025年4月4日~6月26日
会場:GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)
『中心のある家 建築家・阿部勤 自邸の50年』
著:阿部勤 写真:藤塚光政
体裁:A4変・140頁
価格:4,400円(税込)+ 送料250円
発行日:2022年9月25日
装丁:加藤賢策(LABORATORIES)
発行:株式会社学芸出版社
★オンラインでのご購入はこちらからどうぞ。
◆「ポートレイト/松本竣介と現代作家たち」展
2025年4月16日(水)~4月26日(土)11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
出品作家:松本竣介、野田英夫、舟越保武、小野隆生、靉嘔、池田満寿夫、宮脇愛子+マン・レイ、北川民次、ジャン・コクトーほか
●松本莞さんが『父、松本竣介』(みすず書房刊)を刊行されました。ときの忘れものでは莞さんのサインカード付本書を頒布するとともに、年間を通して竣介関連の展示、ギャラリートークを開催してゆく予定です。
『父、松本竣介』の詳細は1月18日ブログをお読みください。
ときの忘れものが今まで開催してきた「松本竣介展」のカタログ5冊も併せてご購読ください。
画家の堀江栞さんが、かたばみ書房の連載エッセイ「不手際のエスキース」第3回で「下塗りの夢」と題して卓抜な竣介論を執筆されています。
著者・松本莞
『父、松本竣介』
発行:みすず書房
判型:A5変判(200×148mm)・上製
頁数:368頁+カラー口絵16頁
定価:4,400円(税込)+梱包送料650円
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

ETHでのレクチャー

スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)で木造についてのレクチャーをしました。

僕がETHで所属している教授はAndrea Deplazesという建築構法を専門にしています。もしかしたら辞書のように厚いハンドブックを目にしたことがある建築学生の方もいるかもしれません。日本語版はありませんが、世界各国で翻訳されています。一年生の時に購入してずっと使い続ける、スイスの事務所には必ずある必須のハンドブックです。
一年生ながら、学期末の提出課題に縮尺1:50の矩形図があるので、木造、鉄骨造とコンクリート造、組積造を一通り学び、自分たちのプロジェクトにあった構法を選び、どうやって素材を組み合わせて空間を作っていくのかを考えていくことになります。
今回。僕が担当したのは、木造についてのレクチャーです。
学生時代、ETHに留学していた際に授業を聞いたのが10年以上前、当時はスイスにやってきてこの同じ場所でレクチャーをする日がやってくるなんて思いもしませんでした。
教授の代行として行う90分のレクチャーは、スライド資料をゼロから作るのではなく、以前から資料としてあったものをベースとしました。補足したり取り替えたりして、100枚程度のスライドを作り、練習。400人の学生の前で、ドイツ語でレクチャーするにはややプレッシャーがありました。
かなり時間をかけて準備した甲斐もあって、まずまずの出来であったと思います。90分話し続けていくと50分過ぎくらいで頭のクールダウンが必要になってきたというか、話していることと頭で考えていることが少しズレを感じることもあったけれど笑、思ってみればあっという間。
レクチャー後に学生が集まってきて、色々と質問をしてきて、良いフィードバックもあったので、それだけ学生にも良いインプットを与えることができてよかった。と嬉しく思います。

そんな大学での出来事と並行して始まった現場では、道路工事と地中熱ヒートポンプのための掘削が始まりました。これから地下部分のコンクリートを打ち、その後地上3階の木造部分が建ち上がります。完成は2027年夏になりますが、いよいよ独立後初めての建築が出来上がってくるのを見ると、楽しみです。
現場についても少しずつ報告していくつもりです。
(すぎやま こういちろう)
■杉山幸一郎 SUGIYAMA Koichiro
日本大学、東京藝術大学大学院にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学に留学。2014年から2021年までアトリエピーターズントー。現在、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で設計を教える傍ら、建築設計事務所atelier tsuを共同主宰。2022年1月ときの忘れものにて初個展「杉山幸一郎展スイスのかたち、日本のかたち」を開催、カタログを刊行。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。
・ 杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
●本日のお勧め作品は杉山幸一郎です。

2023
紙に水彩
42.0x29.7cm
Signed
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
*画廊亭主敬白
みなさんご存じの通り、ときの忘れものの建築は阿部勤先生(1936年7月7日 - 2023年1月10日)の設計です。
阿部先生が亡くなられた年の夏、偲ぶ会に合わせてときの忘れものでは「阿部勤建築で一枚の版画(リトグラフ)を見る」を開催しました。
このたび本格的な阿部先生の回顧展が江東区新砂の竹中工務店東京本店1階のギャラリーで始まりましたので、ぜひお出かけください。
「建築家・阿部勤のいえ展 暮らしを愉しむデザイン」
会期:2025年4月4日~6月26日
会場:GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)

著:阿部勤 写真:藤塚光政
体裁:A4変・140頁
価格:4,400円(税込)+ 送料250円
発行日:2022年9月25日
装丁:加藤賢策(LABORATORIES)
発行:株式会社学芸出版社
★オンラインでのご購入はこちらからどうぞ。
◆「ポートレイト/松本竣介と現代作家たち」展
2025年4月16日(水)~4月26日(土)11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊

●松本莞さんが『父、松本竣介』(みすず書房刊)を刊行されました。ときの忘れものでは莞さんのサインカード付本書を頒布するとともに、年間を通して竣介関連の展示、ギャラリートークを開催してゆく予定です。
『父、松本竣介』の詳細は1月18日ブログをお読みください。
ときの忘れものが今まで開催してきた「松本竣介展」のカタログ5冊も併せてご購読ください。
画家の堀江栞さんが、かたばみ書房の連載エッセイ「不手際のエスキース」第3回で「下塗りの夢」と題して卓抜な竣介論を執筆されています。

『父、松本竣介』
発行:みすず書房
判型:A5変判(200×148mm)・上製
頁数:368頁+カラー口絵16頁
定価:4,400円(税込)+梱包送料650円
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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