2002年4月〜7月の展覧会
弊廊「ときの忘れもの」の2002年 4月〜7月の企画展・常設展のご案内を申し上げます。

 


[ ジョナス・メカス写真展―時を数えて、砂漠に立つ ]

2002年4月19日(金)〜5月25日(土)11:00〜19:00
日曜・月曜・ 祝日は休廊


 3月企画展「ジョナス・メカス展―版画と写真」には、この小さな弊廊に1日50人、最終日は150人を超える来廊者があり、今一度メカス氏の作品がもつ力を再認識し、第二弾の展覧会を企画しました。「フローズン・フィルム・フレームズ」シリーズから、パリとニューヨークでのみ発表され、日本では未発表の作品、大判10点、小品10数点を展示いたします。そこには1960・70年代、共に時代を過ごしたジョン・レノン、オノ・ヨーコ、アンディ・ウォーホル、ダリなどの姿が記憶として写真に定着しています。
 第二次世界大戦下、ソ連軍とナチス・ドイツ軍の侵攻によって、故郷リトアニアを離れざるをえなかったジョナス・メカス。リトアニア時代、詩人、執筆者、新聞・雑誌編集人として名を知られたメカスは、アメリカに亡命した後、ペンを一台のボレックス(16ミリ・カメラ)にかえて、自分を取り巻く人間や街を撮りはじめます。
 日記やプライベート・フィルムを思わせる作品を発表し、先駆的な映像作家として認められ、活躍する一方で、インディペンデント・フィルムの収集・保存を目的とした「アンソロジー・フィルム・アーカイブス」の設立に情熱を注ぎます。1989年やっと設立にこぎつけ、現在も館長として運営に腐心していますが、インディペンデント・フィルムの保存という性格がら運営資金の調達は容易ではありません。当初、その運営資金の一助になればという思惑で1980年代に作りはじめたのが、「フローズン・フィルム・フレームズ」(静止した映画フィルム)と呼ぶ、自らの16ミリフィルムから数コマ選び印画紙に焼きつけられた作品です。
 「このような映像は「商業的」な映画からは得ら れないこともわかっている。わたしが「コマ撮 り」をするからこそ、こんな映像ができる。そ れが面白いし、嬉しくてならない。(略)わたし は今、ほんとうにこれまでだれも経験したこと のない世界にいて、この先どこに行くのか、こ の新たな冒険が私をどこに連れて行こうとして いるのか見当もつかないでいる。」
 ジョナス・メカス『フローズン・フィルム・フレー ムズ―静止する映画』(河出書房新社1997)より
 2月の末、メカス氏から次のような手紙が送られてきました。


  「ときの忘れもの 綿貫さん
  きみの画廊で写真展ができるなんて、こんな嬉しいことはない。
  ずいぶん前のことになるけれども、日本各地を連れ立って旅したのは、ほんとうに楽しかった。
  あれは素晴らしい思い出です。
  だから、これは家族の催しのようなもの。展覧会を見てくださる方々、それからひょっとして
  わたしのつまらない写真を一枚買おうという気を起こしてくださる方々にも、わたしと、それ
  からきみの、「目に見えぬ家族」の一員となる歓びを味わってもらえますように。
                           2002年2月25日 ジョナス・メカス」


 今回は、展示の他、メカス関連のポスター、CD、VIDEO等の販売、16mmフィルム作品『時を数えて、砂漠に立つ』の上映会が行われます。
 また、展覧会の売り上げはすべて「アンソロジー・フィルム・アーカイブス」の運営資金にあてられます。

JONAS MEKAS(ジョナス・メカス)………1922年12月24日リトアニアの農家に生まれる。1936年初めての詩集を出版。1940・42年ソ連、ナチス・ドイツの侵略・占領。反ナチ新聞の発行が発覚し、強制収容所に送られる。1945年収容所を脱走、難民キャンプを転々し、1949年アメリカに亡命、ブルックリンに住む。1954年『フィルム・カルチャー』誌を発行。1955年詩集「セメニスキウ・イディレス」第2版がヴィンカス・クレーヴ詩賞を受ける。1958年『ヴィレッジ・ヴォイス』誌に「ムービー・ジャーナル(映画日記)」を連載、後に出版(76年まで継続)。1961年「フィルムメーカーズ・コーペラティブ」を組織。1964年「フィルムメーカ一ズ・シネマテーク」を組織。1965年『営倉』(1964年、68分)がヴェネツィア映画祭ドキュメンタリー部門で最優秀賞受賞。1968年ユダヤ博物館のフィルム・キュレーターを務める(〜71年)。1975年ベルリン映画祭、ロンドン映画祭、アムステルダム映画祭参加。1983年初来日(1991, 96年来日)。1989年20年がかりでアンソロジー・フィルム・アーカイブス開館。2000年「ジョナス・メカス映像展―[this side of paradise]」が愛知芸術文化センター他で開催。

 ◎ジョナス・メカス『時を数えて、砂漠に立つ』上映会
  映像作品『時を数えて、砂漠に立つ』(16mm、1985年制作―1969-84撮影、2時間30分)を5回に分け、上映いたします。1回の上映分は、30分単位となります。
    1回目 4月20日(土) 午後7時〜   
    2回目 4月27日(土) 午後7時〜
    3回目 5月11日(土) 午後7時〜
    4回目 5月18日(土) 午後7時〜
    5回目 5月25日(土) 午後7時〜
  各回共定員10名。予約制(電話、E-mail でご予約ください)→終了しました


04「ロイ・リキテンステインのモデル、アンディ・ウォーホルのスタジオで、1976年12月15日」
『時を数えて、砂漠に立つ』より
オリジナルプリント Ed.10 27.8×21.6cm サイン有シート4万円
05「セルフ・ポートレイト、1979年11月22日」
『時を数えて、砂漠に立つ』より
オリジナルプリント Ed.10 27.8×21.6cm サイン有 シート4万円

【TOP PAGE】