2008年3月〜の展覧会

弊廊「ときの忘れもの」の2008年3月〜の企画展・常設展のご案内を申し上げます。 


◆第155回企画展 ジャン・ベルト・ヴァンニ 『love -ラブ-』出版記念展



会期=2008年3月14日[金]〜29日[土] 12:00-19:00 
*日・月・祝日休廊
3月15日[土]16時より、作家による絵本『love -ラブ-』のサイン会、17時よりオープニングパーティを開催します。(初日ではありませんのでご注意ください。)

「主人公の女の子は9歳で孤児院に送られる。ちょっと変わっていて、ほかの子どもたちがいやがるようなことをしてしまうから、いつもひとりぼっち。女の子のともだちは美しい木や草、あたたかな日、そしてさまざまな空想。いつのまにかみんなにきらわれ、とうとう孤児院からも追い出されそうになる。そんなある日・・・・・。」
イタリア人画家ジャン・ベルト・ヴァンニがつくった美しい絵本『LOVEラブ−』の日本語版(翻訳/三辺律子)が青山出版社から刊行されました。

マストロヤンニのデビュー作「私たちの美しい城」の舞台美術を担当したり、建築や映像の世界でも活躍して来たジャン・ベルト・ヴァンニは、本作りにおいても卓抜な才能を発揮し、今回日本語版が刊行された『LOVE−ラブ−』は、ただの絵本とは全く違うつくりになっています。
本という小宇宙を自由自在にデザインした小さな建築とも言える造本になっています。
一ページ、一ページを開くたびに、思いもかけぬ世界が広がってくる、画家ジャン・ベルト・ヴァンニが、印刷、文字、紙、デザイン、造本らすべてにアートとしてのこだわりをこめてつくったすばらしい造形物。
今回、20数年ぶりの日本での個展に際して、油彩、水彩の近作17点を出品します。

1927年ローマ生まれ。サンルカアカデミー、ローマ大学建築学部に学ぶ。アンドレ・モーリアック作「アスモデ」、ヴィットリオ・セルモンテ作「私たちの美しい城」の舞台美術を担当(1947年)。エール大学で絵画を学ぶ。1953年ヴィラジュイフ市の住宅計画に参加しアパート100棟の色彩決定に携わる。ルチアーノ・エマー監督の映画「ピカソ」のカラー・アドバイザーを務める(1954年)。ルネ・デュピュイ演出「フィガロの結婚」の舞台美術を担当(1959年)。1963〜74年にシルクスクリーン・ワークショップを開設し、指導にあたる。ケルン市主催のライン・ティバ絵画展で第一席受賞。1983年来日、イタリア大使館後援により東京・ギャラリー方寸にて個展開催。以後、奈良・西田画廊、小浜・ギャラリーM、仙台・ギャラリー青城、久留米・筑後画廊他にて個展を開く。現在ニューヨークのクーパー・ユニオン美術学校で教授を務める。作品はニューヨークをはじめ、ローマ、パリ、東京など各国の都市の展覧会で出品され、絵本も数多く手がけている。


<Gian Berto Vanni>List                  2008.03.14〜03.29
No. Image Title Date Technique Size(cm) Sign
1 Geometry of an Emotion 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
2 Dream of a possible Moon 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
3 Search in the Meadows 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
4 Migration by Night 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
5 Vanishing Point 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
6 Wondering Forest 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
7 Life growing in a Metal World 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
8 In the depth of the Sea* 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
9 In Search of the Light 2005 ミクストメディア 60.0×86.0 signed
10 curls 2004 エッグテンペラ 25.0x35.0 signed
11 Surge of the Red   エッグテンペラ 25.0x35.0 signed
12 The Wave   エッグテンペラ 25.0x35.0 signed
13 Slow Motion in Search   エッグテンペラ 25.0x35.0 signed
14 The Green River   エッグテンペラ 25.0x35.0 signed
15 Script in the Emperor's Palace   エッグテンペラ 25.0x35.0 signed
16 siense memories 2005 エッグテンペラ 30.3x23.0 signed
17 Indian Script   エッグテンペラ 30.0×20.0 signed
18 Road to Elsewhere   エッグテンペラ 25.0x20.0 signed
19 Balance Game   エッグテンペラ 20.0x25.0 signed
20 Walkways and Windows   エッグテンペラ 20.0x25.0 signed
21 Perspective   エッグテンペラ 25.0x20.0 signed
22 Interruption   水彩 50.5x35.5 signed
23 Mirage at Sea   水彩 35.5x50.5 signed
24 From Sky to Water to Earth   水彩 35.5x50.5 signed
25 Roots   水彩 50.5x35.5 signed
26 絵本『love−ラブ−』
1,890円(税込)
    signed

展覧会風景

オープニング風景


ジャン・ベルト・ヴァンニ展〜三辺律子〜コレクターの声第16回

Who ever loved that loved not at first sight?
(まことの恋をする人はみな一目で恋におちる)
三辺律子

 見たとたん、訳したいと思ってしまった。ジャン・ベルト・ヴァンニさんの手がけた絵本『love -ラブ-』。最初は、その個性的なデザインに目を奪われた。ページのあちこちにあいた穴、めくるたびに変化していく切り抜きの妙、大胆だが計算しつくされた色使い、微妙な色合い。一目ぼれだった。
 けれど、編集者の方に頂いた本を何度も読み返しているうちに、また別の魅力が立ちあがってきた。孤児の女の子のどうしようもない寂しさ、決して感傷に流れない切なさがひしひしと胸に迫り、気がついたら完全に恋に落ちていた。ヴァンニさんのイラストは、絵本につけられた文字に負けず劣らず、女の子の孤独を物語っていた。

 子どもが絵本を好むのは、当たり前のように思われているけれど、改めて考えてみると、イラストレーションというものの特質が浮かびあがる。著名な絵本作家のロジャー・デュボアザンが、絵画(ペインティング)に対するイラストレーションを「文章の助けなしに物語を語る―――つまり、絵による文学」だと述べているが、つまり、文字を読めない(あるいはすらすらと読めない)子どもにとって、イラストレーションはまさに物語そのものなのだ。
 ヴァンニさんのイラストは、雄弁に物語を語る。ページにあけられた窓(穴)の奥にポツンと立っている女の子。白と黒で描かれた大勢の子どもが遊ぶ孤児院の風景では、女の子のいるところだけがオレンジ色に切り抜かれている。女の子の運命が坂道を転げ落ちるように暗転していく場面では、ページが細く切り刻まれ、不安を募らせながらページをめくる読者の手も自然と速くなる。そんなヴァンニさんのイラストのテクニックに、わたしは完璧にノックアウトされてしまったのだ。

 とはいえ、好きという感情はそう簡単には説明できないのが常。

 物語る絵であるイラストレーションに対し、絵画(ペインティング)は「感覚に達することだけを意図」したものであり「感じられるだけであって、言葉では表現されえない」。デュボアザンは、絵に必ず文学性を見出そうとする傾向を憂いたドラクロアの考えを紹介して、そう定義しているが、わたしの一目ぼれを説明してくれるのは、まさにこれだと思う。ヴァンニさんの作品は見たとたん、わたしの「感覚に達した」から。
 『love -ラブ-』の絵画的側面に一目ぼれして、イラスト的側面に陥落−――わたしの恋心(?)を無理に言葉にすればそんなところかも。
 だから、〈ときの忘れもの〉のヴァンニさんの展覧会に出かけていったわたしが、再び一目ぼれを喫し、ヴァンニさんの絵をどうしても我が物にしたくなってしまったのも当然の結果だった。今、自宅のリビングの一角に飾ってあるその絵を見るたびに、ヴァンニさんの作品への恋心をますます募らせている。そして、81歳というお年を感じさせない精力的な、日本を愛する紳士ヴァンニさんご自身にも!
        2008年4月 (さんべ りつこ)

*下記の図版は、『love』の英語版より。

love英語版1love英語版2















love英語版3love英語版4


















三辺さん

*3月14日のオープニングの折、三辺さんとジャン・ベルト・ヴァンニさん。この日お二人は初めて会った




バンニLOVE
love -ラブ-
著者: デザイン&イラスト/ ジャン・ベルト・ヴァンニ
ストーリー/ ローウェル・A・シフ  
訳/ 三辺律子
 青山出版社
 B5判変型(225×124)
 角背上製 76ページ
価格: 定価1,890円(税込み)
(ヴァンニさんのサイン本が画廊に少し残っています。)




◆三辺律子(さんべりつこ)
東京生まれ。英米文学翻訳家。白百合女子大学大学院児童文化学科修了。
主な訳書に『よにもふしぎな本をたべるおとこのこのはなし』オリヴァー・ジェファーズ(ヴィレッジブックス)、『龍のすむ家V 炎の星』クリス・ダレーシー(竹書房)、『魔女の愛した子』マイケル・グルーバー(理論社)、他。


*画廊亭主敬白
3月に開催したジャン・ベルト・ヴァンニさんの『love -ラブ-』出版記念展への「コレクターの声」は、『love -ラブ-』を翻訳された三辺さんが執筆してくださいました。
タイトルは、翻訳家らしくシェイクスピアの『お気に召すまま』から。マーロウの詩からシェイクスピアがとったそうです。
『love -ラブ-』は1964年にフランスで出版され、世界中で100万部以上のロングセラーになっている本ですが、物語としても、見て楽しむものとしても、一度味わえばきっと人にも勧めたくなる、そんな素晴らしい体験を与えてくれる絵本です。
今回の展覧会にふさわしい素敵なメッセージを三辺さん、ありがとう。


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