ときの忘れもの

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ソニア・ドローネー Sonia DELAUNAY

20世紀の前衛画家の中で女性として大きな足跡を残したソニア・ドローネー。昔、新聞社時代、お昼時に歩いて数分の竹橋の国立近代美術館によく通った。常設展示されていた夫のロベールの細長い「リズムー螺旋」を見るのが楽しみだった。ソニアとロベールの二人展が開かれたのも同美術館だった。新聞社を辞めて美術の世界に入ってから、パリに出張する機会が増えた。ロベールとソニアの夫婦の作品にたくさんめぐり合うことができた。ちょうど1980年代後半、パリにはソニアの作品を専門に扱う大きなギャラリーがあり、そこで彼女のテキスタイル作品、花瓶などのセラミック作品、そして版画を買い込んだものだ。ロシアのウクライナに生れたソニア・テルク(1885-1979)は、カールスルーエで絵を習い始め、1905年にパリに出て、アカデミー・ド・ラ・パレットで、アメデ・オザンファンやスゴンザックとともに学んだ。

1910年ロベール・ドローネー(Robert Delaunay, 1885年-1941年)と結婚した。パリ生まれのロベールはワシリー・カンディンスキー(ロシア)、ピエト・モンドリアン(オランダ)とともに抽象絵画の先駆者の一人であり、リズムと色彩に満ちた画風は「オルフィスム」といわれた。エッフェル塔を描いた連作はよく知られている。夫妻はともにディアギレフのロシア・バレエに協力し、彼女は衣装を担当した。ロベールより長命だったソニアは、油彩だけでなく、テキスタイルや版画など多方面にその才能を開花させた。特に色彩豊かな版画作品(リトグラフ、銅版)は素晴らしい。

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