殿敷侃 Tadashi TONOSHIKI
1942年広島市生まれ。3歳のときに被爆。父親は原爆で亡くなり、母親も五年後に病死。26歳で画家を志す。77年久保貞次郎の勧めにより銅版画の制作を始める。
作家自身の被爆体験にもとづいた作品で注目され、79、80年に安井賞連続入選。82年ヨーロッパ旅行で[ドクメンタ7]のボイスの作品に大きな衝撃を受け、翌年の山口県展に約4トンのタイヤなどの廃品をぶちまけたインスタレーションを発表。92年永逝(享年50)。
同時代に生き、3歳しか違わないこの作家に会ったことはありません。久保貞次郎先生から「面白い作家がいる」と、石を鉛筆で精緻に描いた何枚ものドローイングを見せて貰いながら、その真価を見抜けませんでした。だから当時は勧められても買わなかった。没後、下関市立美術館で開催された遺作展の図録を繰り返し眺めながら、師匠の残した宿題と思って、いつか「殿敷侃展」を開きたいと思っています。