現代版画センター旗揚げ
「第一回東京オークション」
1974年3月31日
会場：東京・高輪プリンスホテル
主催：全国版画コレクターの会（仮称）準備会

　皆様　お元気でいらっしゃいますか。
　きょうは、少しばかり趣きの変った御案内をさしあげます。
　私が、時々おどろく程大きなカバンをさげて歩いているのを御覧になったことがございましたでしょう。あの中には今の日本では代表的な画家の版画がはいっていたのです。と申しますのは、私の先生が、美術の鑑賞は、ことばで説明してはいけない。本当に芸術性の高い作品にじかに接する機会を与えることだと教えられたことを忠実に守って、いつでも誰でもそれを見たい人があったら展げて見せられるように常に持って歩いていたわけです。だから、皆さんには誰よりも見ていただきたい気持ちは、やまやまでしたけれども、さすがに教師の身分を利用して絵を売るように思われることに気おくれしてお見せすることができませんでした。ところが、このたび毎日新聞の方が、私が二十年間続けてきたこの運動を高く評価して一緒に協力してくれることになり同封のような立派なパンフレットを作ってくれました。又五百円の会費でオークションの会場を提供してくれました。それでやっと私は自信をもって皆様に会員になり、オークションに参加して、親しくこれらの版画を見たり買ったりすることをおすすめできる次第です。
　もし、このパンフレットをお読みになって興味をお持ちになりましたら、会員におなりください。又三月三十一日のオークションにお出かけください。
　この御案内は部数に限りがございますので、一応PTAの役員の方だけにお送り致しました。もしお知り合いの方で興味をお持ちの方がございましたら御住所とおなまえを事務所の方へお知らせください。



立っている左から、山本栄蔵、綿貫不二夫、金森敦子、渡部幹郎、高杉


ガストン・プチさん（右）と、ノーマン H. トールマンさん