b726b2c4.jpg◆第131回企画展 フォーゲラーとヴォルプスヴェーデ展
会期=2006年6月9日[金]~17日[土] 12:00―19:00 *日曜・月曜・祝日は休廊
http://www.tokinowasuremono.com/tenrankag/izen/tk0605/tk0606.html

明治末期に雑誌『白樺』で紹介されるや当時の若い作家たちに大きな影響を与えたハインリヒ・フォーゲラー(1872~1942年)と、芸術家村ヴォルプスヴェーデに集った3人の仲間たち/フリッツ・オーヴァーベック(1869~1909年)、フリッツ・マッケンゼン(1866~1953年)、ハンス・アム・エンデ(1864~1918年)/の銅版画作品15点を出品します。

出品作/フォーゲラーの銅版代表作「春」(1896年)をはじめ、1897年に発表された版画集『ヴォルプスヴェーデより』所収のハインリヒ・フォーゲラー「いばら姫」「春の夕べ」「カラマツ」、フリッツ・オーヴァーベック「ヴォルプスヴェーデ」「静かな場所」「私の窓から」、フリッツ・マッケンゼン「ハムメ川」「泥炭地のヤン」「炉ばた」、ハンス・アム・エンデ「子どもの頭部」「泥炭地の風景」「白樺の小さな森」など。

■ヴォルプスヴェーデ/1889年から、北ドイツ、ブレーメン郊外の小さい町ヴォルプスヴェーデに新しい芸術を目指す青年画家たちが定住し、<夢見られた共同体>芸術家コロニーをつくります。フォーゲラーやリルケなど多くの芸術家が集い、芸術と生活の融合を目指し絵画だけにとどまらず、工芸、建築と幅広い芸術活動を展開しましたが、その最盛期は短く、やがてそれぞれの道を歩んでいきます。

出品作はヴォルプスヴェーデに集った青年画家たちの瑞々しい叙情に溢れた銅版画連作です。

■ハインリヒ・フォーゲラー/1872年にブレーメンに生まれたフォーゲラーは、1894年にヴォルプスヴェーデに定住し、自然を舞台とした童話のような世界を装飾的に創造し、その銅版画は1910(明治43)年に日本いち早く紹介され、文芸雑誌『白樺』に特集が組まれ、表紙や裏表紙、扉を飾りました。第一次世界大戦には志願兵としてドイツ軍に参加し、ソ連のスパイなどの防諜を行なううちに社会主義理論に同調してしまい、以降、戦争や社会情勢の悲惨さを象った表現主義的手法を取り入れた作風へと変化します。やがてソ連にわたり、1942年プロレタリアートの画家・運動家としてソ連カザフスタンで生涯を閉じました。