
2006年最後の書き込みです。
1925(大正14)年に創刊された「ふらんす」という雑誌があります。
昨年創刊80周年を迎え、フランス語とフランス文化とともに歩んできた過去のバックナンバーから、エッセイなどを選び編んだ「ふらんす 80年の回想 1925-2005」という本が昨2005年に白水社から刊行されました(1.800円+税)。
登場する著者たちが凄い。
與謝野晶子、堀口大學、岸田國士、内藤濯、辰野隆、岩田豊雄、市原豊太、河盛好蔵、加藤周一、蘆原英了、遠藤周作、野村二郎、澁澤龍彦、石井好子、花柳章太郎、吉田秀和、福永武彦、辻邦生、佐藤朔・・・・いやきりがない。
私の大学時代の恩師、田辺貞之助先生、草野貞之先生も執筆者です。
もちろん本欄の主人公、駒井哲郎先生のエッセイ「Vinの味 Parisの味」(1971年9月号)もあります。1954~55年にかけてのパリ留学時代の思い出話です。

この本をわざわざ送ってくださったのは上記の駒井先生のエッセイに登場する野村二郎先生ですが(日本からフランスへの往復の船で同室だった)、本と一緒に、貴重な1955年のバックナンバーのコピーを同封してくださいました。
そこに掲載されているカット(挿画)、描いたのは駒井哲郎先生です!
(このカットは、上記の本には収録されていませんが)
ダッフルコートってもうこの頃、若者のファッションだったんですねえ。
因みに、ウィキペディア(Wikipedia)によれば、<ダッフルコート (duffel coat) は、外套(オーバーコート)の一種。北欧の漁師の仕事着として活用されていた。第二次世界大戦ではイギリス海軍が軍服として着用した。フード付きの防寒コートで、ベルギーのアントワープ近郊のダッフル地方で作られた起毛仕上げの厚手のメルトン生地(紡毛織物、ウール生地)を用いたことから命名された。裏地は付けない。トグル (toggle) と言う留め木とトグルと対になるループが数個付いており、フロントを留める。トグルは浮き型で素材は木や角である。ボタンとは違い手袋をしたままトグルを留めたり、外したり出来るのが特徴である。イギリスのグローバーオール社の製品が有名。>とあります。
駒井先生は雑誌のカットなどたくさん手がけてはいますが、こういう若い人の風俗を描いたものは私は初めて見ました。美術関係者は誰もしらないんじゃないかしら。
初々しいですね。
駒井先生のパリ留学時代のことは意外に知られていません。そのうち熱心な研究者によってまとめられることを期待しています。
そのときは是非このカットも掲載して欲しい。
この連載もおかげさまで22回を数えました。ご愛読を感謝するとともに、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは皆さん、良いお年を。
2006.12.31 綿貫不二夫
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