

小川信治 Shinji OGAWA
「WITHOUT YOU - GILBERT AND GEORGE 1」
2000年 22x33cm
pencil and oil on paper, Signed
「WITHOUT YOU - GILBERT AND GEORGE 2」
2000年 22x33cm
pencil and oil on paper, Signed
昨年2006年の大阪の国立国際美術館での個展でようやく小川信治の真価が多くの人に伝わってきたようです。
同美術館のサイトによれば、「卓越した技術で多層的に交錯する世界を描き出す小川信治(1959- )の個展です。小川は、泰西名画、絵葉書、写真、浮世絵などを元に、人物や風景を消去/追加/置換して描き直すことで、複数の世界が互いに干渉するモアレとしての「世界像」を紡ぎ出します。「WITHOUT YOU」シリーズから新作「モアレの風景」まで、映像作品を含めた六つの「多世界」を紹介します。」とあります。
もう少し詳しく言うと、小川信治が追求している絵画のコンセプトは二つあります
ひとつは、誰でもが知っている(既知の)映画や写真、名作絵画の一場面から、登場人物を一人消しさり、残された(描かれた)人物とシーンだけで場面を成立させた[WITHOUT YOU]シリーズ。
もうひとつは、絵葉書や写真に、写っている人や物ひとつをもうひとつ描き込み、画面の違和感を問う[PERFECT WORLD]シリーズ。
これらは、「私たちが信じて疑わないもの、普通だと確信しているものが既に異形のものへと変化し始めているという直観につき動かされて制作を始めた」と小川は言っています。
極めて伝統的な技法を用いながら、小川の精緻な描写力をもって初めて可能である大胆な試みをさまざまに展開し続けています。
ご紹介するのは、2000年のときの忘れもので発表した<作家のアトリエ>シリーズでの作品。
イギリスの二人組のパフォーマンス・アーティストとして有名なギルバート&ジョージの写真をもとに、一方はペアで、片方は一人だけを取り出して描いています。
彼らはパフォーマンスなど作品発表や公衆の場に現れる際はいつも同じようなビジネス・スーツを着て、ほとんどいつも二人一緒に行動しています。スーツはイギリス人らしさであると同時に、普通の人の普通の生活の象徴でもある。2人のすることはすべてアートだという事で、自分自身を生きる彫刻、"living sculptures"と称しています。
そういう彼らの表現を知っていれば、小川がこの二人組を分解してしまった意味も自ずと明らかになってきます。
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