木原康行

木原康行 Yasuyuki KIHARA
「transition 5」
 1987 engraving
 Image Size 29.6x19.0cm
 Ed.30 Signed

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鋭い刃のビュランで銅版を直接彫り付けて刻線をつくり、彫られた溝にインクをつめてプレスする技法(ビュラン、エングレーヴィング)は、やり直しのまったくきかない難しさはもちろん、高度な集中力と忍耐力、デッサン力を必要とする。
パリのアトリエ17で学んだ木原康行(1932年生まれ)はビュランの名手だが、実は耳が不自由である。
パリから一時帰国した作家と初めて会ったとき、筆談だった。
といっても私が紙に書いたことを作家がすばやく読むや、間髪をいれず甲高い声で返事が返ってくる。
何だか私のほうがもどかしくて調子が狂ってしまったのを思い出す(笑)。
木原は無音の静寂の世界に生きているからこそ、マニアックな集中力で、すばらしい緊張感あふれる画面を創りだせるのだろう。
祈りの詩かも知れない。