スタージスさんの写真集情報です。前に伺った予定よりずいぶん延びてしまったようで残念です。なお、いずれも現時点での状況で決定ではありませんのでご了承ください。
1.ドイツのSteidlから出版されるカラー写真集の発売予定は、来年9月になりました。
2.ミスティ・ドーンの写真集の発売は、多分6ヵ月後くらいになりそうです。
3. Edition Minotaurusから、10点のイメージを16x20インチ(40x50cm)の大きさで多色印刷したたいへん大きなカラーおよびモノクロの本を準備中です。この本は、限定出版(350部?)で、高価になる-10数万円かそれ以上-と思われます。しかし、スタージスさんによれば、「その複製の品質は、実際のプリントに匹敵するもので、その意味では安いと言える。」とのことです。
4.スタージスさんのいわゆる新作写真集は、予定はありますが日程はまだ決まっていないそうです。
いま、1のための作品選択をしているところで、それが済まないと3のほうに進めないとのこと。10月にはメキシコで数週間撮影をしたようですし、今年一杯は非常に多忙だそうです。

なお、ときの忘れものでは、スタージスさんの新作展を来年8月に予定しております。どうぞお楽しみに。

また、スタージスさんに「あなたの美しいモノクローム・プリントの制作の秘密を教えてください。」とお願いしましたところ、以下のようなお返事をいただきました。併せて以前伺ったカラー作品の撮影データについても記載いたしますのでご覧下さい。
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私のモノクロプリントは、何種類かのウォームトーンペーパーにプリントされています。おそらく、最も良いペーパーは日本製のオリエンタル・ウォームトーンペーパーで、私の作品のほとんどは、これにプリントされてきました。しかし、数年前、その製法が変わり、今はすっかり良さがなくなってしまいました。現時点で、400枚ペーパーが残っていますが、それがなくなったとき、私は銀塩のモノクロプリントを止めるかもしません。なぜなら、私の基準に達する美しさのものが今製造されていないからです。

また他に、私のプリントが美しいとすれば、それは、8x10インチ(20x25cm)のネガから引き伸ばされているからでしょう。カメラは、1930年代に作られたコダック・マスター・ヴュー、レンズは、新しいもので、非常に高価なローデンストック240mm(35mmカメラに40mmレンズを付けたのと同じくらい、少しワイドアングル)です。私は、撮影するときにレフ板をよく使うことはあっても、人工的な光を使うことはありません。
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カメラ:8x10コダック・マスター・ヴュー(1930年代に作られた古い金属性のフラット・ベッド・フィールド・カメラです)
レンズ:ローデンストック 240mm、f5.6

私は、露出計は使いません。
露出は変えますが、シャッター・スピードはめったに1/15より速くなることはありません。よく使う絞りは、F8からF11あたりです。8x10ではほとんど開放に近い絞りで、私の求める深度の浅い視野を与えてくれます。

フィルム:フジRDPIIIカラーポジフィルム。このフィルムは、私が今まで使った中でもっとも素晴らしいカラーフィルムです。この10年間ずっと私の選ぶカラーフィルムであり続けています。それは、美しい色の彩度と精度をそなえており、非常にシャープで粒子がありません。私のスタジオでは、よく100x125cmの大きさのプリントを作りますが、なめらかな色調でシャープな細部、そしてまったく粒子がありません。
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