松永伍一先生が3日亡くなった。
お体の悪いということは聞いてはいたが、訃報を新聞で読んで愕然とした。
私にとっては、「困ったときの(転機のときの)松永先生頼み」であった。
学生時代、私の愛読書に『荘厳なる詩祭』(1967年、徳間書店)があった。
夭折した詩人たちの評伝であるが、私はそういう仕事をしたいと思った。
埋もれた人びと、忘れ去られた人びとに光をあてることができればと思った。
1974年に現代版画センターを創立したとき、頼るべき美術界の知人を持たない私は、松永先生に手紙を出して相談した。もちろん一面識もなかった。できたばかりの事務所にあらわれた松永先生は、若い私たちに多くの助言をしてくれ、以来今日まで変わらぬ厚意を寄せてくださった。
独学でありながら、文学、美術に精通し、西郷輝彦、田中健、大竹しのぶらにほれ込み、加藤登紀子さんと「花あかりの会」を主宰し多くの芸人たちを紹介した。
石神井のお宅で、北軽井沢の山小屋で、先生は私たちに美に寄せる思いを語ってやまなかった。
私が何か新たな企画を起こすときは、いつも無条件で応援してくれた。
思い出すままに挙げると、
●木村茂銅版画集「日本の街第3巻 武蔵野」にエッセイ執筆、1975年
●松永伍一・吉原英雄詩画集「少年」1977年
●「'77現代と声 版画の現在」に<生命発条への讃歌(加山又造論)>を執筆、1978年
●「資生堂ギャラリー七十五年史」に<奇妙なドラマ 長谷川利行と天城俊彦><禅からピカソへ 井上三綱><知の贅沢に生きる 御木本隆三><反骨流浪の画家 高島野十郎>を執筆、1995年
●「版画掌誌ときの忘れもの第1号」に<内部の星座 三上誠寸描>を執筆、1999年
おわかりの通り、私は私の転機となった企画を起こすときは、先ず最初に松永先生に相談し執筆を依頼してきた。
他にもたくさんあるのだが、書いていただいた作家名を見れば、先生の好み(それは私の好みでもあるのだが)が一目瞭然である。
長谷川利行、天城俊彦、井上三綱、御木本隆三、高島野十郎、三上誠・・・世に逆らい、ただ一筋自ら信じる美に殉じた異端の人びとを熱い共感をもって語れる人は松永先生しかいなかった。
先生もそのあたりのことは百も承知で、私がご相談に伺うと、嬉しそうに「ぼくしか書けないよね」といって約束通り、枚数も期日もぴたりと納めてくださるのだった。

左の写真は、1999年2月ときの忘れものの古い一軒家時代に開催した「三上誠遺作展」の折のもの。
謹んで、松永伍一先生のご冥福をお祈りします。


松永伍一
「讃歌ー美に殉じた人びとへ」
2006年 玲風書房
著者サイン入り
2,310円
◆ご紹介した『讃歌ー美に殉じた人びとへ』は刊行直後に先生にサインをしていただいたものです。まだ在庫がありますので、ぜひお読みください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
お体の悪いということは聞いてはいたが、訃報を新聞で読んで愕然とした。
私にとっては、「困ったときの(転機のときの)松永先生頼み」であった。
学生時代、私の愛読書に『荘厳なる詩祭』(1967年、徳間書店)があった。
夭折した詩人たちの評伝であるが、私はそういう仕事をしたいと思った。
埋もれた人びと、忘れ去られた人びとに光をあてることができればと思った。
1974年に現代版画センターを創立したとき、頼るべき美術界の知人を持たない私は、松永先生に手紙を出して相談した。もちろん一面識もなかった。できたばかりの事務所にあらわれた松永先生は、若い私たちに多くの助言をしてくれ、以来今日まで変わらぬ厚意を寄せてくださった。
独学でありながら、文学、美術に精通し、西郷輝彦、田中健、大竹しのぶらにほれ込み、加藤登紀子さんと「花あかりの会」を主宰し多くの芸人たちを紹介した。
石神井のお宅で、北軽井沢の山小屋で、先生は私たちに美に寄せる思いを語ってやまなかった。
私が何か新たな企画を起こすときは、いつも無条件で応援してくれた。
思い出すままに挙げると、
●木村茂銅版画集「日本の街第3巻 武蔵野」にエッセイ執筆、1975年
●松永伍一・吉原英雄詩画集「少年」1977年
●「'77現代と声 版画の現在」に<生命発条への讃歌(加山又造論)>を執筆、1978年
●「資生堂ギャラリー七十五年史」に<奇妙なドラマ 長谷川利行と天城俊彦><禅からピカソへ 井上三綱><知の贅沢に生きる 御木本隆三><反骨流浪の画家 高島野十郎>を執筆、1995年
●「版画掌誌ときの忘れもの第1号」に<内部の星座 三上誠寸描>を執筆、1999年
おわかりの通り、私は私の転機となった企画を起こすときは、先ず最初に松永先生に相談し執筆を依頼してきた。
他にもたくさんあるのだが、書いていただいた作家名を見れば、先生の好み(それは私の好みでもあるのだが)が一目瞭然である。
長谷川利行、天城俊彦、井上三綱、御木本隆三、高島野十郎、三上誠・・・世に逆らい、ただ一筋自ら信じる美に殉じた異端の人びとを熱い共感をもって語れる人は松永先生しかいなかった。
先生もそのあたりのことは百も承知で、私がご相談に伺うと、嬉しそうに「ぼくしか書けないよね」といって約束通り、枚数も期日もぴたりと納めてくださるのだった。

左の写真は、1999年2月ときの忘れものの古い一軒家時代に開催した「三上誠遺作展」の折のもの。
謹んで、松永伍一先生のご冥福をお祈りします。


松永伍一
「讃歌ー美に殉じた人びとへ」
2006年 玲風書房
著者サイン入り
2,310円
◆ご紹介した『讃歌ー美に殉じた人びとへ』は刊行直後に先生にサインをしていただいたものです。まだ在庫がありますので、ぜひお読みください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
コメント一覧