STGフォーゲラー展◆『ハインリッヒ・フォーゲラー展』図録
  2000年 (財)東日本鉄文化財団
  29.0×22.7cm 204ページ
 日本(のみならずドイツ国外)で開催されたフォーゲラー展で最も大規模だったのが、2000年12月~翌2001年3月にかけて東京ステーションギャラリーと大阪大丸ミュージアムで開催された「ハインリッヒ・フォーゲラー展」でした。そのときの図録です。
出品リストには218点が記載されています。
テキスト=ベルント・キュスター、千足伸行、岩下眞好、松田重昭、ペーター・エルツェ。
 
 油彩、水彩、版画、蔵書票、書籍装丁・装画、工芸デザイン、建築・家具、などフォーゲラーの多様な制作活動を網羅した展示内容は壮観ではありました。
私も、版画のみならず建築の図面など見られたこの展覧会でずいぶんと多くを学びました。
しかし、しかし、私の個人的な感想でいえば、フォーゲラーは版画とグラフィックの人だったんだとあらためて感じました、油彩は無残でした。 たしかに全貌展ではあったけれど、私はフォーゲラーらしい精選された版画と本の展示のほうがよかったのに・・・と思ったことでした。展覧会は難しいですね。
さらに残念なことに、この図録、ちょっと編集が杜撰です・・・。

フォーゲラー伝ジークフリート・ブレスラー『ハインリッヒ・フォーゲラー伝』
  鈴木俊訳
  2007年 土曜美術社出版販売
  19.9×13.5cm 212ページ
「世紀末芸術家のフォーゲラーは、第一次大戦以降、社会主義の理想を求めてドイツからソ連へ渡り歩く。道半ば孤独な闘いのなかで窮死するが、作品は見果てぬ夢の証しだ。その壮絶な人生の全貌が本書で明らかになる。」(神品芳夫、帯より)
 裕福な家庭で育ち、ヴォルプスヴェーデで「暴力も圧制もなく平和に相互に生きる世界を求め」たフォーゲラーが、最後はソ連に流れて行く。1941年モスクワで画業50周年の個展を開いた翌年、強制移住させられたカザフスタンの地で物乞いをするまでに貧窮し、絶望的な死で終わった生涯がまとめられています。
しかし、訳者後記に「私の胸中には湧き上がる不審の念を払拭しきれない焦燥がある」とあるように、なぜフォーゲラーの悲劇が起こったかの原因は謎のままです。
 上記の図録を見ながら読むといいのでは。

◆ときの忘れものでは4月4日~4月19日まで「フォーゲラーとその時代展」を開催中です。
フォーゲラー「カラマツ」
ハインリヒ・フォーゲラー Heinrich Vogeler
「カラマツ」
  1897  銅版  
  25.3x22.0cm
  版上サイン

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから