小野隆生先生の初の回顧展が迫ってきました。主催・会場は伊東の池田20世紀美術館ですが、同館は今から30数年前の1975年に、ニチレキ株式会社(旧・日瀝化学工業)創業者の故・池田英一氏によって設立され、ピカソ、マチス、ダリ、レジェ、デクーニング、ミロ、フォートリエ、ウォーホル、F・ベーコンなど現代美術の優れたコレクションを収蔵公開しています。
私らオールド・ボーイにとっては当時眼も眩むようなまぶしい存在の現代美術館でした。
「小野隆生 描かれた影の記憶/イタリアでの活動30年」
会期:2008年6月26日(木)~9月30日(火)
会場:池田20世紀美術館 http://www.nichireki.co.jp/ikeda/
一碧湖畔に建つメタリックな外壁は設計者・井上武吉によるデザインで、彫刻家ならではのユニークな空間をつくっており、一階がコレクション常設、地下一階では企画展を開催しています。
開館以来、駒井哲郎、難波田龍起・紀夫・史男、靉嘔、野田哲也、大沢昌助、柳澤紀子、細江英公、菅創吉、池田満寿夫、池田龍雄、佐野ぬい、秋山祐徳太子、田名網敬一、土方巽、横尾忠則、福田美蘭らの展覧会が開催されてきました。
さて今回の小野隆生展に際し、どういう作品をどのくらい出品展示するかについては、作家本人の強い意向で、1993~2007年の15年間の仕事に絞り、約70点が自選されました。
小野先生という方は、まあ半分イタリア人みたいなものですから、自選にあったては一切の情実抜き、クールに自分の展示コンセプトに従って、ある意味機械的に選ばれた。
取扱い画商としてはいろいろ言いたいこともあるのですが、今は黙してひたすらお手伝いに徹しております。
私どもは総力をあげてこの展覧会に協力していますが、所蔵家は全国に散らばっており、集荷もたいへんです。
通常は、主催美術館からトラックに乗った学芸員が所蔵先までお借りしに伺うのですが、個人所蔵家の場合、長く日本を留守されたり、お目にかかったことのない人もいるので、場合によっては私どもがお手伝いで作品を拝借に伺うこともある。
先日も福井のある個人所蔵家を訪ねた。
福井県勝山では今まで何回か小野隆生展が開催されているので所蔵家も多く、福井県内には何点も小野作品があるのですが、先生が選ばれたのは1点のみ、たまたま私どもが存じ上げない方だったので、ご挨拶がてら伺った次第。
でもせっかく福井まで行ったのに、蕎麦も寿司もお酒もいただかずに帰るわけには行かない。
旧知のコレクターの皆さんのお宅に伺い、夜はアートフル勝山の会の荒井さんに新鮮なお寿司をご馳走になりました。
下にご紹介するのは、池田町という福井県でも随分と山奥の里のKさんのお宅です。
こういう見事な飾り方もあるんですねえ。
よく虎の描かれたような衝立がこういう古いお宅にありますよね。
意表をついた展示に驚くとともに、作品が愛されているなあと嬉しくなりました。
写真には写っていませんが、襖の上の鴨居には瑛九や池田満寿夫の油彩がかかっています。
◆ときの忘れものでは、6月6日~6月14日まで若い世代による「4 Winds 2008 永井桃子・根岸文子・秋葉シスイ・三須研一」展を開催しています。ぜひお出かけください。
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