明日から二日間、ギャラリーで「入札による現代美術オークション」を開催します。
既にホームページでは入札を受け付けていますが、ぜひお近くの方はご来場ください。そして気に入った作品があったら入札してください。
引き続き出品作品のご紹介をします。戦後の現代版画史に残る名作です。
岡鹿之助
出品番号15.
「蛾」 1956年
リトグラフ 21.0x15.0cm Ed.100
サイン有り
岡が残した版画は多数あるが、自ら版に向かって制作した所謂オリジナル版画は、そう多くはない。特にその独創的な点描技法を駆使し名刷り師・女屋勘左衛門の協力によって生み出された7点のリトグラフは、現代版画史を彩る傑作である。1998年3~4月目黒区美術館で開催された「知られざる刷り師女屋勘左衛門と日本のパントゥル・グラヴールたち」展でも7点が展示され、この「蛾」をはじめ「巣」「雨宿りする鳥」などは、小さな画面でモノトーンにもかかわらず、版画の表現力を余すことなく伝えていた。文句無く名作だと思います。
◆岡鹿之助(おか しかのすけ、1898~1978年)は、東京生まれ。劇評家岡鬼太郎の長男として生まれる。麻布中学校時代から、岡田三郎助に素描を学ぶ。1924年東京美術学校を卒業、渡仏。翌年サロン・ドートンヌに初出品し、入選する。1939年帰国。春陽会を中心に活躍、1964年日本芸術院賞。1969年日本芸術院会員。1972年には文化勲章を受章、文字通り昭和を代表する洋画家だった。パリ時代に自分の絵のマチエールが西洋絵画のそれに比べて劣ることに悩み、試行錯誤の末到達したのが、岡の作風を特徴づける点描画法である。スーラの点描法は、キャンヴァス上に並置された異なった色の2つの点が、視る人の網膜上で混合し、別の色を生み出すという、「視覚混合」の理論を応用したものであったのに対し、岡の点描はむしろ同系色の点を並置することによって、堅固なマチエールを達成しようとした。岡は、一貫してこの技法によって静謐で詩情に満ちた幻想的な風景画、静物画を制作し続けた。

吉田政次
出品番号52
「新しい発生 No.2」 1958年
木版 45.0x37.6cm Ed.200
サイン有り
創作版画の最も上質な部分を代表するのが恩地孝四郎の一連の抽象作品だとすれば、その最も良き後継者が吉田政次と内間安王星だったというのが私見です。創作版画最後の輝きともいうべきこの吉田の「新しい発生 No.2」は1958年の制作ですが、今も瑞々しい魅力を失っていません。
◆吉田政次(よしだ まさじ、1917~1971年)は、和歌山県吉備町生まれ。1941年東京美術学校西洋画科卒業、兵役を経て、同校研究科に学ぶ。1949年第17回日本版画協会展に出品、以後同会及びモダンアート協会などで活躍。リリシズムを湛えた抽象木版は国際的にも高く評価され、1957年第1回東京国際版画ビエンナーレ展(東京国立近代美術館)新人賞を受賞。リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展(ユーゴスラビア)サンパウロ・ビエンナーレ展(ブラジル)等に出品。以後、1969年第8回ホアン・ミロ賞国際素描展(スペイン)で大賞を受賞。没後、1974年に和歌山県立美術館で遺作展が開催された。
既にホームページでは入札を受け付けていますが、ぜひお近くの方はご来場ください。そして気に入った作品があったら入札してください。
引き続き出品作品のご紹介をします。戦後の現代版画史に残る名作です。
岡鹿之助
出品番号15.
「蛾」 1956年
リトグラフ 21.0x15.0cm Ed.100
サイン有り
岡が残した版画は多数あるが、自ら版に向かって制作した所謂オリジナル版画は、そう多くはない。特にその独創的な点描技法を駆使し名刷り師・女屋勘左衛門の協力によって生み出された7点のリトグラフは、現代版画史を彩る傑作である。1998年3~4月目黒区美術館で開催された「知られざる刷り師女屋勘左衛門と日本のパントゥル・グラヴールたち」展でも7点が展示され、この「蛾」をはじめ「巣」「雨宿りする鳥」などは、小さな画面でモノトーンにもかかわらず、版画の表現力を余すことなく伝えていた。文句無く名作だと思います。
◆岡鹿之助(おか しかのすけ、1898~1978年)は、東京生まれ。劇評家岡鬼太郎の長男として生まれる。麻布中学校時代から、岡田三郎助に素描を学ぶ。1924年東京美術学校を卒業、渡仏。翌年サロン・ドートンヌに初出品し、入選する。1939年帰国。春陽会を中心に活躍、1964年日本芸術院賞。1969年日本芸術院会員。1972年には文化勲章を受章、文字通り昭和を代表する洋画家だった。パリ時代に自分の絵のマチエールが西洋絵画のそれに比べて劣ることに悩み、試行錯誤の末到達したのが、岡の作風を特徴づける点描画法である。スーラの点描法は、キャンヴァス上に並置された異なった色の2つの点が、視る人の網膜上で混合し、別の色を生み出すという、「視覚混合」の理論を応用したものであったのに対し、岡の点描はむしろ同系色の点を並置することによって、堅固なマチエールを達成しようとした。岡は、一貫してこの技法によって静謐で詩情に満ちた幻想的な風景画、静物画を制作し続けた。
吉田政次
出品番号52
「新しい発生 No.2」 1958年
木版 45.0x37.6cm Ed.200
サイン有り
創作版画の最も上質な部分を代表するのが恩地孝四郎の一連の抽象作品だとすれば、その最も良き後継者が吉田政次と内間安王星だったというのが私見です。創作版画最後の輝きともいうべきこの吉田の「新しい発生 No.2」は1958年の制作ですが、今も瑞々しい魅力を失っていません。
◆吉田政次(よしだ まさじ、1917~1971年)は、和歌山県吉備町生まれ。1941年東京美術学校西洋画科卒業、兵役を経て、同校研究科に学ぶ。1949年第17回日本版画協会展に出品、以後同会及びモダンアート協会などで活躍。リリシズムを湛えた抽象木版は国際的にも高く評価され、1957年第1回東京国際版画ビエンナーレ展(東京国立近代美術館)新人賞を受賞。リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展(ユーゴスラビア)サンパウロ・ビエンナーレ展(ブラジル)等に出品。以後、1969年第8回ホアン・ミロ賞国際素描展(スペイン)で大賞を受賞。没後、1974年に和歌山県立美術館で遺作展が開催された。
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