ときの忘れものの個展作家では最年少の井村一巴さんの最新作をご紹介します。
16歳からセルフポートレイトを撮影している彼女は、2003年にプリントした印画紙にピンで引っかくという方法「photograph with pin scratchings」を考案、以来その方法で制作しつづけてきました。
ゼラチン・シルバー・プリントの漆黒の画面を、ピンで引っかいて描くことにより、不思議な世界が浮かび上がります。まるで銅版技法のメゾチント(マニエールノワール=黒の技法)を想起させる独特の技法です。
自身を撮ったセルフポートレート写真でありながら、一度限りの「描いた」作品は写真と素描のミックスされた表現となっています。
下記の図版ではよくわからないかも知れませんが、繊細ではかないスクラッチの跡が彼女のからだにまるで霧か雲のようにまといつき、浮遊感のある表現を獲得しています。
井村一巴garden1
井村一巴「garden 1」 2008年
ゼラチン・シルバー・プリントにピン・スクラッチ
photograph with pin scratchings
59.0×39.0cm  1/1 サインあり

井村一巴garden2井村一巴「garden 2」  2008年
ゼラチン・シルバー・プリントにピン・スクラッチ
photograph with pin scratchings
59.0×81.0cm 1/1  サインあり

井村一巴fluid1井村一巴「fluid 1」 2008年
ゼラチン・シルバー・プリントにピン・スクラッチ
photograph with pin scratchings
59.0×39.0cm 1/1  サインあり

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