「再発見 プリントの美!」から、今日は、ラリー・クラークの写真作品「『TULSA』より」をご紹介します。
タルサは、ラリー・クラークが生まれた町で、オクラホマ州の中でも人口の多い都市です。父親は家に篭ってテレビを見るばかりで働かず、母親が家々を回って赤ちゃんの写真を撮ることで食いつないでいました。ラリー・クラークは、母の仕事を手伝うことで写真を撮り始めます。しかし、仲間とともに十代からドラッグを常用するという生活を送り、そういった中で撮った写真を1971年「TULSA」という写真集として発表し、衝撃的なデビューを飾ります。ところが、その後投獄されるなどのことがあり、次の「TEENAGE LUST」を発表するまで12年かかりました。かようにラリー・クラークという人物は、まさに写真の中の世界の人であり、そこから抜け出そうともがき続けている人と言えるでしょう。現在は、写真より映画のほうに活動の場を移しています。作家自身の投影としての写真作品、映画作品が高く評価されており、若者からも大いなる支持を得ています。
この「髪をとかす少年」は、『TULSA』からのもので、これからナンパに行くのか、それとも一事終えた後で髪を整えているかわかりませんが、若者の得意げな表情が印象的な作品です。
ラリー・クラーク「タルサ」「Combing boy」「タルサ」より
1960's-70's Printed in1980's
Gelatin Silver Print
20.7×31.2cm Signed on the back


こちらの作品は、一見したところ光の中で佇む妊婦の写真に見えますが、よく見ると女性は、妊娠しながらもドラッグを打っているという衝撃的な写真なのです。
ラリー・クラーク「タルサ2」「Pregnant woman」「タルサ」より
1960's-70's Printed in1980's
Gelatin Silver Print
20.6×31.1cm Signed on the back

◆ラリー・クラーク(Larry CLARK,1943~)
1943年米国オクラホマ州タルサに生まれの写真家・映画監督。1971年に写真集「タルサ」を発表、各界に大きな反響を呼ぶ。その後12年のブランクを経て写真集「ティ-ンエイジ・ラスト」で復帰、95年には「KIDS」で映画監督デビュー。

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◆ときの忘れものでは、12月12日[金]―12月27日[土]まで「再発見 プリントの美!」を開催しています。リストにない作品も出品していますので、どうぞ画廊にお越しください。

◆オリジナルプリントを挿入した「ときの忘れものアーカイヴスVol.1 五味彬Yellows」特装版を創刊しました。限定175部、挿入されたプリントは技法、サイズ、イメージなど全てが異なります。価格7,350円(税込)です。