昨年末、知人がニューヨークに行くというので、メトロポリタン美術館に行くようなら買ってきて欲しいと頼んだ写真集を持ち帰ってくれました。それは、昨年の9月からこの1月4日までメトロポリタン美術館で開催されたルディ・バークハートの写真展のカタログです。

1935年8月何の当てもなく21歳でスイスからアメリカに移り、ニューヨークに住み始めて写真を撮り貯めた中から、1940年にバークハートがセレクトして作った写真アルバムをもとにして作品を展示した展覧会で、写真集のタイトル「NEW YORK, N. WHY?」をそのまま展覧会のタイトルにしています。

そのアルバムは、親友であるエドウィン・デンビィが詩を寄せていて、二人の共作のようになっています。そして、この買って来てもらった展覧会のカタログというのが、その写真アルバムを復刻というより、複製した体裁になっていて、表紙の汚れた感じや、見返し、写真の台紙部分が経年で焼けたようになっており、とても凝った造りになっているのです。掲載された写真を見ると、ニューヨークの様々な店の店頭の文字や看板、建物の一部のシリーズ、雑踏や人の行きかう道を撮ったシリーズなど、独特の視点で捉えたニューヨークを見ることが出来ます。
と、ここまで紹介しておいて申し訳ありませんが、現時点では日本国内での入手は難しいようですので、ご自分でメトロポリタン美術館に行くか、どなたか行く方に買って来てもらうしかないようです。しかし、作品なら、ときの忘れものでご覧いただけます。（三浦次郎）
ルディ・バークハート Rudy BURCKHARDT
「New York 1940」
1940（printed in 1981）
Gelatin Silver Print 24.0x32.0cm
Ed.75 signed

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