ただいま開催中の「銀塩写真の魅力 Gelatin Silver YES!」も、本日が最終日となりました。19時まで開廊しておりますので、どうぞお出かけください。
Uelsmannジェリー・N・ユルズマン "Untitled"
1976 Gelatin Silver Print
33.5x24.3cm signed

ユルズマンの写真は、いくつかのイメージを組み合わせて作られています。今なら、ネガをスキャンして、パソコン上で画像をコラージュするなど簡単なことですが、ユルズマンの仕事は、手作業です。彼の暗室には8台の引き伸ばし機が置かれていて、それぞれにネガがセットされ、マスキングされた印画紙が順番にその引き伸ばし機を巡って行って作品が完成します。その継ぎ目は目を凝らしても分かりません。ほとんどの人は、この作品の作られた年代を見る前には、パソコンを使っていると思うでしょう。
このような、シュールな作品には、作家のセンスがよく表れます。その点、ユルズマンの作品には、一枚の中に独特な世界が表出されていて素晴らしいものがあります。現物をじっくりご覧下さい。

◆ジェリー・N・ユルズマン(Jerry N. UELSMANN)1934年アメリカ、ミシガン州デトロイト生まれ。ロチェスター工科大学、インディアナ大学で学んだ後、フロリダ大学で写真を教える。今では珍しくなくなった、さまざまな技法によって写真に手を加えた「作られた写真」だが、ユルズマンが写真を作り始めた1960年代は、撮影の際に表現の基本的な性格づけが行なわれるべきだとする「ストレート写真」が基調をなしていた時代であった。複数のイメージを暗室作業の過程で自由自在に組み合わせる技法を用いてシュールな作品世界を作ってきたユルズマンは、「作られた写真」を現代に甦らせた先駆者の一人である。

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◆ときの忘れものでは6月9日[火]―6月27日[土]「銀塩写真の魅力~Gelatin Silver YES! 」展を開催しています。ゾーン・システムを考案したアンセル・アダムス、それを現在日本で実践する中島秀雄、複数のネガを用いてひとつの画像を作り上げるジェリー・ユルズマンなど暗室作業にこだわった作家のほか、ウィン・バロックの代表作「森の中の子供」、エドワード・ウェストンの「ヌード(1936)」をはじめ、ルイス・キャロルレスリー・R・クリムスハーブ・リッツ植田正治今道子クリス・ジョンソン安齊重男アレン・ダットンフレッド・シールジル・ペランの15作家の写真を展示しています。
出品作品を収録したリーフレット(A5判、20頁、テキスト:中島秀雄)が完成しました。(@300円、送料120円、切手可)、メールにてお申し込みください。