ただいま開催中の「4 Winds 2009展」に出品していただいている作家のコメントと作品をご紹介いたします。

猪瀬直哉さんの作品には、強いメッセージが込められています。それは、環境問題であったり、人間関係であったり、人がこの地球で生きていることで起こる様々な問題を告発しています。その方法が、古典的技法で描かれた風景画というところがユニークです。現在まだ東京藝術大学に在学中ですが、今後どのような作家になってくれるのか、ひじょうに楽しみです。

私は「人類」をテーマとして制作することが多い。「支配」「戦争」「破壊」といった人類ならではの欲望を、それらとは裏腹に、静かで美しく、不気味で偽りのない広大な自然や風景を表現の媒介としてカンヴァスに描いている。人類は「前頭葉」を与えられた、しかしそれは「幸」に傾いているのか?人間界には必ず全てに裏があり、欺きがある。無意味な争いを繰り返し、必ずしも進化しているとは言い難い。そして自然界は、人類の行動に偽りのない正直な解答を示す。そこには口利きも贔屓も存在せず、全てに無差別平等に影響を与える。だが、実際にそこで被害を被るのは植物や動物、一部地域の人々である。動物たちもまた口利き等はしない。そういった弱者を「人類」は身勝手な進化で虐待を与え、尚且つ単体による私的な虐待をも与えたりする。地球上で神の“ふり”を続ける哀れな進化をした人類には、必ずカルマの法則によって罰が与えられるべきであり、進化の最終形態は絶滅であると考える事が出来なくはないだろうか。
猪瀬直哉


猪瀬さんは、連作でそのメッセージをより明確に伝えようとします。この3点も歌川広重の「伊豆の海濱」という作品からインスピレーションを得て、地球温暖化を描いています。
伊豆の海濱」(3点組)2009年
猪瀬直哉「伊豆の海浜1」水彩・紙 29.7x42.0cm
サインあり

猪瀬直哉「伊豆の海浜2」油彩・キャンバス 24.3x33.4cm(F4)
サインあり

猪瀬直哉「伊豆の海浜3」油彩・パネル 80.4x116.7cm(P50)
サインあり

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◆ときの忘れものでは7月3日[金]―7月25日[土]「4 Winds 2009展 永井桃子・秋葉シスイ・矢口佳那・猪瀬直哉」を開催しています。
ときの忘れものが選んだ若手4名のグループ展で、心象を色鮮やかな植物に託する永井桃子、繊細な色彩の変化の中にそれを表現する秋葉シスイ、独特なマチエールの風景が語りかける矢口佳那、壮大な風景の中に強いメッセージを描く猪瀬直哉、それぞれの個性あふれる新作をご堪能ください。
出品作品を収録したリーフレット『ときの忘れものアーカイブスvol.3/4 Winds 2009展』(A5判、22頁)を販売しています(価格300円、送料120円、切手可)。メールにてお申し込みください。