いま竹橋の東京国立近代美術館では、「ゴーギャン展」が開催されています。
ゴーギャン展表ゴーギャン展裏

今回の目玉は、ボストン美術館所蔵の大作「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこに行くのか」で、展示室ひとつをあてがわれていました。そのせいか、もっと大きな作品かと思っていたのが、それほどでもないような印象を持ちました。横長の大作であるため、はじめ少し離れた所から全体を見て、そのあと細部を見るため近づいて順に部分を見ていくことになります。そのため、絵が部分的にある程度独立したような構成になっていて、今までの作品の集大成のような趣きになっています。当然ゴーギャンのミステリアスさはこの絵にもちりばめられていて読み解く楽しみを与えてくれます。
この展覧会は名古屋から巡回していますが、出品作品はかなり変わっているため、カタログも独自のものになっています。国内外の作品が集められていて見所は多々ありますが、その中でも大原美術館の「かぐわしき大地」は白眉でしょう。他にもタヒチ以前の作品では、国立西洋美術館の「海辺に立つブルターニュの少女たち」は魅力的であり、アルルで描かれた「洗濯する女たち」や「二人のブルターニュ女のいる風景」の大胆な構図、ゴーギャンの絵としては少し変わった感じのするタヒチ渡航直前に描かれた「純潔の喪失」など多様な作品を見ることが出来ます。
また、ゴーギャンの版画の代表作品「ノアノア」連作を、ゴーギャンの自摺り、ルイ・ロワ版、ポール・ゴーギャン版の三種類で比較展示していたのは面白い試みで必見です。

ゴーギャン展
会場:東京国立近代美術館
会期:2009年7月3日(金)~9月23日(水)
開館時間:10:00-17:00(金・土曜日は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日[7月20日(月・祝)、8月17日(月)、8月24日(月)、9月21日(月・祝)は開館]、7月21日(火)
入場料:一 般 1500円、大学生 1000円、高校生 600円

◆ときの忘れものではWEB展覧会と題して毎月ネット上での展覧会を開催しています。7月16日~8月15日は「草間彌生展」です。どうぞご覧ください。