先日、軽井沢追分で坂倉準三設計の住宅(移築)がレストランになっていることをご報告(自慢)しましたが、9月27日までパナソニック電工汐留ミュージアムで「建築家 坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン」が開催されています。
実は今回の坂倉準三展は、汐留と鎌倉の神奈川県立近代美術館の二会場で内容をわけての開催でした。私は最初に汐留を、次に鎌倉を見て坂倉準三の歩んだ軌跡を存分に堪能してきました。鎌倉の方は残念ながらご紹介する前に終了してしまいました。汐留の方も会期は残り僅か、慌ててご紹介する次第です。
追分に移築された飯箸邸(今泉篤男旧宅)の大扉も汐留会場には再現されています。
坂倉準三展 チラシ表坂倉準三展 チラシ裏
*********
緑深い渓谷にほど近い都内の住宅地に建てられた一軒の家。パリ帰りの新鋭、建築家・坂倉準三[1901-1969]が帰国して最初に手がけた作品でした。「住宅は建築の本質的なものを全部もっているー」と本人が語る通り、彼の建築の魅力である、敷地を活かす建物の配置、プロポーションや細部の造形における卓越した感覚、技術への深い理解は、その後も続く住宅への取り組みにおいて凝縮したかたちで見られます。さらにそれらの現代住宅にふさわしい新しい家具を考案し続け、その日本の伝統美と機能との巧みな結合には、ル・コルビュジエのもとで共にモダニズムの理論の実現に励んだシャルロット・ペリアンの影響がうかがわれます。
昭和の激動を刻んださまざまな出来事や社会的課題に、坂倉準三は建築作品のみならず、他の領域のクリエイター達と関わりながら広義のデザイン活動によって回答を提示していきました。本展は、大扉の原寸大再現の試みに始まり、椅子の意匠の変遷、図面、写真、模型、映像などの展示を通して、坂倉準三の住宅、家具、デザインの仕事をとりあげます。公共建築から都市のターミナル開発など大型の仕事を紹介する神奈川県立近代美術館鎌倉の本展第1部[5月30日-9月6日]と併せて、建築家として社会に多様なデザインの可能性を見出した坂倉準三の全貌を明らかにします。(パナソニック電工汐留ミュージアムのホームページより)
*********

ル・コルビュジエの弟子というと、普通は先ず真っ先に前川國男の名があげられますが、実は坂倉準三こそがル・コルビュジエの真髄を理解し受容した建築家ではないか。
鎌倉の図録でも磯崎新先生は坂倉の再評価を強調していますが、『GA JAPAN 100号 世界から見た日本の現代建築』の二川幸夫さんとの対談でも、坂倉の「パリ万博日本館(1937年)」と「神奈川県立近代美術館(1951年)」の2作は<同時期のコルビュジエを超えていると思います>とまで絶賛しています。
坂倉ファン、コルビュジエファン必見の展覧会です。

ご紹介するのは、磯崎新先生のル・コルビュジエへのオマージュ作品(銅版手彩色)です。
磯崎新母の小さい家
磯崎新「栖十二より、挿画5(ル・コルビュジエ/母の小さい家)」
1998年
銅版・手彩色・アルシュ紙
イメージサイズ:10.0×15.0cm
シートサイズ:28.5×38.0cm
Ed.8(E.A.) 他に単色刷り27部あり
サインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから