年賀状の季節です。
印刷の手配はしたのだけれど、年賀切手を買うのをぐずぐずしていたら、最寄の外苑前郵便局では売り切れと言われ慌てました。隣の駅まで行って赤坂本局に駆け込んだら200枚しかないと言われガックリ。それじゃどうしたらいいんだと訊いたら丸の内に行けばあるとのこと。例の解体か保存でもめた中央郵便局は工事中で、その機能は東京駅周辺にいくつもの分局に分かれていて不便極まりない。何とか年賀切手を購入できましたが、おかげで何年ぶりかで丸の内周辺を歩き回りました。
いや、驚きました、丸の内の様相が一変していました。
東京駅フェンス1東京駅フェンス2
東京駅も大改修の最中ですが、工事フェンスには設計者・辰野金吾と東京駅の建築経緯がパネルになってずらっと展示されている。なかなか見事で思わず立ち止まり読みふけりました。
どなたが発案したか知りませんが、歴史的建造物保存の取り組みへの熱意の表れでしょう。

三菱1号館1三菱1号館2
東京駅から有楽町にいたる街並みは、とんでもなく高いビルができたかと思えば、馬場先通りと大名小路が交わる交差点に赤レンガの「三菱一号館」が復元されるなど、従来のビジネス街からおしゃれな観光地になったかのよう。

三菱1号館3三菱1号館4
昭和43(1968)年、私が大学卒業の頃、取り壊された「旧三菱一号館」は明治27年日本初のオフィスビルとして、ジョサイア・コンドルが設計、煉瓦造3階建て、地下1階。現場主任はコンドルの弟子(辰野金吾と同じ東大建築学科の一期生)、曾根達蔵でした。

三菱1号館5三菱1号館6
三菱地所が“丸の内再開発事業”の一環として復元を計画したのはまことに喜ばしい。創建時と同じ約230万個の赤煉瓦を積み上げ、当時の設計図や保管部材を使用するなどして往年の姿を忠実に復元、生まれ変わらせ、竣工記念展として「一丁倫敦と丸の内スタイル」が開催されているのでのぞいてきました。
図面、記録写真、復元された家具やノブなども面白かったのですが、1926~27年頃の丸の内界隈を撮影した日本郵船の記録映像To the Sunny Eastが収穫でした。当時の三菱1号館はじめ郵船ビル、帝国劇場などが写っています。道幅も広く、自動車、自転車、歩く人々など、震災復興のモダニズムが良くわかります。

来年4月からは美術館として開館するとのこと、新しい名所になるでしょうね。お正月のお薦め空間です。
一丁倫敦と丸の内スタイル
会場:『三菱一号館・美術館』 
会期:2009年9月3日(木)~2010年1月11日(月・祝)
[火・土・日・祝]10時~18時、[水~金]10時~20時
休館日:毎週月曜(但し、祝日の場合は開館し翌日休館)、1月1日
入館料:500円