秋葉シスイです。
2009年は「あっ」という間にすぎました。毎年暮れ近くになると「今年ももう終わりかあ」などと思うのは常ですが、去年ほどそれを実感した年はありませんでした。展覧会は、桜が満開の4月に個展「向かう」を小島びじゅつ室でやらせていただき、7月にはときの忘れものでのグループ展に参加、10月から今年の3月までは滋賀県は近江八幡にあるボーダレス・アートミュージアムNO-MAでの「この世界とのつながりかた」に参加しています。2009年を振り返るというテーマなので、それについて考えていたのですが、今挙げた展覧会で絵を発表できているきっかけ、始まりの話をすこししたいと思います。
自分は、大学に入ってから油絵を描き始め、ゼミも油彩画のゼミを取っていたのですが、「これは自分の絵だ」と思えたのは、大学生活最後に描いた卒業制作でした。それを描く前、授業をとっていた日本画の先生が言った言葉を今でも憶えています。「一枚の絵に、これだけの時間を費やすことは今後の人生でもう無いかもしれないから、本気で向き合いな。」おそらく、絵を描き続ける道を選ぶ学生が少なかったので、自分に対してもそう言ったのだと思います。ただ自分は進路を決めかねていて、絵を描き続ける道も諦め切れていませんでした。しかしこれで最後になるならば、「今描く一枚の絵と丁寧に、本気で向き合う」しかないと思い、そこから1年かけて描き上げたのが卒業制作でした。後にその絵がきっかけで展覧会を開く機会を与えられることになり、それが今日まで、とてもありがたいことに次へと繋がっています。…とは言え、もしや今回で途切れるのではないか、と不安で眠れなくなる日もあります。でもそれは仕方ない。今に始まったことではないし、不安はつきものなので、自分はこれからもただ目の前の絵と丁寧に向き合うことを忘れずに、一枚一枚、描いていくしかありません。そうやって描き続けた先にどうなるのか、すこし楽しみにしています。
最後に、2010年の目標を。挙げると切りがないのでふたつだけ。
1.健康に気をつける
2.展覧会をたくさん見る
です。
1は、仕事場の方たちにも心配を掛けるようではよくないと日々感じていたからです。2に関しては、今まで東京近郊のギャラリーや美術館が主だったので、地方の美術館にも行ってみたいと思います。(あきば しすい)
秋葉シスイ
《scene 1》
2007年 油彩・カンヴァス
162.1×227.3cm(P150号)
価格はお問い合わせください
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
●「この世界とのつながりかた」
2009年10月24日(土)~ 2010年3月7日(日)
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA+尾賀商店(滋賀/近江八幡)
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日(ただし祝祭日は開館し、翌日閉館)、12月28日~1月8日
入館料:一般500円/高大学生450円/中学生以下は無料
主催:社会福祉法人 滋賀県社会福祉事業団、ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
後援:滋賀県、滋賀県教育委員会、近江八幡市、近江八幡市教育委員会
助成:日本財団
協力:正史会 大和病院、AOYAMA|MEGURO、FOIL GALLERY、MISAKO&ROSEN
企画:保坂健二朗(東京国立近代美術館研究員)
出品者は8人です。年齢も、出身も、現在暮らす場所も異なる人たちです。
写真や絵や映像などが一堂に、NO-MAという元々は民家であった会場に(それとすぐ近くの尾賀商店とも合わせて)集められます。
[出展作家]秋葉シスイ、奥村雄樹、川内倫子、仲澄子、橋口浩幸、松尾吉人、松本寛庸、森田浩彰
NO-MA:〒523-0849 滋賀県近江八幡市永原町上 16 旧野間邸
TEL: 0748-36-5018
尾賀商店:〒523-0848 滋賀県近江八幡市永原町中 12
TEL: 0748-32-5567
※NO-MAと尾賀商店の間は、徒歩3分ほどです。
ネット文化の興隆。コミュニケーション・ツールの拡大。核家族化の進展。生活基盤の崩壊。ドラスティックな変化の中で、私たちは、自分が生きているはずの「この世界」とはいったいなんなのか、自信を持てなくなっています。
そんなとき大事なのは、「内面」を英語では「inner world」と言うように、私たちの内側にも「この世界」は広がっているのだと思い出してみることです。また、見えない「この世界」と見える「この世界」の間には違いがあるけれども、どちらがより大事だとは言えないと理解することも大事でしょう。
そしてここから次のような仮説が導き出されます――生きるということは、ふたつの「この世界」をすりあわせていくことである。
この展覧会には、そのような営みを粛々と続けている人たちを紹介しています。年齢は17歳から92歳まで。世界的に活躍するアーティストもいれば、精神病院で暮らしている人もいます。シンプルな絵画を描く者もいれば、コンセプチュアルな作品をつくる者もいます。彼らに共通するのは、内と外の「この世界」をすりあわせるときに生じる揺らぎに対して、意識やまなざしを集中させようとしている点です。そうやって生まれた作品は、この世界を(美しさを潜めているがゆえに)積極的に肯定しようとする強さに満ち溢れていて、私たちが失いつつある自信を回復してくれるのです。
2009年は「あっ」という間にすぎました。毎年暮れ近くになると「今年ももう終わりかあ」などと思うのは常ですが、去年ほどそれを実感した年はありませんでした。展覧会は、桜が満開の4月に個展「向かう」を小島びじゅつ室でやらせていただき、7月にはときの忘れものでのグループ展に参加、10月から今年の3月までは滋賀県は近江八幡にあるボーダレス・アートミュージアムNO-MAでの「この世界とのつながりかた」に参加しています。2009年を振り返るというテーマなので、それについて考えていたのですが、今挙げた展覧会で絵を発表できているきっかけ、始まりの話をすこししたいと思います。
自分は、大学に入ってから油絵を描き始め、ゼミも油彩画のゼミを取っていたのですが、「これは自分の絵だ」と思えたのは、大学生活最後に描いた卒業制作でした。それを描く前、授業をとっていた日本画の先生が言った言葉を今でも憶えています。「一枚の絵に、これだけの時間を費やすことは今後の人生でもう無いかもしれないから、本気で向き合いな。」おそらく、絵を描き続ける道を選ぶ学生が少なかったので、自分に対してもそう言ったのだと思います。ただ自分は進路を決めかねていて、絵を描き続ける道も諦め切れていませんでした。しかしこれで最後になるならば、「今描く一枚の絵と丁寧に、本気で向き合う」しかないと思い、そこから1年かけて描き上げたのが卒業制作でした。後にその絵がきっかけで展覧会を開く機会を与えられることになり、それが今日まで、とてもありがたいことに次へと繋がっています。…とは言え、もしや今回で途切れるのではないか、と不安で眠れなくなる日もあります。でもそれは仕方ない。今に始まったことではないし、不安はつきものなので、自分はこれからもただ目の前の絵と丁寧に向き合うことを忘れずに、一枚一枚、描いていくしかありません。そうやって描き続けた先にどうなるのか、すこし楽しみにしています。
最後に、2010年の目標を。挙げると切りがないのでふたつだけ。
1.健康に気をつける
2.展覧会をたくさん見る
です。
1は、仕事場の方たちにも心配を掛けるようではよくないと日々感じていたからです。2に関しては、今まで東京近郊のギャラリーや美術館が主だったので、地方の美術館にも行ってみたいと思います。(あきば しすい)
秋葉シスイ《scene 1》
2007年 油彩・カンヴァス
162.1×227.3cm(P150号)
価格はお問い合わせください
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●「この世界とのつながりかた」
2009年10月24日(土)~ 2010年3月7日(日)
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA+尾賀商店(滋賀/近江八幡)
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日(ただし祝祭日は開館し、翌日閉館)、12月28日~1月8日
入館料:一般500円/高大学生450円/中学生以下は無料
主催:社会福祉法人 滋賀県社会福祉事業団、ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
後援:滋賀県、滋賀県教育委員会、近江八幡市、近江八幡市教育委員会
助成:日本財団
協力:正史会 大和病院、AOYAMA|MEGURO、FOIL GALLERY、MISAKO&ROSEN
企画:保坂健二朗(東京国立近代美術館研究員)
出品者は8人です。年齢も、出身も、現在暮らす場所も異なる人たちです。
写真や絵や映像などが一堂に、NO-MAという元々は民家であった会場に(それとすぐ近くの尾賀商店とも合わせて)集められます。
[出展作家]秋葉シスイ、奥村雄樹、川内倫子、仲澄子、橋口浩幸、松尾吉人、松本寛庸、森田浩彰
NO-MA:〒523-0849 滋賀県近江八幡市永原町上 16 旧野間邸
TEL: 0748-36-5018
尾賀商店:〒523-0848 滋賀県近江八幡市永原町中 12
TEL: 0748-32-5567
※NO-MAと尾賀商店の間は、徒歩3分ほどです。
ネット文化の興隆。コミュニケーション・ツールの拡大。核家族化の進展。生活基盤の崩壊。ドラスティックな変化の中で、私たちは、自分が生きているはずの「この世界」とはいったいなんなのか、自信を持てなくなっています。
そんなとき大事なのは、「内面」を英語では「inner world」と言うように、私たちの内側にも「この世界」は広がっているのだと思い出してみることです。また、見えない「この世界」と見える「この世界」の間には違いがあるけれども、どちらがより大事だとは言えないと理解することも大事でしょう。
そしてここから次のような仮説が導き出されます――生きるということは、ふたつの「この世界」をすりあわせていくことである。
この展覧会には、そのような営みを粛々と続けている人たちを紹介しています。年齢は17歳から92歳まで。世界的に活躍するアーティストもいれば、精神病院で暮らしている人もいます。シンプルな絵画を描く者もいれば、コンセプチュアルな作品をつくる者もいます。彼らに共通するのは、内と外の「この世界」をすりあわせるときに生じる揺らぎに対して、意識やまなざしを集中させようとしている点です。そうやって生まれた作品は、この世界を(美しさを潜めているがゆえに)積極的に肯定しようとする強さに満ち溢れていて、私たちが失いつつある自信を回復してくれるのです。
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