先に一度ご紹介しましたが、パリ在住の女優でアーティストのTSUYUさんのことを書きたいと思います。
TSUYUさんは、8歳のときに家族でパリに移住し、以来、一時期ニューヨークに住んだこともありますが、パリを拠点として、先日日本でも公開された「ユキとニナ」など、欧米各国の映画に出演する女優として活躍しているほか、アーティストとしても最近旺盛な活動をなさっています。
bon marche1bon marche2現在、パリの最古のデパート、ボン・マルシェで作品が展示されています。エッフェルによって作られたこの建物は、最近まで天井が板で覆われていました。それを昨年から今年にかけてその天板をはずしてリニューアルし、美しいカーブを描く天井を見ることができるようになったのです。そのリニューアルの第一弾の展示としてTSUYUさんの作品が選ばれたとのことです。
bon marche3bon marche7書籍売場の書棚と万年筆売場の棚がコの字型を向かい合わせたように配置された空間の中央に作品を展示する台(ジャン・プルーヴェのデザイン)が一列に置かれていて、そのガラスケースの中には、標本箱にピンで留められた紙でできた蝶々が並んでいます。次々と見ていくと、標本箱のガラスが割れていて蝶が逃げようとしているものがあって、ドキッとさせられます。その上方には、同じく紙で出来た何十匹もの蝶々が球体を作って密集していて、その様は、やはり異様に見えますが、そこが作者の狙いでもあります。実は、この蝶の折り紙はの仕方は、もともと知っていたわけではなく、インターネットで調べたそうで、必ずしも日本の折り紙の仕方ではないかもしれないとのことです。
bon marche6bon marche5作家のTSUYUさん
bon marche4bon marche8昨年のパリのアートフェアでは彼女の作品は完売し、そのうち2点を購入した方のお宅に作品の設置に行くと、それはすごいお屋敷で、壁にはスーラージュやアルマンらの大作がかかっていて、TSUYUさんの作品を設置した脇には、ベーコンの作品が2点飾ってあったそうですが、そんなコレクターのお眼鏡にもかなった有望な作家であると言えます。
天は二物を与えることもあるようです。