ケルテス「おどけた踊り子、パリ1926年」~気更来のコレクション展

ときの忘れものでは2月8日[火]―2月26日[土]まで画廊コレクションの中から、油彩及び写真作品の秀作を選び「気更来のコレクション展」と題して展示しています。
今日はその中からアンドレ・ケルテスの作品を2点ご紹介いたします。

ケルテスは、1894年ハンガリーのブダペスト生まれで、1925年パリに移り、旅行者ではない「歩行者」の視点で、パリの街や人を撮影しました。1920年代後半に相次いで創刊されたグラフ雑誌に写真によるルポルタージュを寄稿し、その名を知られることになります。当時のパリは、絵画の世界で言う「エコール・ド・パリ」と同様に、他国から移って来た写真家、マン・レイ、ブラッサイ、ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン、ジュルメーヌ・クルル、ホルスト・P・ホルスト、リゼット・モデルらが活躍していました。
この「おどけた踊り子」は、パリに移って間もなくの作品で、同じハンガリー人の踊り子マグダ・フェルストネルをケルテスの自宅で撮影したものです。ケルテスはフランス語は得意ではなかった(1936年にパリを離れるまであまり上達はしなかったようです)ので、同国人であるというリラックスした雰囲気で撮影されたのでしょう。
Kertesz_Dancerアンドレ・ケルテス Andre KERTESZ
おどけた踊り子、パリ1926年
1926年撮影(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
24.7×19.9cm
サインあり


1936年にニューヨークに渡ったケルテスは、商業主義的な要求に応えることを拒否し、自分のスタイルを貫こうとしたが受け入れられず、長い間不遇のときを過ごさなければなりませんでした。それでもアレクセイ・ブロドヴィッチのように擁護してくれる人物に支えられて仕事を続けることはできました。この「舗道」が撮影された1962年、ケルテスはそれまで17年間続いたコンデ・ナスト社との契約を打ち切り、自分の写真を撮ることに専念することを決めます。そういった気持ちの感じられる、また、シュルレアリスムと構成主義が見て取れるひじょうにケルテスらしい作品です。
Kertesz_promnadeアンドレ・ケルテス Andre KERTESZ
舗道、ニューヨーク、1962年10月17日
"Promenade, October 17, 1962, New York"
舗道、ニューヨーク、1962年10月17日
1962年撮影(1973年プリント)
ゼラチンシルバープリント
24.5×19.4cm
Ed.50 サインあり

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◆ときの忘れものは、2011年2月8日[火]―2月26日[土]<陽気が更に来る>ことを祈りつつ、画廊コレクションから油彩及び写真作品の秀作を選び「気更来のコレクション展」を開催します(日曜・月曜・祝日は休廊。ただし、TOKYO FRONTLINE開催中の2月20日[日]は開廊します)。
気更来のコレクション展
出品:小野隆生(テンペラ)、宮脇愛子(油彩+ミクストメディア)、百瀬寿(油彩)、秋葉シスイ(油彩)、アンドレ・ケルテス(写真)、植田正治(写真)、エドワード・スタイケン(写真)、瑛九(フォトデッサン)、細江賢治(写真)