「収容所にて　～第二次大戦下の北米日系人～　ヘンリー杉本作品展」

地震、津波、原発とどんどん被害が大きく深刻になり、とりあえず無事でいる私たちも明日はわが身、いったいどうしたらよいのかと思い煩います。
昨日は、開設された日本赤十字社東北関東大震災義援金口座（00140-8-000507）に義援金を振り込んできましたが、私たちにできることを今スタッフたちと考えています。
心配な原発ですが、亭主はtwitterでの、早野先生、チーム中川の穏やかで、簡潔、丁寧な発信に期待しています。落ち着いて、その任にある人が的確な情報を出してくださるのが有難い。

ときの忘れものの美しいDMはがき（自画自賛）は、編集担当の尾立が原稿や画像を作成し、ディスハウスの北澤さんがデザインをして、印刷会社に発注します。同社は東京にありますが、実際に印刷所があるのは青森県八戸市です。今回の地震でその印刷所も被災しネットワークも切断されました。それでもようやく復旧の目途がたったという連絡がありました。しかし、八戸で印刷したはがきの輸送手段が問題です。
幸い、ときの忘れものの発注はいつも早め早めにしているので、10日ほどの遅延ならば何とか次回企画（野田英夫遺作展）には間に合うでしょう。貧者の一灯ですが、八戸の復興のためにも注文は継続します。

安否が心配だった東北地方の皆さんからメールの返事が届くようになり嬉しいのですが、お返事を下さったのは無事だからこそで、多くの返信の無い方を思うと暗澹たる気持ちになります。

●Ｏさん(福島）
ご心配を頂き、有難うございます。
おかげ様で、作品の損傷も少なく、画廊の建物、自宅ともに僅かの損傷で済みました。
福島県浜通りの津波被害者、宮城、岩手の多くの人々が亡くなられました。
残された子供たちの映像が、あまりにも悲しく涙が止まりません。
自分の身の回りの片付けに明け暮れたこの4日間を振り返り、自分のできる事など何も無く、あまりの無力さに痛感いたしております。
原子力発電所の爆発による放射能汚染が今日からの重大問題です。
これからどのような放射能汚染の広がりになるかとても心配です。
お便り本当に有難うございました。

●Ｉさん（青森）
八戸はかなりの被害でしたが、青森とか下北の方は財産的な被害もなく、停電で不自由な思いをしたぐらいです。かえって二次的な問題が東京方面であるようで、これから大変だなと思っております。

●Ｕさん（岩手）
お見舞いありがとうございます。
当地盛岡の被害は停電・断水等が主で、しかもその大部分は既に復旧しましたので、沿岸部の惨状とは比較できないほど軽微です。
問題は、生鮮食品・日用品・油類の欠乏です。
特に病院、上下水道施設、火葬場、ゴミ焼却場等に最優先配備されるべき油類、特に重油の配送予定が全然聞こえてきません。
製油施設、高速道路、港湾の被害が大きい故と思いますが、一日も早い追送を、しかも大量にと祈るばかりです。

●Ｙさん（岩手）
メールありがとうございました。
盛岡は幸い大きな被害はなく、美術館も作品もスタッフもみな無事です。ご安心下さいませ。
盛岡は地震後２,３日は停電しており、ライフライン、通信もままならず、一時的に混乱したものの、電気が復旧してからは、通常の生活に戻れています。
テレビが見られるようになってからは、沿岸地域や他県の被害のあまりの酷さに驚くばかりで、言葉もありません。
各地に拡がる地震、大津波の爪痕、火災、そして原発事故・・・
心が痛みます。
盛岡のみならず、東北全域でガソリンや灯油の入手が難しくなっており、支障が出始めておりますが、それでも「普通に」暮らせることがどんなにありがたいか、ほんの２,３日の経験でも身に染みました。
被災されている方々のことを思うとやりきれない気持になります。
ですが、いま盛んに、救護活動のために多くの人が岩手入りし、またすごい数の重機や自衛隊車両が投入されています。空にはひっきりなしに物資輸送や救急医療のためのヘリが飛んでいます。国内外からたくさんの救いの手が差し伸べられており、とても嬉しく、ありがたく、頼もしく思います。
そんな訳で、我々は無事で過ごしています。
ありがとうございます。
東京、関東地方の皆さんも、計画停電でいろいろと大変になるかと思います。どうかくれぐれもご自愛下さいますよう。

●Ｓさん（岩手）
まだまだ余震がひどいです。それでも、やっと電気がついたので、本当にホットしました。ラジオと、ローソクと暖炉の薪だけで、2日間過ごしました。地震の時、主人も、息子も私も3人とも一緒に家にいたのは、本当に幸いな事でした。近所の人や市役所の人、が見に来てくれます。余震がひどいので、２人を置いて買い物に行かれないのですが、隣のお百姓さんが野菜を届けてくれたりしています。

●Ｉさん（青森）
ご連絡ありがとうございます！
弘前は地震の被害が少なく、やっと通常通りの営業に戻りました。
通常といっても、予約キャンセル、そして生活物資不足で泣いてます（食材、ガソリン等）。
被災し、今も救助を待っている方々の苦労に比べたらたいしたことがないのですが。。。
今日から、東北電力も計画節電をやることになり、燃料、食材などを備蓄し、対応できるようにしてます。
未曾有の震災で、復興まで長期戦になるのは覚悟してます。
また、原発の問題も深刻なことになってきました。
物資不足から、全国的なインフレになるかも知れません。
これからどうなるのか分からないのですが、何とか切り抜いていければと思ってます。

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ネットを見ていたら偶然、横浜でJICA横浜海外移住資料館主催による「収容所にて　～第二次大戦下の北米日系人～　ヘンリー杉本作品展」が開催されているのを知り、驚くとともに30年前のヘンリー杉本の帰国と画集刊行のことを懐かしく思い出しました。
いま（16日13時半）、確認したら臨時休館になってしまいました。貴重な展覧会なのに残念です。

会期＝2011年1月22日（土）～3月21日（月）
会場＝JICA横浜　海外移住資料館　企画展示室
〒231-0001神奈川県横浜市中区新港 2-3-1　赤レンガ国際館
JICA横浜　海外移住資料館
Tel: 045-663-3257
Fax: 045-211-1781
Web: http://www.jomm.jp/
E-mail: info@jomm.jp

　資料館では1月22日（土）より、第二次世界大戦中に収容所生活を余儀なくされた日系人たちの様子を生々しく描写した、ヘンリー杉本の絵画作品展を開催。日米２つの祖国の狭間で生きた一世と二世の苦悩が描かれた作品展を通じ、アメリカへの日本移民の歴史、日系アメリカ人の存在について、あらためて考えます。
　ヘンリー杉本は、1900年和歌山県生まれ。18歳のときに両親が住む米国に渡り、カリフォルニア大学付属美術専門学校を卒業、米国内で創作活動にうちこみ、画家としての地位をかためていきました。しかし、1941年の太平洋戦争勃発に伴い、米国に住む10万人を超す日系人は強制立退き命令を受けます。ヘンリーも、多くの日系人と共に収容所に送られたのです。
　今回展示する作品は、和歌山市民図書館が所蔵するもの。強制収容されたヘンリーが、３年余にわたる収容所生活の苦難の中で描いたものです。それまでの画家としての名声が無となり、絵具やキャンバスが手に入らなくなっても、ヘンリーは着物などを包んできた白布やシーツなどに、こっそり持ちこんだ絵具で絵を描き続けました。
作品からは、厳しい収容所での暮らしぶりやつかの間の休息、そして、親の祖国である日本と自身の母国アメリカとの間に立たされた二世の苦悩がひしひしと伝わってきます。それまで田園の風景を得意としてきたヘンリーの画風をも一変させた収容所生活とはいったい何だったのか、見る者を考えさせずにはおかないでしょう。（主催者ＨＰより）

【ヘンリー杉本】
　日本名杉本謙。1900年現在の和歌山市に生まれる。19歳で両親が住むアメリカに渡り画家を志す。28年カリフォルニア州オークランド芸術大学卒業。29年同州美術学校油絵科を修了。パリ留学。31年新人の登竜門であるサロン・ドートンヌに入選、翌年、藤田嗣治と知己を得、親交を続ける。32年米帰国。37年二科展入選。39年サンフランシスコ世界博覧会美術展で金賞受賞。1941年の日米開戦により日系人強制収容が始まり､カルフォルニア州フレズノ集合センターからアーカンソー州ジェローム収容所、同州ロワー収容所と、45年まで収容所生活を余儀なくされる。収容所生活を描いた一連の絵画が､戦後､アメリカで日系人強制収容所の歴史的記録として注目を浴び全米で創作活動を続ける。64年二科会会員に推挙。81年勲六等単光旭日章､90年ニューヨークにて90歳で逝去。2007年和歌山市「偉人・先人顕彰」受章。

◆ちょうど今から30年前、我が師匠・久保貞次郎先生は一時帰国したヘンリー・杉本さんの絵に感銘を受け、その画集を編集刊行しました。
画集の特装版(限定150部）にはヘンリー・杉本さんにオリジナル版画の制作を依頼して、4点のリトグラフを挿入しました。
久保先生の旧蔵書に特装版が複数遺されていましたので、今回５万円という特別廉価（税込み、送料無料）にて頒布します。
ぜひコレクションに加えてください。

ヘンリー・杉本『記録絵画　北米日本人の収容所』特装版
久保貞次郎編
1981年　叢文社刊　図版37点、115頁
リトグラフ4点入り（シートサイズ：39.5×34cm)
Ed.150 　各作品に自筆サイン　限定番号入り