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「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」展

4月9日(土)より、東京・初台の東京オペラシティアートギャラリーで、「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」展が開催されています。去る、4月8日に内覧会、オープニングパーティがあり、一足先に展示を見てまいりました。
ホンマタカシオープニング1ホンマタカシオープニング2

ホンマタカシは、1962年生まれで日大芸術学部で写真を学びました。(筆者・三浦と同じ時期に江古田キャンパスに通っていたようです)感情を排したドライな視線で捉えた作品を発表してきた作家で、今回が始めての美術館での個展です。展示作品は近作が多いのですが、一貫した視点によるものであるため、今までの集大成的な感のある展示となっていて、「ニュー・ドキュメンタリー」というタイトルがそれを示しています。
ホンマタカシオープニング4最初に展示されている「Tokyo and My Daughter」というシリーズは、作家の娘を撮ったものと思って見てしまいますが、実は、実際の娘ではなく、展示された写真の中には、被写体の女の子の家族が撮った写真も混じっているらしい。タイトルによって植えつけられた先入観を持って見てしまうと、すっかり作家の術中にはまってしまい、写真の持つ危うさ、怖さを知らされます。
次の「Widows」というシリーズも、作家自身の写真と被写体の過去の写真を混ぜてあります。作家にとって自分の撮った写真というよりも、より深く被写体を見せるためのものとして既にある写真を使っています。写真家なら自分の撮ったポートレートで過去も語らせるべきであると思いますが、この辺りが、ホンマタカシの作品に対する考え方であるのでしょう。
ホンマタカシオープニング3「Together」というシリーズは、ロサンゼルス郊外を通るハイウェイとそこに暮らす野生動物との関係を記録写真として捉えたもので、人間と動物の共棲を見直す作品となっています。
壁ではなく床に並べられた「M」というシリーズは、言わずと知れたマクドナルドの「M」で、世界各地で撮影されたマックの店の写真を、シルクスクリーンで、印刷物のようにして見せています。
「Trails」も、人間と人間に狩られる野生動物についての作品で、白い雪の上に残る赤い色を象徴的に捉えています。ここでも作家は、その赤いものが本当の動物の血である必要はないと考えています。
最後に「Short Hope」というビデオ作品があります。これは、写真家の中平卓真がたばこに火を点けるシーンを繰り返し見せていて、反復される日常こそが尊ばれるべきものであると、まさにこの震災後の日本に必要なメッセージのように思える作品です。

こちらにご紹介するのは、2007年に発表された「Hyper Ballad」というポートフォリオからの作品です。アイスランドの郊外の住宅がひじょうにドライな視線で捉えられていますが、写真自身の美しさや、静けさが魅力的な作品です。
iceland03_jpgホンマタカシ Takashi HOMMA
"Hyper Ballad : Icelandic Suburban Landscapes 2007-3"
2007年 C-Print
26.4×33.7cm
Ed.18 サインあり

iceland06_jpgホンマタカシ Takashi HOMMA
"Hyper Ballad : Icelandic Suburban Landscapes 2007-6"
2007年 C-Print
26.4×33.7cm
Ed.18 サインあり

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