君島彩子のエッセイ<シンガポールから>第2回

2.「シンガポールの宗教施設」

発展を続けるシンガポールでは、日本と殆ど変わらないと思う部分も沢山あります。家電製品は日本と同様に普及していますし、スマートフォンやタブレット型PCの普及率は日本よりも高いくらいです。
しかし、日本とはまるで違うと感じる時も多々あります、そのひとつが宗教です。

多民族国家であるシンガポールには、勿論多くの宗教施設があります。
中国系寺院だけでも、500以上あると言われています。またタイ、ビルマ、スリランカ、チベット系などの日本と違う雰囲気の仏教寺院、更に、ヒンドゥー教寺院、キリスト教会、モスクなど多くの宗教施設があります。
これらの施設内に入ると、熱心に祈りを捧げる人々がおり、生活の一部として生きている宗教を肌で感じる事が出来ます。

シティホールなどの中心部にはイギリス植民地時代の美しい教会が残されており、祈りの時間には多くの人々が訪れ中に入る事が出来ずに外から祈る人々もおります。
12人のアルメニア人によって建設されたアルメニアン・チャーチはシンガポールで最も古い教会です。
裏手にはアルメニア人の墓地が残されており、その中にはシンガポールの国花「バンダ・ミス・ジョアキム」を発見したミス・ジョアキムの墓も残されております。

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古くから発展していたチャイナタウンを訪れると異なった宗教施設が隣接している事に驚かされます。
サウス・ブリッジ・ロードにはジャマエ・モスク、ヒンドゥー教のスリ・スリマリアマン寺院、そして仏教寺院である新加坡佛牙寺龍華院があります。このように異なった宗教施設が密接して並ぶのもシンガポールならではでしょう。

またリトル・インディアの近くにある千燈寺院はタイ仏教とシンガポールの中国仏教が習合した寺院で、コンクリートで作られた高さ15メートルの本尊の宝冠に「SAKYA
MUNI」とアルファベットで書かれおり、シンガポールらしい仏像だなと感じました。

更にシンガポールらしい風景として、ブギスにあるスリ・クリシュナン寺院は寺院内で熱心に祈るインド系の信者とは別に建物ので線香を立て道教的な祈りを行う華人の姿も見られ、非常に興味深かいものがありました。
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これはシンガポール美術館です。この建物は19世紀半ばフランス人研修僧によって建てられたカトリック名門男子校、セント.ジョセフ学院だったものです。もともと教室だった場所だけでなく、チャペルも展示室として使用されており、キリストのレリーフと共に現代美術の作品が展示されています。この美術館はシンガポール現代美術の核となる施設であり、宗教と美術を考える上で非常に参考になりました。
(きみじまあやこ)
君島彩子No4
君島彩子「作品4
2012年
墨・紙
33.6×22.8cm
サインあり

君島彩子No5
君島彩子「作品5
2012年
墨・紙
33.6×22.8cm
サインあり

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